ガイア仮説
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ガイア理論(ガイアりろん)とは、地球生物が相互に関係し合い環境を作り上げていることを、ある種の「巨大な生命体」と見なす仮説である。ガイア仮説ともいう。

生物学リン・マーギュリス気象学者アンドリュー・ワトソンなどが支持者に名を連ねる。
目次

1 概説

1.1 影響


2 当初の批判と批判に対する反証

2.1 デイジーワールドという反証


3 ガイア理論から生態学への継承

4 同理論の影響が見られる作品

5 出典

6 関連項目

7 参考文献

8 外部リンク

概説

ガイア理論は、NASAに勤務していた大気学者で、化学者でもあったジェームズ・ラブロックにより1960年代に仮説が提唱された。ラブロックは当初、この理論を「自己統制システム」と命名したが、後に作家のウイリアム・ゴールディングの提案により、ギリシア神話の女神「ガイア」にちなんだ名前へ変更した(科学者の中にはメタファーに対する理解が乏しかったりメタファーを嫌ったりしている者が多いので、この「ガイア」という命名が、科学者の感情的な反発を招いた面もある、ともいわれる)。

提案時は、主に気候を中心とした、生物と環境の相互作用についての仮説であった。この相互作用には、何らかの「恒常性」が認められる、としたものであった。当初は理解されなかったが、次第に賛同者を得て、シンポジウムも開かれるようになった。また、批判によって理論が鍛えられ緻密化し、さらに多くの賛同者を得ていった。ガイア理論に当初は否定的だった科学誌『Nature』も、やがてこの説を評価するようになり、1990年代以降には、公式に認められたといってよいような状態になっている[1] 外から見た地球の写真(ブルー・マーブル)。 ここ数十年、こうした写真を目にすることになったことも、ガイア理論のような地球全体に関する理論の成立に役立っているという[2]
影響

ガイア理論では、地球があたかもひとつの生命体のように自己調節システムを備えている、としている。そのような観点に立つと、地球環境に対して人為的な介入を行うことについては、現代の科学技術による近視眼的・部分的な措置を計画したりするのではなく、もっと、地球の大きな生命の流れ、とでも呼んだほうがよいような、全体的な何か、に配慮したうえで判断をすべきだ、との見解・説も生まれている。ガイア理論の、このような全体論的な地球の把握方法は、人間中心の視点でのエコロジーではなく、生態系がそれ自体で固有の価値を有しているからエコロジー活動を行うのだ、とするディープエコロジーにも大きな影響を与えている[3]
当初の批判と批判に対する反証

上述のごとく、発表当初、反応は芳しくなかった。科学者らはガイア仮説を無視していた[2]。また、ガイア仮説に対しては、発表当初は強い批判が存在していた。批判者としては、フォード・ドゥーリトル、リチャード・ドーキンスが挙げられる[2]。またスティーヴン・ジェイ・グールドも挙げられる。

ラブロックは、それらの批判者たちに対して、著書で感謝の言葉を述べている[2]。おかげで当時のガイア説が、理論面に関して言えばまだ弱いところがあることに気づくことができたという[2]

大半の科学者はガイア説のことを、「生物相による予測や計画がなければなり立たない合目的論的な概念なのだろう」と思っていた[2]。つまり大半の科学者らは「バクテリアや樹木や動物が、最適生活条件を決定するために会議をひらくようなことはしていないぞ」などと考えていたのである[2]

ガイア仮説を実際に裏付ける様々な証拠・材料(=現象そのもの)がいくつもあったが、当時の科学者の大半は惑星制御のメカニズムを理解できなかったので、そういった現象が存在していること自体を否定し、あげくの果ては、ガイア仮説に「合目的論」とのレッテルを貼り付けた(烙印を押した)のである[2]。(注:科学者の中には、いわゆる"メカニズム重視の者が多く、現象が実際にあるとの証拠が見せられていても、自分たちの理論が未熟なせいで現象を説明できないでいる時など、こともあろうに科学にとって一番大切なはずの《証拠そのもの》や《現象そのもの》を拒絶したり無視したりすることで、自分たちが愛着を感じている旧来の理論体系に固執し、それを守ろうとする過ちを犯すことがある[2])。生物学者や科学者の中には「自然は絶対的で、一方的に生物に影響を与えているはずだ」だとか「自然は生物の影響を受けるはずがない」だとか「自然は客観的でなければならないのだ(そうであってくれないと困る)」といった考え(現在、よくよく冷静に検討してみれば、実はあまり根拠があるとは言いがたい考え、一種の固定観念)を無自覚なままに持っている人がいる[2]


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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