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やノートページでの議論にご協力ください。カーナビゲーション(英語: Automotive navigation system)とは、電子的に自動車(やオートバイや自転車など)の走行時に現在位置や目的地への経路案内(道案内)を行う機能である。そして「カーナビゲーション・システム」と言えば、その機能を搭載した電子機器のことである。それらは略して「カーナビ」と呼ばれることが多く(オートバイ用は「バイク用ナビ」と略され)、さらに短く「ナビ」と略されることもある。[注釈 1]
カーナビは、狭義には車載の固定式機器だけを指すが、広義にはカーナビから発展した携帯型ナビゲーション装置やスマートフォンにインストール可能なナビゲーションソフト(道案内ソフト)なども含まれており[1]、本項目ではそれら各種を分類しながら以下で説明を行う。 カーナビは、自車の位置を知ることと、自車の位置を基に目的地への道案内をするのが主な機能である。自車の位置の表示は通常は画面に表示された地図上の表示で行い、道案内のほうは地図上の道路の表示(たとえば進むべき道路の表示色を変える)などに加えて音声による指示(たとえば「50メートル先の交差点を左折します」など)を併用することが多い。 自車位置を知る仕組みとしては、GPS衛星などGNSSからのGPS位置情報が基本であるが、GNSSだけでは誤差があること、トンネルや高層建築物や山の陰では、上空からの電波が受信できないことから、カーナビ内の加速度センサとジャイロ、タイヤの回転に伴う車速信号の情報による自立航法と併用している。 経路案内は、詳細な道路情報を含んだ地図データを内蔵することにより、運転者に対して目的地までの進むべき道を示す。内蔵の地図は、カラー液晶ディスプレイ上に表示され、加えて合成音声による進路の案内が行える。製品によっては渋滞情報や空き駐車場情報の提供や、目標物の擬似立体表示などの付加的機能が備わっているものもある。 当初は、自動車(四輪車)用の行き先案内を行う車載の固定式電子装置だけであったが、二輪車用も登場し、2005年からは採用されている技術の一般化や部品の低廉化、装置の小型化に伴ってPNDと呼ばれる、車載用だけに限らない携帯可能な個人用ナビゲーション機器が現れている。その後、電子技術の向上に伴って、カーナビが提供する機能の多くが、小型の電子部品やアプリケーションソフトウェアで実現できるようになり、2009年からは専用機であったPNDから、高機能な携帯電話やスマートフォンの1機能に含まれるようになっている[1]。→#歴史 従来からある車載固定形式のカーナビはオンダッシュ型、インダッシュ型、AV一体型があり、その後、登場したポータブル型やPNDでは車に固定もできるようになっている形式が一般的である。新たに登場したスマートフォンなどは、固定方式を含めて未知数の部分が多い。 オンダッシュ型はダッシュボードの上に表示部を持つ形式であり、視認性が良い。輸入車をはじめとする一部車種では、カーオーディオ類を取り付けるためのDINスペースが1段分しかなかったり、そもそもDIN規格ですらない場合もあり、インダッシュ型・AV一体型が取り付けられない車種や、2段DINスペースが確保されていてもインダッシュ型・AV一体型では視認性に難がある場合に用いられることが多い。特に助手席エアバッグのない車種だと取り付けても前方視界を妨げる可能性は低い。当初はカーナビゲーションのほとんどがオンダッシュ型であり、安価なため2DINスペースが存在する車種でも利用されてきたが、AV一体型タイプの普及、ポータブル型の性能向上によって衰退し、現在では輸入車などの取り付けに制限のある車種を考慮して一部メーカーが生産しているのみとなった。 モニターをカーオーディオなどを収めるための1DINスペースに取り付ける形式である。性能はオンダッシュ型と同等。純正および市販のカーオーディオと組み合わせて使う。オンダッシュ型でもそうだが一部の機種では標準でFMモジュレーターを内蔵しており純正カーオーディオでCD/DVDなどの音声をFM電波で出力できるものもある。未使用時・駐車時はモニターを格納できるので、車上荒らしに遭いにくいといわれていたが、オンダッシュ型に比べて高価であったために狙われることも少なくなかった。アンプ内蔵のHDD方式のAV一体型ナビゲーションも一部メーカーで発売されたがオンダッシュ型と同様に、AV一体型の普及により下火となっている。 AV一体型はカーナビにカーオーディオとテレビ機能が一体化した形式であり、音声と画像の機能が連携しており操作も統一されている。通常は2DINタイプのオーディオスペースを占めるので、設置できる自動車に制限がある。