ガーシア級フリゲート
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ガーシア級フリゲート
FF-1041 ブラッドレイ
基本情報
艦種航洋護衛艦 (DE)
フリゲート (FF)
命名基準海軍功労者 一番艦はフェルナンド・ルイス・ガルシアに因む。
運用者 アメリカ海軍
 パキスタン海軍
 ブラジル海軍
建造期間1962年 - 1965年
就役期間1964年 - 1990年
建造数10隻
前級ブロンシュタイン級
準同型艦ブルック級(DEG→FFG)
グローバー (AGDE→AGFF)
次級ノックス級
要目
基準排水量2,624トン
満載排水量3,400?3,560トン
全長126.33 m
最大幅13.47 m
吃水7.9 m
ボイラーFW式堅型過給水管ボイラー×2缶
(84.4kgf/cm2, 510℃)
主機WEC蒸気タービン×1基
推進器可変ピッチ・プロペラ×1軸
出力35,000 hp (26 MW)
最大速力27ノット
航続距離4,000海里 (20kt巡航時)
乗員士官13名+下士官兵196名
兵装

38口径127mm単装砲×2基

アスロックSUM 8連装発射機×1基

533mm連装魚雷発射管×1基
(後日撤去)

324mm3連装魚雷発射管×2基

搭載機QH-50 DASH×2機(就役時)
SH-2F LAMPSヘリコプター×1機(改装後)
FCS

Mk.56 主砲用×1基

Mk.114 水中用×1基

レーダー
AN/SPS-40 対空捜索用×1基

AN/SPS-10 対水上捜索用×1基

LN-66 航海用×1基

ソナー
AN/SQS-26AXR 艦首装備式×1基(前期型)

AN/SQS-26BX 艦首装備式×1基(後期型)

AN/SQR-15曳航式×1基 (一部艦)

電子戦
対抗手段
AN/WLR-1 電波探知装置



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ガーシア級フリゲート(ガーシアきゅうフリゲート、英語: Garcia-class frigate)は、アメリカ海軍フリゲートの艦級。先行するブロンシュタイン級(SCB-199)の拡大改良型として、1961年度から1963年度にかけて10隻が建造された。基本計画番号はSCB-199A[1]。当初は航洋護衛艦 (DE) として類別されていたが、1975年の類別変更に伴ってフリゲート(FF)に再類別された[2]
来歴

アメリカ海軍は、1960年度(FY60)においてブロンシュタイン級航洋護衛艦(DE)2隻を建造した。これは新型のAN/SQS-26探信儀アスロック対潜ミサイルといった新しい対潜戦装備を搭載しており、戦後第2世代の航洋護衛艦の嚆矢であった[3]。しかし一方で、装備の充実と艦型の拡大の結果、速力は26ノットに留まっており、敵潜水艦と、護衛すべき民間船舶とがともに高速化が進んでいたことから、速力不足の問題が指摘されていた。蒸気を高圧化すれば更に1ノットは高速化できると考えられたが、こちらは同級には間に合わず、1961年度艦から導入されることとなった[4]

一方、大西洋艦隊駆逐艦部隊(DesLant)司令官ジョン・ダニエル少将は、1956年12月には航洋護衛艦のミサイル艦化を提唱しており、基本計画審議委員会(SCB)でも、1959年8月頃より、最大限の対潜戦能力と一定程度の対空・対水上戦能力を備えた駆逐艦についての検討が着手されていた。これらの検討を踏まえて、1960年3月、艦船局(BuShips)局長ジェイムズ少将は、1962年度計画で、ブロンシュタイン級の系譜となるミサイル護衛艦(DEG)を建造するよう提言した。そして同年10月の基本計画審議委員会(SCB)において、砲装型とミサイル型のDEの建造が発表された。この砲装型DEとして建造されたのが本級である。一方、ミサイル護衛艦(DEG)として建造されたのがブルック級であった[5]
設計

機関の強化に伴って、船体はほぼ完全な新設計のものとなった[5]。船型は、ブロンシュタイン級の船首楼を艦尾まで延長した遮浪甲板型となり、また船体も大型化して満載排水量で3,400トンを超えることになった[6]。これにより艦中央部への構造上の負荷が増大したことから、駆逐艦に準じて、艦のガーダー構造の中央部半分はMS鋼からSTS高張力鋼に変更された。また同時に、枢要区画には弾片防御が導入されている[5]対潜戦のパッシブ化に対応して、水中放射雑音の低減措置が講じられているほか、航空運用能力強化のためフィンスタビライザーが搭載された[7]。なお探信儀をバウ・ドームに収容したことから、投錨時にこれを損傷しないよう、錨は前方に突き出た艦首前端と、前部備砲直前の左舷側に収められている[8]

上記の経緯により、本級では蒸気の高圧化が図られることになった。ボイラーはフォスター・ホイーラー式の堅型過給水管ボイラーが採用され、蒸気性状は主力戦闘艦並みの圧力1,200 lbf/in2 (84 kgf/cm2)・温度510 °C (950 °F)となった[9]

このボイラーは本級で初めて採用されたもので、ボイラーから排出された燃焼ガスで過給機のタービンを回して圧縮機を駆動、給気(空気)を圧力65 lbf/in2 (4.6 kgf/cm2)・温度490 °F (254 °C)に加圧して火炉に送ることで燃焼ガスを高密度化し、水管への熱伝達を向上させ、主缶の出力と効率の向上および小型化を図るものである。これにより、ブロンシュタイン級フリゲートと同レベルの重量・容積でありながら、70パーセントの出力増加を達成した。ただしこれによって、燃料としては低質油を使えなくなり、ND海軍蒸留油を使うこととなったほか、高圧蒸気使用に伴って、主缶の保守・整備に非常に手がかかることになった[9]

主機はウェスチングハウス式ギアード・タービンとされた。これは高・低圧の2胴構成で、減速歯車装置(2段減速)によって1軸に統合されている[9]。本級は明らかに量産向きの艦ではなかったが、量産性を考慮して導入された1軸推進方式は踏襲された。設計上の最大速力はブロンシュタイン級より1ノット速い27ノットとされた。これは空母機動部隊を構成できるほどの速さではなかったが、対潜掃討群(hunter-killer group)には参加可能と考えられた。なおネームシップの海上公試では30ノットの速力が記録された[5]


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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