カンニングペーパー
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この項目では、試験の不正行為について説明しています。お笑いコンビについては「カンニング (お笑いコンビ)」をご覧ください。
手にカンニングペーパーを隠し持っている様子

カンニング(英語: cheating)とは、日本では試験のとき、隠し持ったメモや他人の答案を見るなどして、答案を作成する不正行為の名称であり、学業不正の1つである。不正行為とも呼ばれる。
語源読売新聞1905年(明治38年)の記事朝日新聞1907年(明治40年)の記事カンニングについての意識調査を呼びかける東京大学の壁新聞(1953年)

語源となったのは英語の"cunning"(カニング - 狡猾な、ずる賢い)であるが、日本語のカンニングは英語ではcheating(チーティング - 不正行為)という。すなわち日本語のカンニングは和製英語である[1]

日本語におけるこの意味での用法としては、

1902年(明治35年)出版の内田魯庵の著書『社会百面相』では、「猾手段」にカンニングと振り仮名が付いている[2]

1905年(明治38年)3月14日の読売新聞朝刊ミニコーナー『もしほ草』に「試験で盗み見することをカニングという」という記事がある。

1923年(大正12年)に芥川龍之介が書いた『大正十二年九月一日の大震に際して』に、また1934年(昭和9年)に発表された夢野久作の短編小説『木霊』にも、この意味での「カンニング」という言葉が出てくる。

これらから、戦前から流布していたことが分かる。
手口

下記のようなものが考えられるが、いずれも不正行為であり、試験中においては挙動不審となりやすい。
記憶しきれない
公式や用語など、テストに出題される可能性があるものをメモにし、筆箱など手元に忍ばせ、試験中に参照する。
このメモを「カンニングペーパー」、略称「カンペ」という(英語ではcheat sheet(チートシート) という)。ただし、試験にメモの内容通りのものが出るとは限らない。また、カンニングペーパー防止のため、試験中に使用する筆記用具以外のものを置くことそのものを禁止する例も多い。一部には辞書・教科書・ノート・メモなどの持込みを許可する試験もあり、その場合、これらの持込物を参照する行為はカンニングではない。(もちろん、これらの持ち込みが許可されていても他人の解答を見ると当然カンニング扱いになる。)ただし、持込物に書き込みをすることは禁止されている場合もあり、そのような持込物への書き込みが発覚した場合はカンニングと見なされることもある。
机の上やのひら、太腿など)や文房具(筆記用具消しゴム等)に直接書き込む。
その対処として、机に落書きが残っている状態のまま試験を受けている場合、試験監督者が無条件でカンニングと見なす場合もある。
他人の解答をのぞき見る。
不自然な方向に視線が移るため、挙動不審になりやすい。また、間違った解答を写してしまうこともある。結果としてのぞき見た答案とよく似た解答が並んだり、あるいは回答がのぞき見た答案と全く同じだったりした場合、採点中にカンニングが発覚することもある。これを防止するため、出題内容を他の受験者とランダムにする場合がある。
友人など、他の受験者からメモを回してもらう。
監督者からはもちろん、他の受験者から見ても明らかに挙動不審である。
成績の良い友人や知人に頼んで、代わりに試験を受けてもらう。
俗に「替玉(かえだま)受験」と呼ばれる手口。他人に替玉受験を依頼する際には多額の報酬を払う必要がある上、現代の試験においては証明写真の提出を求められる場合が多いため発覚しやすい。「知らない人」が受験する性質上、入試や国家試験で行いやすい。当然、2人とも処罰される。学校の定期試験では、顔と名前が一致する生徒が受験するのでもちろん不可能である。
携帯電話を持ち込んで電子メールで教えてもらう[注釈 1]
監督者から見ると、他の受験者と視線が違うので目立つ。2011年(平成23年)の大学入試問題ネット投稿事件で用いられたと思われる。対策として、携帯電話の持込みを禁止したり、使えないようにジャミングを行ったり、試験開始前に試験監督が受験者から預かったり、使用できないように受験者に携帯電話の電源を切ってもらい、試験前にカバンに入れさせたり、電源が切れているか試験監督者が確認したりする。日本での通信機能抑止装置の使用にあたっては、実施者が特別業務の局(従前は実験試験局)の免許を取得し、第三級陸上特殊無線技士以上の無線従事者による管理を要する。
無線による連絡。
小形の無線機を使用し試験会場外と連絡を取る。極小のワイヤレスイヤホンを耳に装着して、支援者から解答を聞くという手法などが考えられる[3]。2012年(平成24年)に起こった運転免許試験カンニング事件では、この手法が用いられている[4]。監督者は、電界強度計を用意し発信源の特定を行う等の対策があるが、基本的に技術開発のイタチごっこであり、手法が出たら対策を行うという関係上、取り締まり側が後手に回ってしまう[5]
机をコツコツと叩くなどして、友達に暗号で教えてもらう。
モールス符号を利用した手口である。音が出るため周囲に目立ちやすく、挙動不審にもなりやすい。他の受験者の筆記に伴う音などで正確に伝えることも難しい。
不正な手段により試験問題の出題内容に関する情報を得る。ただ、それを丸暗記してテストに臨む行為はカンニングとは見做されない(その場で不正行為をしていない為)。
入学試験や資格試験などでは試験問題が漏洩することはほぼありえないが、学校内の定期試験などでは、学生が試験問題を盗み見てしまったり問題作成者が一部の学生に対してのみ出題内容を教えてしまったりすることが少なからずある。試験の成績への影響は非常に大きいが、事前に問題が漏れていたかどうか、誰が情報を不正に入手したかを客観的に判断することは難しい。尚、教師が生徒にテスト範囲を教える事はあるが、これは学校側が生徒側に対し教えなければならない事なので、不正な手段とは見做されない。
試験の実施者や監督者等を買収する。
近年ではあまり見られないが、賄賂や買収も不正の手口として行われてきている。古くでは中国の科挙で買収を試みた例が存在した。
その他の不正行為
試験監督者や試験係員などの指示に従わないなど行為で注意を自身に引きつけ、その間に他人にカンニングさせる。
対策カンニングを防ぐために携帯電話を入れる封筒

