カラシン目
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カラシン目
ネオンテトラ Paracheirodon innesi
分類

:動物界 Animalia
:脊索動物門 Chordata
亜門:脊椎動物亜門 Vertebrata
:条鰭綱 Actinopterygii
亜綱:新鰭亜綱 Neopterygii
上目:骨鰾上目 Ostariophysi
:カラシン目 Characiformes

学名
Characiformes
Regan, 1911
下位分類
本文参照

カラシン目(Characiformes)は、硬骨魚類の分類群の一つ。全種が淡水魚で、観賞魚としてよく知られるテトラピラニアの仲間など、2亜目18科270属1,674種で構成される。
概要南米で重要な水産資源となっているカラシン科の1種コロソマ (Colossoma macropomum)

カラシン目には2006年の時点で1,600を超える種が記載され、魚類の目の中ではスズキ目(約1万種)、コイ目(約3,200種)、ナマズ目(約2,800種)に次いで4番目に大きな一群となっている[1]。およそ200種がアフリカに、残る1,400種以上がアメリカ合衆国南西部・メキシコ中央アメリカ南アメリカ淡水域に生息する。アフリカに分布するカラシン類にはキタリヌス科・アレステス科・ヘプセトゥス科の3つの系統が知られる。日本には分布しない。

コイ目に姿が類似するが、背ビレと尻ビレの間に、小さな脂ビレを持つことが差異である(持たないものもいる。また他に脂ビレを持つグループとしてはナマズ目が知られている)。

体色は銀色を主体とするものが多いが、鮮やかな色彩に富む種類も多数知られ、水族館あるいは個人のアクアリウムで広く飼育対象とされている。また一部の種類や個体では、本来の色ではなく、金色になるゴールデン化、銀色になるプラチナ化と呼ばれる現象を起こすものがある。これは、魚に無害なバクテリアが寄生することで出現し、そのバクテリアがグアニンと呼ばれる金属光沢を起こす成分を作り出すことによるものである。

一方でコロソマ(カラシン科)など大型のものは、食用魚として重要な種類も多い。

なお、このグループでは、小型魚を中心にテトラと呼ばれるものが多いが、必ずしも小型カラシン=テトラではない(クラウンテトラは天然で60cmを超える)。
特徴

カラシン目に属する魚は、そのほとんどが体長3cm未満の小型魚類である[1]。一方で体長数十cmに及ぶ中・大型種もアフリカ・南アメリカに分布し、アフリカ中央部に分布する最大種の ムベンガ (アレステス科 通称「ゴライアス・タイガーフィッシュ」)は体長1.4mに達する。

カラシン目はコイ目やナマズ目とともに骨鰾上目と呼ばれるグループに所属し、共通の特徴であるウェーバー器官(浮き袋内耳を連絡し、音を感じる器官)をもつ。がよく発達し、ほとんどは肉食性であるが、草食性あるいはデトリタス食性の魚類も含まれる。コイ目と同じように咽頭歯をもつが、草食性種を除きあまり発達はしていない。プロキロダス科・ヘーミーオドゥス科の一部などの例外を除き、上顎を突き出すことはできない。ほとんどの種類は背鰭と尾鰭の間に肉質の鰭である脂鰭をもち、体表はに覆われる。ナマズ目とは異なり、カラシン目には口ヒゲがない。腹鰭は腹部中央付近にあり、臀鰭の基底は中程度の長さで、鰭条は45本未満である。尾鰭の主鰭条は通常19本。側線はしばしば湾曲し、不完全なこともある。後擬鎖骨は3本。

最も古い時代のカラシン目魚類の化石は後期暁新世地層から産出するが[2]白亜紀前期のものとみられる化石がブラジルから報告されており、この化石がカラシン目と同定された場合には最古の骨鰾類ということになる[1]
分類

カラシン目はキタリヌス亜目とカラシン亜目の2亜目からなり、18科270属1,674種を含む[1]。系統関係の解析が未完成であるほか、科以下の分類基準には不明瞭な部分が多く残され、分類体系は流動的である。和名のない分類名の一部については、上野・坂本(2005)によるカタカナ表記に従った[2]。コイ目カラシン亜目として扱われる場合もある。
キタリヌス亜目

