カラマツ
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カラマツ
カラマツ (赤石山脈北沢峠
保全状況評価[1]
LEAST CONCERN
(IUCN Red List Ver.3.1 (2001))

分類

:植物界 Plantae
:裸子植物門 Pinophyta
:マツ綱 Pinopsida
:マツ目 Pinales
:マツ科 Pinaceae
:カラマツ属 Larix
:カラマツ L. kaempferi

学名
Larix kaempferi (Lamb.) Carriere (1856)[2]
シノニム


Larix leptolepis (Siebold et Zucc.) Gordon (1858)[3]

和名
カラマツ(唐松・落葉松)、
フジマツ[2]、ラクヨウショウ[2][4]
英名
Japanese Larch
品種


f. pendula (Sugim.) Yonek. シダレカラマツ[5]

f. rubescens (Inokuma) T.Shimizu アカミカラマツ[6]

カラマツ(唐松[7][8]・落葉松[7]学名: Larix kaempferi)は、マツ科カラマツ属落葉針葉樹日本固有種[1]。日本産針葉樹の中では、唯一の落葉樹である[8]。その、唯一の落葉樹であることから「落葉松(ラクヨウショウ)」と書くこともある。北海道や長野県では、カラマツによる大規模な造林も行われた。若い材は、ねじれが生じるため用途が限られる傾向にあったが、強度が強く、建材用としてスギ材と張り合わせたハイブリッド集成材が有望視されている。唐絵(中国の絵画)のマツに似ていることが名前の由来である。別名、フジマツ[9]
分布

日本特産種で本州宮城県の蔵王山(北限)から石川県岐阜県の白山(西限)、静岡県(南限)にかけて自然分布する[10][7][8]。日本のほぼ中央部に分布の中心を持ち、多くは火山性土壌の山地に生える[11][12]。もともと北海道にはなかったが、現在北海道で見られる大面積のカラマツ林は、すべて人為的に植えられたもので、1960年ごろには毎年3万ヘクタール (ha) もの造林が行われた[8]

天然分布地は限られ、天然林は長野県内を中心に浅間山草津白根山八ヶ岳甲武信ヶ岳などの各山々の周辺、また飛騨山脈木曽山脈赤石山脈などの日本アルプス周辺などで見つかっている。長野県から離れたところでは栃木県の奥日光周辺、富士山周辺でも確認されている。また、遠く離れた宮城県山形県境の蔵王の馬ノ神岳でもごく少数の集団が見つかっている。このような分布を示すのは元々ユーラシア大陸東部に分布していたカラマツ属が氷河期の海面低下時に日本列島に分布を広げたが、温暖化と共に分布を狭め山岳地帯に取り残されたという高山植物のような説が取られることが多い。遺伝子は長野県などの主要産地のものが多様性が高く、隔離分布する蔵王のものは多様性が低い[13]ほか、産地間による形質の差も見られるという[14][15][16][17]。特に蔵王の個体群については、葉の色がやや濃色であることや球果の種鱗数が少ないといった形態的特徴から東北地方から北海道からシベリアにかけて分布する同属のグイマツ(Larix gmelinii)に近いのではとする意見もあった。東北地方でもグイマツの化石はしばしば見つかることから遺存種かと注目されたが[18]、遺伝子解析の結果では否定されカラマツの変種レベルの差異に留まるという[13]
形態 

落葉針葉樹高木[10]。樹高は20 - 30メートル (m) [7]、胸高直径1 m程度に達する[19]。樹形は環境によって左右されるが、一般にクリスマスツリー状からやや細長い円錐形で、整った樹冠を形成する[19]。標高が高い場所になると、しばしば矮小な木がねじ曲がった樹形となり、風の強い海岸地では風衝形を呈したものが見られる[11]。枝は輪生し、同じ高さから四方八方に伸ばす。樹皮は暗褐色で赤みを帯びることがあり[10]、うろこ状に薄く裂けて剥がれる[12]

円錐形の樹形と同一の高さから枝を伸ばす輪生

樹皮は薄く剥がれる

枝は同じマツ科のマツ属(Pinus)及びヒマラヤスギ属(Cedrus)などと同じく、長枝と短枝の2種類を持つ(枝の二形性などという)[12]。長枝は一般に枝として認識されているものであり、短枝は葉の付け根にある数ミリメートル (mm) のごく短い枝である。

は針状で長さ20 - 40 mm、長枝から分岐した短枝の先端に多数(20枚 - 40枚程度)が束生するのを基本とし[7]、若い長枝に限り直接葉を単生する[8]。この点が若い枝でも短枝にしか葉を付けないマツ属と異なっている。葉の付き方は同じマツ科のモミ属ヒノキ科のスギなどと比べて粗雑な印象を受ける個体が多い。葉は針状で、長さは20 - 40 mm。春の芽吹きや、秋の黄葉が美しいと評されている[7]。秋が深まるにつれて、葉は黄色からくすんだ黄土色へと濃くなり、紅葉が進んだ葉は脱落しやすくなる[9]


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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