電子機器の発達に伴い、カンニング対策も向上している。

例えば大学入試や資格試験においてトイレにおける電子機器使用を防ぐため、トイレに行く際は男性は試験官監視の元で小便器を使う等確実に電子機器が使用していないことが分かる場合に限り試験続行できる場合や、試験中にトイレに行くとその後試験続行できない形になる場合も多く、これらの措置は司法判断でも認められた[6]

また、大学入試においては試験問題を用意している場所への立ち入りを防ぐために、休憩時間を含めて受験生が使用可能な場所を大幅に制限している。そのため使用可能なトイレが限られ、試験会場では男子トイレの個室を中心にトイレが大変混雑してしまう問題がある。

2011年の受験で電子機器を用いたカンニングが起こった京都大学ではカンニング対策を強化しており、通信機能や計算機能を備えた腕時計型ウェアラブル端末が普及してきたことを受けて、入試日は全試験室に電波時計を設置するとともに、受験生に対して、試験室内での各自の時計(腕時計、置時計、スマートウォッチ等)の使用を認めないこととした[7]

中国では金属探知機や小型の電波妨害機器を置き、さらにドローンを飛ばしつ空からも妨害電波を発信するなど徹底した電子機器不正行為対策が行われている[8]
カンニング事件の例

1971年 - 大阪大学大阪市立大学医学部入試問題漏洩事件[9][10]

1977年 - 慶應義塾大学商学部入試問題漏洩事件[11]

1977年 - 群馬県総合交通センター カンニング事件。×とすべき問題番号を貼った鉛筆を持ち込む手口[12]

1980年 - 早稲田大学商学部入試問題漏洩事件[13]

2000年 - 歯科医師国家試験問題漏洩事件

2002年 - 一橋大学学期末試験問題 集団カンニング事件[14]

2004年 - 韓国大学入試問題 集団カンニング事件

2005年 - 台湾大学入試問題 集団カンニング事件

2006年 - 韓国TOEIC 集団カンニング事件


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