ガープス
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ガープス (GURPS) は、スティーブ・ジャクソン・ゲームズ社の発売した汎用テーブルトークRPGのルールおよびシステム。ガープスはBest Roleplaying Rules of 1988でオリジン賞(Origins Award, オリジン・アワード)を受賞し[1]2000年にはオリジン・ゲーム・フェア殿堂入りした[2]。日本語訳および日本独自サプリメントの制作は一部を除きグループSNEが行い、主に富士見書房が出版しており、一部の作品は新紀元社ホビーベースイエローサブマリンが出版している。富士見書房が出版している既知の日本語訳版のルールブックおよびサプリメントの独占翻訳権は角川書店が所持している。過去の日本語訳および日本独自のサプリメントは角川スニーカー文庫角川スニーカー・G文庫が販売していた。
概要

GURPSという名称は Generic Universal RolePlaying System (包括的で汎用的な、役割を演技するシステム)を略したもので、これは『1つであらゆるジャンルをプレイできるRPGのルール』と言ったほどの意味である。ただし、GURPSは正式名称であって略称ではない。

ガープスは、『ガープス・ベーシック』( GURPS Basic Set )と呼ばれる基本ルールに各種サプリメントを組み合わせることで、ジャンルを越えて使用できるルールになっており、それぞれのルールは、一部の例外を除き、接頭辞「ガープス」または GURPS を冠する名前で呼ばれる。

サプリメントの種別としては、

基本ルールの一部を拡張したルール拡張系サプリメント(Rulebooks)(例:ガープス・マジック、ガープス・マーシャルアーツ、ガープス・サイオニクス、GURPS Powers [3]

ファンタジー物、宇宙物といった一つのジャンルを特定の背景世界によらないで紹介したもの ジャンル系サプリメント (Genre Books) (例: GURPS Fantasy, GURPS Space, GURPS Supers )

アイテム、車両、モンスターといったデータでジャンルやゲーム世界を問わないテーマのカタログ系サプリメント (Catalogs) (例: GURPS High-tech, GURPS Ultra-Tech, GURPS Creatures of the Night )

ある特定のゲーム世界を記述したワールド系サプリメント (Worldbooks) (例:ガープス・ルナル、ガープス・ユエル、ガープス・コクーンガープス・百鬼夜翔[4]、GURPS Infinite Worlds, GURPS Traveller )

がある。
歴史
黎明期のRPG

ガープス以前の1970年代1980年代ロールプレイングゲーム(RPG)は特定のゲーム環境に特化して開発された。たとえば、TSRはファンタジー環境に特化したダンジョンズ&ドラゴンズを出版した。同じ企業から出たもうひとつのゲーム Star Frontiers はSFベースのRPGとして開発された。TSRは、Gamma World (終末ものアドベンチャー)、Top Secret (スパイ、諜報部員)、Gangbusters (狂騒の20年代アドベンチャー)、Boot Hill (西部開拓時代) のように異なるゲーム環境で異なるゲームを製作した。これらのゲームはそれぞれが独立したルールシステムを持ち、ゲームをプレイするルールもそれぞれ非常に異なっていた。アドバンスト・ダンジョンズ&ドラゴンズ で Gamma World とBoot Hill のルールを使ったクロスジャンルの試みが行われたが、曖昧なルールは大部分が使われなかった。それが知名度の低い Supergame (DAG Productions, 1980年)に先立たれたにもかかわらず、ガープスはあらゆるものを包含する、プレイヤーが同一の"コア"ルールセットを使ってどんなゲーム環境でもロールプレイを楽しめる、"汎用的な"ロールプレイングシステムを創造する試みとして最初の商業的成功を成し遂げた。
ガープスのコンセプト

ダンジョンズ&ドラゴンズ のような1970年代と1980年代のRPGはプレイヤーキャラクターの能力値の割り当てにダイスロールが生成する乱数を使用した。それとは対照的に ガープス ではキャラクターを作成するさいの指定されたポイント(日本語版ではキャラクターポイント, CP)をプレイヤーに割り当てた。Hero System と共に、ガープス はポイントを能力値、技能、(呪文を詠唱する能力のような)特徴に消費することでキャラクターを作成する最初のロールプレイングゲームのひとつである[5]。平均より低い能力値、「不利な特徴」、「限定」を受け入れることで追加のポイントを得ることができる。このアプローチは ガープス の成功によりいく分かRPGで人気を保っている。"汎用的"な側面での ガープス の強調は成功したマーケティング戦略で立証されているのと同様、幾多のゲームシリーズは幾多のスタイルへ改良できる源の機関を持っている[6]。ガープス の使途の広さへのアプローチはできる限り現実世界の尺度(計測)の使用を含めている ("リアリティチェッキング" はどんな ガープス のルールブックでも重要な要素である)。これによってプレイヤーは公正に現実世界や他のゲームやプレイヤーの創造力からガープスの数値データへのありふれた変換ができる。

その上 ガープス は背景設定やサイエンスフィクション、ファンタジー、歴史ものやすべてのジャンルの追加ルールを説明した数多くのワールドブックから恩恵を受けている。C.J. Carella[7]、Robin Laws[8]S. John Ross[9]、Fudgeの製作者Steffan O'Sullivan[10]など多くの人気ゲームデザイナーが ガープス ライターという職歴を持ち始めた。時には ガープス をプレイしない人が、才能があり独創的なライターが出していることを理由に ガープス のサプリメントを購入するという現象が起きている。歴史時代ものの ガープス のワールドブックはしばしば出典を示す参考文献の部類に入るのと同じように参考書として使われる。
ガープスの歴史
1980年
直近の ガープス の祖先はMetagaming Concepts社でスティーブ・ジャクソンが作った初期のRPG The Fantasy Trip (TFT)であった。TFT には初めて登場する各キャラクターの主要な能力値を表す体力、敏捷力、知力の部類に入る ガープス の中核となるコンセプトもいくつかあった。
1986-1987年
最初のBasic Setの2つの版が出版される。紙の駒・戦闘マップ・サイコロ・2冊のルールブック(『1巻 : キャラクター』と『2巻 : キャンペーン』)が入ったボックスのセットで発売される。
1988年
第3版の GURPS Basic Set [11] が1冊組のルールブックで発売される。ガープスが Best Roleplaying Rules of 1988 でオリジン賞を受賞[12]
1989年
第2版から第3版にキャラクターのデータを移行する方法を80ページにわたって記載した GURPS Update[13] が発売される。
1990年
その名の通りサイバーパンクのジャンルを扱った近未来のディストピアな世界観でサイボーグインプラントなどの人体改造や脳に直接コンピュータを繋いでサイバースペースでネットランニング(ハッキング) ができる初版の GURPS Cyberpunk [14] (日本語版は『ガープス・サイバーパンク[15]) が発売。ガープス はテキサス州オースティンにあるスティーブ・ジャクソン・ゲームズ社のオフィスがアメリカ合衆国シークレットサービスによって強制捜査を受けたとき、ハッカーのサブカルチャー[16]と交わった。ターゲットはベル・サウス社(英語版)から盗まれたEnhanced 911(英語版)危機対応システムに関係している GURPS Cyberpunk[14] の著者だった[17]。この事件は電子フロンティア財団の創立のきっかけになるほどの影響を与えた。この捜査はサンデヴィル作戦の一部でFBIによるものと誤解されがちだった。サンデヴィル作戦は同時に起きたが、まったく単独で発生していた[18]


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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