カルバマゼピン
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カルバマゼピン

臨床データ
胎児危険度分類

US: D




法的規制

UK: 処方箋のみ (POM)

US: ?-only

薬物動態データ
半減期5-26時間
識別
ATCコードN03AF01 (WHO)
KEGGD00252
化学的データ
化学式C15H12N2O
分子量236.27 g・mol?1
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カルバマゼピン (Carbamazepine) は、抗てんかん薬のひとつである。日本ではテグレトールの商品名で発売され、適応は、てんかん三叉神経痛双極性障害(かつての「躁うつ病」)の躁状態である。長らくてんかんや三叉神経痛の薬として使用されてきたが、1990年より双極性障害の躁状態にも承認された。

世界保健機関WHO必須医薬品モデル・リスト(エッセンシャル・ドラッグ)にも収録されている。
歴史

カルバマゼピンは、1957年にSchindler、Blattnerらによって合成された。その後1963年にスイス、イギリスにおいて抗てんかん薬として発売され、1962年には三叉神経痛の発作抑制効果も発表された[1]。日本では1966年以来、てんかん治療薬、三叉神経痛治療薬として広く使用されている。

さらにてんかんに伴う興奮症状の改善をもたらすことが知られるようになり、1970年代に柴田、竹崎・花岡[2][3]によって抗躁作用が報告され、その後躁病・双極性障害の躁状態に対する治療効果が確認され、1990年に同効能が追加承認された。
適応

てんかん

双極性障害の躁状態、統合失調症の興奮状態

三叉神経痛

有効性

アルツハイマー病などの認知症の周辺症状(BPSD)、なかでも抗精神病薬に反応しない精神病症状や焦燥性興奮に有効である報告がされている[4]。なお、2013年の厚生労働省の認知症の周辺症状(BPSD)に対するガイドラインでは、カルバマゼピンは挙げられていない[5]
作用機序

神経・末梢神経細胞のナトリウムチャネルを遮断することにより、神経の興奮を抑制する。一般的に膜活動電位の立ち上がりが阻害されるため、神経細胞の複雑部分発作に効果があるとされており、側頭葉部分発作の特効薬等として用いられている。
薬物動態

カルバマゼピンに即効性はなく、効き始めるまでに1週間?数週間かかる。定期的に血中濃度を測り治療有効域と中毒域を見極め維持量を決める。投与初期は元々低いクリアランスと、代謝酵素の自己誘導 (auto-induction) が十分に発現していないため血中濃度が著しく高値を示すことがあるが、投与3?4週間以降は投与量に比例した濃度になる。よって投与初期は血中濃度を確認しつつ漸増する必要がある。

定常状態になれば半減期(血中濃度が半分になる時間)は比較的長い。至適血中濃度は一般的には4?12μg/mLだが、9μg以上は中毒症状が出やすくなるため注意が必要である[6]

カルバマゼピンは過量投薬のリスクが高く、治療薬物モニタリングが必要である[7]
薬物相互作用「CYP3A4」も参照

CYP3A4の代謝を誘導するため、他の向精神薬との多くの薬物相互作用が発生する。バルプロ酸ラモトリギンベンゾジアゼピンの多くや、一部の抗うつ薬抗精神病薬などの血中濃度を低下させる。

以下は、添付文書の併用禁忌に記載されている。抗真菌薬ボリコナゾール(ブイフェンド)や肺高血圧症治療薬のタダラフィル(アドシルカ)、グレープフルーツジュースなどとカルバマゼピンを同時に摂取すると、カルバマゼピンの血中濃度が上がり、副作用が強くなるので注意する必要がある。

かつては抗てんかん薬として、また気分安定薬としてもリチウムと並ぶ第一選択薬として広く使われていたが、多様な薬物相互作用のため「使いにくい薬」とされたことに加え、血液障害など副作用が多いためシェアを落とし、副作用の少ない抗てんかん薬が開発されたこともあり以前ほどは使われなくなりつつある[要出典]。
副作用

よくある副作用としては、眠気、運動失調、倦怠感や脱力感、瞬間的な複視(かすみ目)、めまいや立ちくらみ、頭痛・頭重、食欲低下や吐き気・胃痛などの消化器症状などがある。大抵の副作用は投与2?3週間で消えるとされる[8]

2008年、アメリカ食品医薬品局(FDA)は、199の二重盲検試験を分析し、データに用いられた24週間では、抗てんかん薬服用時の自殺念慮や自殺企図が2倍(てんかん用途では3.5倍、精神科では1.5倍)に高まることを警告した(それ以上の期間は単に未調査)[9]


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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