操作はパネルのボタンだけでなくタッチパネル式やリモコンを備えるものもあり、音声認識機能を持つ製品もある。上級機種などでは1DIN+1DIN形式もあり、一方の1DINを他の場所に置くことで1DIN規格の自動車にも対応できる。また、近年はテスラ・モーターズに代表されるようなスピードメーターやエアコンの制御画面と一体化して車内の情報処理を一括して担う機能をもたせたものが高級車標準搭載品を中心に増加している。他に、レクサスやBMWのiDrive 初期には、音楽用CDのドライブで地図データ用CD-ROMを読み込むために音楽を再生しながらカーナビ機能が使えない製品も存在したが、オプションのCDチェンジャーを利用したり、機器内に2つのCD/DVDドライブを持つものや、HDDやSDカードなど、別の記録媒体との併用により、こういった問題は解消されている。上位製品では、DVDソフトの動画を後席のモニタで再生しながら、前席ではカーナビ表示が行えるものも存在する[注 1]。当初は高価であったためにあまり普及しなかったが、価格の下落や機能を割り切った安価な2DINメモリーナビの登場、自動車の2DINスペース仕様の強化もあってオンダッシュ型・インダッシュ型を駆逐している。メリットは収納的に優れていて画面が大きいため操作がしやすく、車内設置に特化しているため車の走行データを受け取ることで精度が高い点がある。弱点としては、値段が高い点と、特に日本国外において盗難に合いやすい点と、搭載データの更新が非常に高額[注 2] で頻度が少ない機種が多いこと、などがあげられる。また、純正品と呼ばれる新車注文時に取り付けるタイプのものは車を買い換えたときに取り外せないことが、あげられる。 2011年には機能的には単なるモニター付きカーオーディオだが後述のスマートフォンを連携させるとカーナビゲーションとして利用できる機種もパイオニアなどから発売している。さらにパイオニアからは光学ドライブレス仕様も発売している。
概要
歴史
分類
オンダッシュ型アストンマーティン V8 Vantageのカーナビ
インダッシュ型BMW 530i Sport Individualのカーナビ
AV一体型ギャザズ VXH-072CV
2DINサイズHDDナビ(クラリオン製)2DIN AV一体型カーナビゲーションシステムの例:三菱マルチエンタテインメントシステム(三菱コルトプラス)
オートバイ搭載用バイク用ナビのGarmin6210をBMW R1200RT
オートバイ搭載用の機種は、バイク用ナビなどと略され、防水耐震匡体、直射日光下でも見やすい反射型液晶、ヘルメットに内蔵可能なワイヤレスイヤホン、手袋をしたままでも操作しやすいボタン等を装備しており、オートバイ用品店などで販売されている。一部の大型バイクやスクーターではメーカー純正オプションとしての装着も行われている。
ポータブル型三洋電機 初代ゴリラ
ポータブル型はカーナビ本体をスタンドから自由に取り外せる形式である。多くの機種がオンダッシュ型のディスプレイ同様にダッシュボード上のスタンドにカーナビ本体を設置する。CD-ROMだけを搭載した廉価機から、DVDとHDDの2つのドライブを搭載した上位機まで多様である。家庭用テレビに接続できるタイプも多く、DVDビデオ再生可能機種はDVDプレーヤーとしても利用できる[注 3][注 4]。着脱が簡単で携帯性に優れており自宅や出先でのバッテリー動作や、また二輪車での利用も考慮されている製品もある。現在ではCD、DVD、HDDモデルの旧来の機種は全て生産終了されPNDの生産に切り替わっている。
オンダッシュ型・インダッシュ型・AV一体型(据置型)と比べて安価であったため、「今いる場所が分かる地図」として使用するライトユーザーや、複数台自動車を所有し載せ替えて使用するユーザー、普及以前のレンタカー会社、元々地理に明るいタクシードライバーやトラックドライバーが使用するケースが多かった。
かつてはほとんどの機種がGPS情報だけで測位・案内を行っていたため、ビル街等の空が見渡せない場所での表示誤差が非常に大きく、トンネル内では案内を中断してしまうこともあり、据置型との価格差以上の性能差があるとされたが、GPS信号を処理するコンピュータの性能向上、自立航法ユニットの内蔵や車速信号の入力端子を設けるなどして自車位置表示性能を向上させた。また近年ではポータブル型では不可能であった3D描写やドライバー目線の表示もできるようになった。
PND詳細は「PND」を参照
PND(Personal Navigation Device)と呼ばれる携帯が可能なナビゲーション用の装置が一定のシェアを獲得した時期があった。現在はスマートフォンの普及により独自の利点が少なくなり、シェアは縮小している。
