カルパティア山脈とヨーロッパ各地の古代及び原生ブナ林
(スロバキア・ウクライナ・ドイツ・アルバニア・オーストリア・ベルギー・ブルガリア・クロアチア・イタリア・ルーマニア・スロベニア・スペイン)
英名Ancient and Primeval Beech Forests of the Carpathians and Other Regions of Europe
仏名Forets primaires et anciennes de hetres des Carpates et d’autres regions d’Europe
面積92,023.24 ha
(緩衝地帯 253,815.38 ha)
登録区分自然遺産
IUCN分類Ia, II, IV
登録基準(9)
登録年2007年
拡張年2011年、2017年
公式サイト世界遺産センター
カルパティア山脈とヨーロッパ各地の古代及び原生ブナ林(カルパティアさんみゃくとヨーロッパかくちのこだいおよびげんせいブナりん)は、ヨーロッパ12か国にまたがるユネスコの世界遺産(自然遺産)登録物件である。登録名は単なる「ブナ林」だが、日本のブナ林とは異なり、ヨーロッパブナの森林を対象とする。当初、東カルパティア山脈に残るヨーロッパブナの原生林が、ヨーロッパに残る同種の森林の中でも樹齢、種類の多様さ、木々の大きさ、範囲の広さなどの点で突出した価値を持つとして、世界遺産に登録された。そのときはスロバキアとウクライナが共有する「カルパティア山脈のブナ原生林」だったが、2011年にはドイツ中部・北西部にある15箇所のブナ林が追加され「カルパティア山脈のブナ原生林とドイツの古代ブナ林」となった。2017年にさらに9か国が追加されて現在の名称と範囲になった。 登録対象はウクライナの6箇所とスロバキアの4箇所、ドイツの15箇所の計25箇所、ほか9か国の自然保護区である。 行政区分上は、全てザカルパッチャ地方に含まれており、スロバキアの登録対象は全てプレショウ県に含まれている。保護区別に見た場合、ウクライナの対象のうち5箇所は、カルパティア生物圏保護区 登録名にも表れているようにブナ科の原生林に覆われているが、標高によってヨーロッパブナ、ヨーロッパナラ、フユナラ(Quercus petraea
目次
1 登録対象
1.1 ウクライナ・スロバキア
2 植物相
3 動物相
4 登録経緯
5 登録基準
6 脚注
7 関連項目
登録対象
ウクライナ・スロバキア
植物相
登録範囲の森林には、確認されているだけでも481種の菌類が生息している。他にも、登録範囲内には地衣類、コケ類などが各400種以上ずつ確認されている。維管束植物は1100種以上である[1]。 登録対象範囲には、73種の哺乳類が棲息しているが、大型哺乳類には、ヒグマ、ヨーロッパバイソン、オオヤマネコなどのように、第二次世界大戦後に他の地域から移入されたものも含まれている。ほかに、20種の魚類、10種の両生類、8種の爬虫類、101種の鳥類などの棲息が確認されている[1]。 元々は「スロバキアの原生林」(Primeval Forests of Slovakia)としてスロバキアが単独申請していた[2]。しかし、2003年の国際自然保護連合(IUCN)の勧告を踏まえて、推薦文書の練り直しが行われ、ウクライナとの共同申請という形で2006年1月に再提出された。2007年の世界遺産委員会で審査され、登録が決定した[3]。 その後2011年にはドイツの古代ブナ林が追加登録された。 IUCNは、「中央ヨーロッパのブナ原生林」(Primeval Beech Forests of Central Europe, 仮題)といった形での更なる拡大の可能性も示唆していたが[4]、2017年には西ヨーロッパや南ヨーロッパにまでまたがる、より広範な拡大登録が実現した。シュトルーヴェの測地弧を超えて、保有国数では最多記録となる。 この世界遺産は世界遺産登録基準における以下の基準を満たしたと見なされ、登録がなされた(以下の基準は世界遺産センター公表の登録基準 この基準の適用は、ほとんど手付かずに残されたブナ林の多彩さが、種の変遷を考える上で重要なものとなっている点が評価されたものである[5]。 スロバキアとウクライナが提出した推薦書は、顕著な自然美を有するとして基準(7)の適用も求めていた。IUCNはヨーロッパレベルの自然美として優れたものであることは認めたものの、全地球規模での顕著な普遍的価値を認めるには不充分という判断を下した。
動物相
登録経緯
登録基準
(9) 陸上、淡水、沿岸および海洋生態系と動植物群集の進化と発達において進行しつつある重要な生態学的、生物学的プロセスを示す顕著な見本であるもの。