カラマーゾフの兄弟_(テレビドラマ)
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カラマーゾフの兄弟
黒澤邸の外観ロケ地・鎌倉文学館
ジャンルテレビドラマ
原作フョードル・ドストエフスキー
カラマーゾフの兄弟
企画佐藤未郷
脚本旺季志ずか
武井彩
演出都築淳一
佐藤源太
村上正典
出演者市原隼人
斎藤工
林遣都
高梨臨
滝藤賢一
吉田鋼太郎 ほか
製作
プロデューサー森安彩
制作フジテレビ

放送
放送国・地域 日本
放送期間2013年1月12日 - 3月23日
放送時間土曜日23:10 - 23:55
放送枠土ドラ (フジテレビ)
放送分45分
回数11
公式サイト
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『カラマーゾフの兄弟』(カラマーゾフのきょうだい)は、2013年1月12日から3月23日までフジテレビ系列「土ドラ」枠(23:10 - 23:55、JST)で放送された日本テレビドラマ
概要

原作は19世紀ロシア文学を代表する文豪フョードル・ドストエフスキーの最後の長編小説『カラマーゾフの兄弟』。舞台を放送当時の現代日本に移し、市原隼人斎藤工林遣都が物語の中軸を担う「黒澤家」の三兄弟を演じる。

物語全体を三部構成とし、第一部では事件の日に至るまでの三兄弟それぞれの父への“殺意”の芽生えを辿り、第二部では事件当日を、第三部では取り調べから判決までの真相解明を描く[1]。兄弟の父親を演じた吉田鋼太郎ザテレビジョンドラマアカデミー賞で助演男優賞を受賞するなどの評価を受けた。

キャッチコピーは「原作ドストエフスキー。世界的問題作、ドラマ化。」「父親を殺したのは、誰だ。」
制作
企画とキャスティング

本作の企画は5年前からフジテレビ編成部の佐藤未郷により数度提出されていたが一度も通ることはなかった。だが、2012年4月より若者を対象に設けられたドラマ枠「土ドラ」枠で、『主に泣いてます』や『高校入試』など実験的なドラマが次々と放送される流れの中で5年前の企画が再び持ち上がり、ようやく日の目を見ることとなった[2]

原作では19世紀当時のキリスト教の宗教観や革命思想などが盛り込まれているが、ドラマでは原作の思想的な部分ではなく、作中の男性たちの心の葛藤に焦点を当てた。ドラマを企画した佐藤はこの事について「罪は許されるのかということに悩み、真剣に考える姿に興味を持った。この姿勢は討論番組などで熱く語る現代の若者に通じると感じた」という。また、ドラマ化については「原作は刺激的な愛憎劇が描かれているので、ドラマ化に向いていると思った」と同時に語っている[3]

また、前述の通り原作ではキリスト教が背景にあるが、現代の日本では欧米ほど馴染みがないため、それらは西洋医学法律といった現代の日本の規範となっているものに置き換えられ、それに伴い、登場人物の設定も大幅に変更されている。市原隼人が演じる次男は父親に支配され自分の道を選べない立場に苦悩する役柄で、その職業について弁護士検事かで議論があったが、父親に「仕事を手伝わされる」という支配のされ方を明確に出すため、弁護士にすることでまとまった[2]。また、林遣都が演じる三男は原作の修道僧から精神科医を目指す医大生に変更されているが、これは「当時の宗教のように現代人が盲目的に信じるものとして医学を位置づけた」ためとしている[3]

キャスティングについては「どこかで見たことのある配役にしたくない」との思いから屈折した役どころの次男役にあえて過去に熱血漢の役を多数演じてきた市原隼人を、逆に破天荒な長男役の斎藤工、善良な三男役の林遣都、父親役の吉田鋼太郎はそれぞれのイメージに合うことから配役された[4]
演出

企画の佐藤は演出について、「ドラマは分かりやすさを重視する傾向にあるが、今作は視聴者に心情を読み取ってもらうため、あえて不親切な演出を心がけた」と述べている[3]。また、「カラマーゾフ」はロシア語で「黒く塗る」という意味を持つことから、日本でのドラマ化に当たりカラマーゾフ家を「黒澤家」、舞台をカラスが飛び回る「烏目町」とし、さらに黒を基調とした画面づくりをしている[4]

挿入曲にはドラマ用にオリジナルで制作した劇伴のほか、多数の洋楽ロッククラシック音楽を織り交ぜて使用している(使用楽曲については劇中使用楽曲の節を参照)。洋楽ロックについては若者の荒ぶる気持ちの象徴として流しており[3]、中でもローリング・ストーンズの「黒くぬれ!」はドラマタイトルの「カラマーゾフ」と同様に"黒塗り"という意味を持つことと楽曲が使用したシーンにぴったりのイメージであるという理由から、ニルヴァーナの「スメルズ・ライク・ティーン・スピリット」は「若者の爆発しそうな思いを直接的に表現できる曲」として選曲された。その他の楽曲についてもシーン一つ一つの意味を考えながら選曲しているという[4][5]
ロケ地

舞台の中心となる黒澤邸の外装は神奈川県鎌倉市鎌倉文学館を使用している[2]。また、黒澤邸内部などのセット内撮影は東京メディアシティTMCスタジオで行われている[6]
あらすじ

1月14日、黒澤家当主・黒澤文蔵が自宅の寝室で殺害された。死因は鈍器で頭部を強打されたことによる脳挫傷および、脳内出血だった。不動産業「黒澤地所」を営み、地方都市・烏目町一帯に多くの土地をもつ有力者である文蔵は、自己中心的で利益優先の取引も絶えず、欲という欲を満たし、「クロサワの酒好き、金好き、女好き」と町中で揶揄され、家族には暴力・暴言を振るい、周囲の誰からも愛されていなかった。

文蔵には、三人の息子達がいた。前妻・梓との間に生まれた失業中で遊び人の長男・満。そして、後妻・詩織との間に生まれたエリート弁護士の次男・勲と、医科大学四回生で精神科医を目指す三男・涼。文蔵の遺体の第一発見者は三男・涼であった。

長男・満は失業中の身で借金も抱えていたが、恋人・遠藤加奈子と同棲しながらヒモのような生活をしていた。事件の二週間ほど前、BAR・メトロポリスにて謎の美女・吉岡久留美と出会い、彼女の中に見出した寂しさへ惹かれていく。

次男・勲は東京の一流大学法学部、法科大学院を卒業後、司法試験に一発合格し、東京の法律事務所で働いていた。事件の二週間ほど前、「家族会議がある」と呼び出され、久しぶりに黒澤邸に戻って来たが、相変わらずの父の横暴ぶりに嫌気がさしていた。

三男・涼は医大生で、寮で暮らしながら精神科医の道を目指していた。事件の二週間ほど前、町中でいじめられていた小学生・杉山一郎を助けた際に名を名乗ると、「クロサワなんか死んじまえ!」と手を噛まれている。

文蔵殺しの容疑者として警察から任意同行を求められた三兄弟は、刑事・入江悟史から執拗な取り調べを受けることになる。


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