キタリヌス亜目 Citharionoidei は2科20属98種で構成される。本亜目は全てのカラシン類の起源となるグループと考えられており、ほぼ全種がアフリカに分布する。2本の犬歯をもち、第2・第3後擬鎖骨は癒合する。鱗は一部を除き櫛鱗で、腹鰭の鰭条数は比較的多い。
ディスティコドゥス科 Distichodontidae
17属90種を含む。上顎を突き出すことができるか否かで、大きく2群に分けられる。上顎の固定されたグループは草食性で、体型はさまざま。可動性の群は肉食性で、細長い体をもつ種類が多く、独立の亜科あるいは科(Ichthyboridae)としてまとめられることもある。

Distichodus

Nannocharax

Neolebias

他14属

キタリヌス科 Citharinidae
3属8種からなる。顎は小さく、歯を欠いている。体高は高く、背鰭・臀鰭は比較的長い。

Citharinus

他2属(Citharinops・Citharidium)

カラシン亜目コンゴテトラ Phenacogrammus interruptus (アレステス科)クテノルキウス科の1種(Ctenolucius hujeta)。本科はガーカワカマスに類似した体型をもつスリーライン・ペンシル Nannostomus trifasciatus (レビアシナ科)

カラシン亜目 Characoidei は16科250属1,576種で構成される。
クレヌクス科 Crenuchidae
2亜科12属74種を含み、パナマ東部から南アメリカに分布する。比較的小型のグループで、体長10cm未満のものが多い。前頭骨に1対の孔をもち、孔の大きさによって2亜科に分けられている。かつてはカラシン科の亜科として分類されていた。

Crenuchinae 亜科 2属3種で、南アメリカ北部に生息する。前頭骨の孔は大きい。

Crenuchus

Poecilocharax


Characidiinae 亜科 10属71種。Characidium 属の一部は対鰭を利用して滝を登ることが可能である。前頭骨の孔は小さい。

Characidium

他9属


エリュトリヌス科 Erythrinidae
タライロンなど3属14種を含み、南アメリカに分布する。口は大きく、眼窩の後端まで開く。体は円筒形。背鰭は臀鰭より前にあり、通常は腹鰭の上に位置する。脂鰭をもたず、尾鰭は丸みを帯びる。鱗は比較的大きく、口蓋骨には多数の歯が並ぶ。

Erythrinus

他2属(Hoplerythrinus、Hoplias)

アレステス科 Alestidae
コンゴテトラなど18属110種が記載され、すべてアフリカに分布する。かつてはカラシン科の亜科として分類されていた。

Alestes

Brycinus

Phenacogrammus

他15属

ヘプセトゥス科 Hepsetidae
1属6種で、Hepsetus odoe (African pike characin) などが属する。アフリカの熱帯域に分布し、水面に産卵用の泡巣を作る習性がある。クテノルキウス科と似たパイク様の体型を持ち、大きな口には発達した数本の犬歯と、点在する小さな歯が備わっている。背鰭は腹鰭より後方、臀鰭より前方に位置する。脂鰭をもつ。

Hepsetus ヘプセトゥス属

クテノルキウス科 Ctenoluciidae
2属7種からなり、パナマと南アメリカに分布する。体は細長く、パイクに類似した体型をもつ。背鰭・臀鰭は体の後方に位置する。

Boulengerella

Ctenolucius

レビアシナ科 Lebiasinidae
ペンシルフィッシュコペラなど2亜科7属61種で構成され、パナマ・コスタリカから南アメリカにかけて分布する。Derhamia 属(1種)はいずれの亜科にも所属していない。口は短く、眼窩には達しない。エリュトリヌス科と同じく、背鰭は臀鰭より前にあり、通常は腹鰭の上に位置する。脂鰭の有無はさまざま。

レビアシナ亜科 Lebiasininae 2属17種。鰓条骨は4本で、主上顎骨は比較的大きい。

Lebiasina

Piabucina


Pyrrhulininae 亜科 2族4属43種。鰓条骨は3本で、主上顎骨は短い。

Pyrrhulina

他3属

マーブル・ハチェット Carnegiella strigata(ガステロペレクス科)。本科魚類は独特の体型をもち、水面から飛び跳ねる習性があるブラインドケーブ・カラシン Astyanax mexicanus (カラシン科)。メキシコの洞窟に生息する盲目魚バックトゥース・テトラ Exodon paradoxus (カラシン科)。


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