カリウム-アルゴン法(カリウム-アルゴンほう)は、カリウム40(40K)の放射性崩壊を利用した放射年代測定法の一種。 1955年に登場[1]した手法で、マグマに含まれている放射性元素「カリウム40」(40K)は、約13億年の半減期で放射性崩壊して約89%が「カルシウム40」(40Ca)に約11%が「アルゴン40」(40Ar)という別の元素に変わる[2]。 こうした変化はマグマの中で常に起きているが、ガスである「アルゴン40」はマグマから抜け出してしまう。しかし火山の噴火などによって地表に出たマグマは冷えて固まる。そうすると「アルゴン40」は岩石の中に閉じ込められ、時間とともにその量を増していく。放射壊変による「カリウム40」の減少のしかた(あるいは「アルゴン40」の増加のしかた)は方程式であらわされている。 t = t 1 2 ln ( 2 ) ln ( K f + A r f 0.109 K f ) {\displaystyle t={\frac {t_{\frac {1}{2}}}{\ln(2)}}\ln \left({\frac {K_{f}+{\frac {Ar_{f}}{0.109}}}{K_{f}}}\right)} この方程式を積分することによって、マグマが結晶化した時点から現在までの時間にどれだけ「アルゴン40」が増えたかが予測される。これと観測された「アルゴン40」の量とを比べれば、マグマが固化してから現在までの経過時間がわかる。 大気中アルゴンの混入[3]や試料の変質により、実年代と見かけ上の年代に誤差が生じる。例えば試料が長石類の場合、炭酸塩化、絹雲母化、粘土化などの弱い熱水変質 この欠点を持つカリウム-アルゴン法に代わり、アルゴン - アルゴン法が開発された[2]。
概要
カリウム40の崩壊
K 40 + e − ⟶ Ar 40 + γ {\displaystyle {\ce {{}^{40}K{}+{\mathit {e}}^{-}->{}^{40}Ar\ +\gamma }}} ( 1 , 505 M e V ) {\displaystyle {\rm {(1,505MeV)}}} , λ ε = 0 , 581 ⋅ 10 − 10 a n − 1 {\displaystyle {\rm {\lambda \varepsilon =0,581\cdot 10_{-10}an_{-1}}}}
K 40 ⟶ Ca 40 + β − {\displaystyle {\ce {{}^{40}{K}-> {}^{40}Ca\ + \beta^-}}} (1,311 MeV) {\displaystyle {\rm {\mbox{(1,311 MeV)}}}} , λ ε = 4 , 962.10 − 10 a n − 1 {\displaystyle {\rm {\lambda \varepsilon =4,962.10_{-10}an_{-1}}}}
方程式
誤差
参考文献
『ゼロと無限の科学』(ニュートンムック)ニュートンプレス 2006年2月 ISBN 4315517690
脚注^ 板谷徹丸, 岡田利典、第四紀研究におけるK-Ar法の過去・現在・未来