カルダノ_(ブロックチェーン)
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カルダノ
作者Charles Hoskinson, Jeremy Wood
開発元Intersect, IOG (IOHK)

最新版Babbage (PV8) / 2023年2月14日 (15か月前) (2023-02-14)
最新評価版Conway SanchoNet / 2023年8月17日 (9か月前) (2023-08-17)
リポジトリ

github.com/IntersectMBO/cardano-node

プログラミング
言語Haskell TypeScript Python など
種別ブロックチェーン 分散コンピューティング スマート・コントラクト 分散型ID
ライセンスMIT
公式サイトcardano.org
テンプレートを表示

ADA
使用
国・地域全世界
補助単位
 10?6ラブレス (Lovelace)

カルダノ(: Cardano)は、プルーフ・オブ・ステーク (PoS)ブロックチェーンネットワークであり、マルチアセット台帳および検証可能なスマートコントラクトを備えた分散化アプリケーションのためのプラットフォームである。プログラムの正しさの保証性に優れた構築手法を用いて構築されたカルダノは、実用性のあるアプリケーションに必要とされるスケーラビリティ・相互運用性・サステナビリティを実現することを目指している。

カルダノには専用通貨「ADA」(エイダ)があり、暗号資産として世界中の30以上の取引所にて取引されている。日本国内ではBITPOINT・GMOコインなどに上場している。

開発は主に下記の団体により進められている。
Intersect(Intersect MBO)
カルダノの開発・運用をコミュニティ主導とするために設立された団体。誰でも参加が可能であり、分散型の取り組みによってカルダノのエコシステムの成長を促す[1]
カルダノ財団(Cardano Foundation)
スイスに本拠を置く非営利団体であり、カルダノ関連技術の規格化やコミュニティのサポートを担っている。Intersectの登場まではカルダノの統括を担っていた[2]
IOG(旧名称:IOHK)
IT技術に関する研究開発を行う会社。Intersectの登場まではカルダノの開発の管理を担っていた。現在も主要な開発者の多くが所属している[3]
Emurgo
カルダノブロックチェーンを用いるスタートアップやベンチャー企業への投資や支援を行う[4]

創設者であるCharles Hoskinsonがかつて日本大阪に在住していた際、日本の知人と共に「日本版イーサリアムを創る」という計画を立ち上げたことがプロジェクトの起源となっており、ビジョンが徐々に世界規模へと拡大されていったことで現在のカルダノのプロジェクトとなった。[5]

プロジェクトの目的はユースケースを限定しない汎用プラットフォームであるが、かつては普及促進の一環としてオンラインカジノの開発を話す代理店もあったため、2022年現在も一部のオンラインメディアなどでは未だカジノプラットフォームとして紹介しているものもあり、カジノという言葉が一人歩きしている。
特徴
学術的に安全性が証明されたPoSアルゴリズム

カルダノのコンセンサスアルゴリズムはOuroboros(ウロボロス)と名付けられたプルーフ・オブ・ステーク (PoS)アルゴリズムであり、これはPoSプロトコルの中で初めて学術研究を基盤に構築された事例である。

ビットコインなどに代表されるプルーフ・オブ・ワーク (PoW)アルゴリズムでは、参加者がブロックを生成する権利を得るために電力・演算リソースを投資しその競争に勝つことで報酬を得ることができるが、プルーフ・オブ・ステーク (PoS)では演算リソースの代わりに参加者が保有する「ステーク」(トークン保有量)の大きさを利用して抽選により報酬が配布される。PoSではPoWに比べてほんのわずかな電力でネットワークを維持することができるが[6]、堅牢性の確保のためにはより数学的な厳密さが求められる。Ouroborosは学会にて査読を受けた論文に基づいた設計を行うことで、学術的に安全性の証明されたPoSプロトコルの実装を実現している。

また現在、主だったPoWネットワークは高いハッシュレートを持つ一部のマイニングプールが権力を持つことが多く、これらがネットワークの行末を支配可能であるという深刻なリスクにさらされている。Ouroborosはゲーム理論の研究成果に基づく分散化を促進するプロトコル設計により権力の集中を回避している。

ステーキングにおいてはプロトコルに組み込まれた「ステークプール」と「委任」の要素によりトラストレス(不正が不可能)なシステムを実現している。保有者はステークプールに「ブロックを生成する権利」のみを預け、生成報酬の分配を得ることができる。生成権の委任をしても資産自体は送金されず保有者の手元に残るため、紛失や盗難の心配なくステーキングをすることができる。委任者はノードを稼働させる必要がないため、委任のトランザクションが承認されていれば資産をコールドウォレットに保管したままステーキングを行うことも可能である。分配もプロトコル側で処理されるため、運用者による持ち逃げのリスクはない。運用者が得るマージンもチェーン上に記録されているためにこれを偽ることができず、変更された場合も一定の期間の後に反映されるために「報酬が分配される寸前にマージンを引き上げる」といった行為も不可能となっている。ステークプールが攻撃を受けた場合やサーバのデータを紛失した場合、プールの運用者は資産を失うことがあるが、委任者は資産を失うことなく委任の解除や委任先の変更をすることができ、その時点までに得られていた報酬も手元に残る。
ネイティブトークンを発行可能なマルチアセット台帳

カルダノによって発行可能な独自のトークンは、カルダノのネイティブトークンである。

従来のERC-20のようなトークンは送受信などがスマートコントラクトの動作によって実現されるため、ネイティブトークンよりもコスト(手数料)が高く、コントラクトの実装によってはネイティブトークンにないセキュリティ上のリスクが発生する場合がある。カルダノのマルチアセット台帳は独自トークンをADAと同等のネイティブトークンとして発行できるため、単純な送受信などにおいてはスマートコントラクトが不要である。これにより低コスト・高セキュリティなトークンの発行が実現する[7]

非代替性トークン(NFT)として発行することも可能であり、ERC-721のようなトークンを発行する場合も上記の利点は同様である。
多様なアプリケーション開発手段

カルダノのスマートコントラクト「Plutus」(プルータス)にはHaskell用ライブラリが用意されているが、開発環境やツールを利用することでJavaScriptTypeScriptPythonノンプログラミングなどによる開発を行うこともできる。

ここでは開発環境やツールの一例を示す。
Marlowe(マーロウ)
「Marlowe」は開発者の技能に合わせてコーディングエディタからグラフィカルユーザインタフェースベースのエディタまで様々な開発ツールを提供し、コーディングやデバッグをサポートする開発環境である。専用プログラミング言語である「Marlowe」の他、広く普及しているJavaScriptを用いた開発や、Blocklyによるノンプログラミング開発を行うことができる[8]
Aiken
「Aiken」はオープンソースなカルダノのスマートコントラクト開発環境・ツールキットである。専用言語としてシンプルな関数型言語「Aiken」を持つ。人気の高いコーディングエディタであるVSCodeNeoVimとの統合も備えている[9]
plu-ts
「plu-ts」はカルダノのTypeScriptライブラリであり、オンチェーンコードとオフチェーンコードの両方をTypeScriptのみで記述することができる[10]
opshin
「opshin」はカルダノのスマートコントラクトをPythonの記法でコーディングするためのプログラミング言語であり、オンチェーンコードとオフチェーンコードの両方をPythonのみで記述することができる[11]
Milkomeda C1
「Milkomeda C1」はdcSpark社の開発するEVM互換のサイドチェーンである。Solidityで記述されたコントラクトを動作させることができるため、イーサリアム上のアプリケーションの開発者がそれまでの知識やリソースを活用しながらカルダノ上での開発に参入することを可能にする[12]


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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