当初はGPSによる位置情報を得る低価格な携帯機器として登場したが、詳細な地図データと加速度センサやジャイロセンサを搭載することで高精度なナビゲーションが可能になった。車輌固定型のカーナビとは異なり、タイヤの回転に伴う車速信号を得るようにはなっていないものが多い。一般的には、地図情報の記憶媒体には内蔵のフラッシュメモリーかメモリーカードを採用し、液晶画面を小型化することで片手で持てる大きさの、アンテナや電池まで含んだ一体型の本体形状である。5型 - 7型のモニタサイズが主流であるが、3.5型といった小さなものもある。低廉な価格でPDAのようにオーディオ再生やカメラ撮影と画像再生機能まで含むものが一般的になってきており、従来の車載型カーナビの市場を奪う存在になっているが、近年はスマートフォンの普及による新しいタイプの機種との市場競争が激しくなりつつある。メリットは、ある程度安価で持ち運びが自由な点にあり、デメリットとしては、表示画面が小さいものが多く、画面が大きいものは設置場所に制約を受けるケースが多いことがあげられる。
レーダー探知機にPND機能を一体化させたものや、気圧計を組み込み、精度を向上させている機種もある。
欧米では以前から、防犯上の理由や日本ほど街路が入り組んでいないことから、PNDのような機器が販売されていたが、日本でも高機能を必要としない層への普及や、同時に使用しないセカンドカーやサードカーとの共用、オートバイ・自転車あるいは徒歩での利用などへの市場が拡大している。
PNDを車載にする場合は、PND本体を直接ダッシュボードへ粘着テープで固定する形式と、車載用の固定スタンドによって脱着可能な形式がある[注 5]。 携帯電話やPHS、スマートフォンにGPS/GNSS受信機を搭載し、アプリケーション・ソフトや通信契約によってナビゲーション機能を提供するものも登場した。 通信機能を持つ情報携帯端末であればテレマティクスによる高度なナビゲーション機能が比較的容易に実現できるため、通信機能を持たない従来型のカーナビでは提供できなかったサービスが可能になると期待された。 AndroidスマートフォンはGoogle マップアプリにナビゲーション機能(Google マップナビ)を搭載しており、音声ナビも行ってくれ、無料で使用することができる。この機能は自動車・オートバイ・自転車の運転者だけでなく、歩行者までかなり広く使われている。 スマートフォン用のプラットフォームで大きな位置を占めるGoogleは、基本的に無料であるAndroidの初期リリース時からPND相当機能Maps Navigationを含めて開発し、2009年10月に発表されたAndroid 2.0では通信切断後も端末ローカル上で地図データを保持することでPNDとしての利便性を実用的なものとした。[注釈 2][1]。 メリットは、何よりも利用者がいつも携帯しているスマホ1台でナビも済ませられ、機器の数を無駄に増やさずに済む(高い費用を払って別に購入したり、専用の機器をいちいち持ち運ぶ必要がない)ということであり、また機能や地図データ更新が無料である点も挙げられ[注釈 3]、デメリットはもともとは位置情報の取得方法がGPS/GNSSに限られ専用機に比べると精度が良くなかった点(後に携帯電話基地局の情報やWi-Fi情報を組み合わせるようになり次第に解消)や、スマートフォンの電池の消費が激しくなる点であった。[注釈 4] だが、やがてGPSの精度が向上した機種が増え、またGoogle側もさまざまな補正技術(基地局情報や利用者周囲のWifi電波の強弱情報や加速度センサーの情報を位置判断に加味するなど)を向上させたことにより、2020年代に入るころには精度がかなり向上した。消費電力量が増える点に関してもスマホの内蔵バッテリーが総じて大容量化したり、大容量のモバイルバッテリー(リチウムイオンバッテリー)が安価に流通しそれで追加充電すれば済むようになり、あまり問題にならなくなった。 スマートフォンのマップアプリ(ナビゲーションアプリ)は便利になり、ナビゲーション専用機のPNDの市場を奪いとった。 スマートフォンを車に接続して、車のナビゲーションシステムやディスプレイ搭載カーオーディオとスマートフォンのナビアプリを相互接続するタイプである。AppleのCarPlayや[2]、グーグルのAndroid Autoがリリースされている[3]。車に搭載されたGNSSや車速センサーなどにアクセスできるため、スマートフォン単体に比べて精度の高いナビゲーションが可能になるが、ディスプレイ搭載カーオーディオの場合は、スマートフォンに搭載されている位置情報や加速度センサーなどにアクセスするため、精度はスマートフォン単体と変わらないデメリットがある。
携帯電話・スマートフォン
スマートフォンスマートフォンのナビゲーション機能を自転車で利用している例
モバイル端末接続型