ガンダムセンチュリー
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宇宙翔ける戦士達
GUNDAM CENTURY
編集者
松崎健一
イラスト安彦良和中村光毅加藤直之
宮武一貴美樹本良晴、他
発行日1981年9月22日(初版
2000年3月15日(復刻版)
発行元みのり書房
樹想社(復刻版)
ジャンルファンブック設定資料集
日本
言語日本語
形態並製本
ページ数176
コード雑誌コード 01588-9
ISBN 4-87777-028-3(復刻版)

ウィキポータル アニメ

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『ガンダムセンチュリー』(正式名称『宇宙翔ける戦士達 GUNDAM CENTURY』(そらかけるせんしたち ガンダムセンチュリー[注釈 1]))は、1981年みのり書房から発行されたアニメ『機動戦士ガンダム』関連のムック[注釈 2]である。発行日は奥付[注釈 3]には昭和56年(1981年)9月22日発行と記載されているが、実際はそれより一ヶ月早い、1981年8月20日に発売されている[1]

『機動戦士ガンダム』の制作に携わったスタッフによるエッセイ外伝短編小説1980年頃における宇宙開発技術やロボット技術の解説、総監督の富野喜幸(現:富野由悠季)らによる座談会などで構成されている。

その中でも「グラフィック ジオン戦記」「GUNDAM MECHANICS」の節は、アニメ本編で語られなかった各種設定が外部スタッフによって補強・創作され、それらは現在に至るまで宇宙世紀を舞台とする「ガンダムシリーズ」の映像および外伝作品にも影響を与え続けている。
経緯

1980年代初め、アニメ『機動戦士ガンダム』は一大ブームとなり、複数の出版社から多数の関連書籍が発行された。しかし、その内容の大半はアニメ本編を解説・紹介したものであり、単なる副読本の域を出るものではなかった。

『ガンダム』の「モビルスーツ」はそれ以前のロボットアニメとは一線を画すリアリティをもった兵器として描写されてはいたが、当時の制作環境による表現上の制約もあり、特にこの作品に興味のない者にとっては、従来のスーパーロボットと変らぬ認識をされていた。しかしその一方で、コアなアニメファンたちの中には映像作品中で語られなかった部分を自ら考証する「設定遊び」を行う者もいた。

アニメ・SF関係の企画集団である「スタジオぬえ」のスタッフを含むメンバーを中心とした同人サークル「SFセントラルアート」の同人誌(ファンジン)『Gun Sight』[注釈 4]もその一つであり、アニメ本編で具体的な説明のなかったSF考証や兵器解説・戦史を非常に詳しく描いていた。これは後に「スタジオぬえ」のメンバーでもあり、ガンダム本編に脚本家として参加していた松崎健一と、サブカルチャー誌的傾向のあったアニメ雑誌月刊OUT』の当時の編集長大徳哲雄により商業誌に発展、設定考証の他、スタッフインタビューや座談会、G・K・オニールスペースコロニー計画や指向性エネルギー兵器パワードスーツなどの記事を加えて再編集され、『ガンダムセンチュリー』として刊行された。

このムックの最大の特徴は、アニメ本編に使われたフィルムの画像やセル画が1枚も掲載されておらず、全て書き下ろしの新作イラストが使われている事である。アニメスタッフによるエッセイのページにのみ、アニメの原画が掲載されている。また当時のガンダム関連書籍と異なり、表紙にモビルスーツもキャラクターも描かれておらず、横文字のタイトルロゴジュラルミンリベットを打った航空機の外装風のブックカバー[注釈 5]だった[注釈 6]

『月刊OUT』本誌の定価が430円だった当時、1,800円という価格もあって売れ行きは良くなく、『月刊OUT』に掲載されたゆうきまさみの漫画の中で「ガンダムセンチュリー売れてないでしょ」と揶揄されて描かれているほどだった[3]。それにより一度回収され、新品のブックカバーに付け替えられた後に再発行された。しかし今度は、タイトルロゴ[注釈 7]が印字されずに発行されるというミスにより、直ちに再回収されるアクシデントも発生し、ロゴなしの本書はプレミアム価格となっている。
作品世界への影響

本書および前身となった同人誌『Gun Sight』により創作されたガンダム世界の専門用語や設定は実に多い。「ミノフスキー物理学」「エネルギーCAP」「Iフィールド」「ミノフスキー・クラフト」「フィールド・モーター」といったミノフスキー粒子関連用語や、「ブリティッシュ作戦」「流体内パルスシステム」「AMBACシステム」といった単語、ザクのバリエーションタイプ(MS-06C、MS-06T、MS-06F、MS-06J、MS-06E、MS-06R、MS-06S、MS-06Zの各型式と用途)、ゲルググギャンが競争試作の関係にあったこと、アッガイにザク用の熱核反応炉の改造型が使われていること、ZIONIC(現在ではZEONICと綴る)、ZIMMADMIPなどの兵器メーカーといった設定がある[注釈 8]。なお、これらのプロトタイプとも言える9頁の記事(原稿と書き下ろしイラスト)が、徳間書店から発売された『ロマンアルバム・エクストラ 42 機動戦士ガンダム(劇場版)』[4]に「SCIENCE ESTABLISHMENT 虚構空間の機動戦士ガンダム」というタイトルで掲載されている[5]

ブリティッシュ作戦の攻撃目標が地球連邦軍総司令部ジャブローの破壊であること[注釈 9]、落下したコロニー前頭部がオーストラリアシドニーを直撃したこと、コロニー落下の破壊力がTNT換算で6万メガトンに相当(広島型原爆300万発分)とされたのも『ガンダムセンチュリー』が初出である[6]

それを搭載するためにムサイの形状が決定したとされる円錐台形の巨大な降下カプセル・HRSL(大重量強襲可帰還揚陸艇)は本書で初登場している。後にアニメ本編でも自力での打ち上げが可能なHLVとして登場しているが、これはそれ以前にワールドフォトプレス社の『メカニックマガジン』誌に掲載された記事で、記事内の仮想戦記の人名はガンダムキャラからきていたもののガンダム世界とは関係なく発表されていたものである。


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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