カンフル
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「カンフル」はこの項目へ転送されています。ドナルド・トランプCOVID-19を指して用いた名称「Kung-Flu」については「武漢肺炎」をご覧ください。

ショウノウ (1R,4R)[1][2]

IUPAC名

ボルナン-2-オン
系統名1,7,7-トリメチルビシクロ[2.2.1]ヘプタン-2-オン
別称2-ボルナノン、2-カンファノン、カンファー
識別情報
CAS登録番号76-22-2 , 464-49-3 (R) , 464-48-2 (S) 
PubChem2537
9543187 (R)
10050 (S)
ChemSpider2441 
7822160 (R) 
9655 (S) 
UNII5TJD82A1ET 
EC番号200-945-0
国連/北米番号2717
KEGGD00098 
MeSHCamphor
ChEBI

CHEBI:36773

ChEMBLCHEMBL15768 
IUPHAR/BPS2422
RTECS番号EX1225000
バイルシュタイン1907611
Gmelin参照83275
3DMet ⇒B04729
SMILES

CC1(C)C2CCC1(C)C(=O)C2

O=C1CC2CCC1(C)C2(C)C

InChI

InChI=1S/C10H16O/c1-9(2)7-4-5-10(9,3)8(11)6-7/h7H,4-6H2,1-3H3 Key: DSSYKIVIOFKYAU-UHFFFAOYSA-N 

InChI=1/C10H16O/c1-9(2)7-4-5-10(9,3)8(11)6-7/h7H,4-6H2,1-3H3Key: DSSYKIVIOFKYAU-UHFFFAOYAK

特性
化学式C10H16O
モル質量152.23 g mol?1
精密質量152.120115134 g mol-1
外観半透明の白色結晶
密度0.990 g cm-3
融点

175-177 °C, 448-450 K, 347-351 °F
沸点

204 °C, 477 K, 399 °F
への溶解度1.2 g dm-3
アセトンへの溶解度~2500 g dm-3
酢酸への溶解度~2000 g dm-3
ジエチルエーテルへの溶解度~2000 g dm-3
クロロホルムへの溶解度~1000 g dm-3
エタノールへの溶解度~1000 g dm-3
log POW2.089
蒸気圧4 mmHg (70 °C)
比旋光度 [α]D+44.1°
危険性
EU分類 F Xn
NFPA 704220
RフレーズR11 R22 R36/37/38
SフレーズS16 S26
引火点64 °C
爆発限界3.5%
関連する物質
関連するケトンフェンコンツジョン
関連物質カンフェンピネンボルネオール10-カンファースルホン酸
特記なき場合、データは常温 (25 °C)・常圧 (100 kPa) におけるものである。

樟脳(しょうのう)は、分子式 C10H16Oで表される二環性モノテルペンケトンの一種である。カンフルあるいはカンファー(: kamfer、: Kampfer、: camphor、: camphre)と呼ばれることもある。IUPAC命名法による系統名は 1,7,7-トリメチルビシクロ[2.2.1]ヘプタン-2-オン、また、母骨格のボルナンが同命名法における許容慣用名であるため、そこからボルナン-2-オン(bornan-2-one)、2-ボルナノンなどの名称が誘導される。ほかの別名は、1,7,7-トリメチルノルカンファー、2-カンファノン、2-カンフォノン、またはカラドリル。目次

1 性質と存在

2 製造

3 用途

3.1 歴史


4 応用品

5 脚注

6 関連項目

7 外部リンク

性質と存在

樟脳は融点 180°C、沸点 208°Cの白色半透明のロウ状の昇華結晶であり、強く刺すような樹脂系の香りを持つ。クスノキ精油の主成分であり、他にも各種の精油から見出されている。クスノキはアジア、特にボルネオに産することから、樟脳の別名の起源となっている。

また初期の有機化学において、この化合物は精油から容易に得られる結晶性テルペノイド化合物の中でも代表的なものであったため、camphorは他の精油から得られた結晶性テルペノイドの総称としても用いられた。テルペノイド化合物の研究でノーベル化学賞を受賞したオットー・ヴァラッハは"Terpene und Campher"という題名の書を著しているが、このCampherはそういった結晶性テルペノイド化合物の総称として用いられている(一方、Terpeneは液体テルペノイド化合物の総称として用いられている)。また、他の植物の精油から得られた結晶性テルペノイド化合物を植物名+camphorで命名することもしばしば行われた(この場合の camphor は「脳」と訳される)。代表的なものにmint camphor 薄荷脳(メントール)やborneo camphor 龍脳(ボルネオール)などがある。
製造

クスノキの葉や枝などのチップを水蒸気蒸留すると結晶として得ることができる[3]。クスノキの中に含まれている樟脳はd体である。製造工程としては、クスノキを切削機で薄い木片に砕いて大釜に入れ、木の棒などで叩いて均等に詰めたのち、高温で蒸して成分を水蒸気として抽出し、それをゆっくり冷却して結晶化させる。冷却器の中の水の表面に浮いた白い結晶を網ですくい集め、乾燥後、袋詰めなどをして商品とする。この天然樟脳の製造所は、2006年時点では江戸時代から続く内野樟脳(福岡県みやま市)の1軒のみだったが[4][5]、その後の技術指導などにより、2014年時点で全国で4軒を数える[6]

一方、化学合成品はマツ精油などから得られる α-ピネンより合成される。後述の通り1920年代に開発された。α-ピネンを塩化水素で処理すると、ワーグナー・メーヤワイン転位を起こして四員環が開裂し、ボルナン骨格へと骨格変換を起こしてからクロロ化されて塩化ボルニルとなる(この化合物も一時樟脳代替品として使用された)。塩化ボルニルを弱塩基で処理すると脱塩化水素反応を起こすが、その際に再び転位を起こして今度はカンフェンを与える。塩素原子とアンチペリプラナーの位置に水素原子が存在しないためにイレギュラーな脱離が起こる。α-ピネンを活性白土で処理することで直接カンフェンを得る方法も知られている。


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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