カムイの剣
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『カムイの剣』(カムイのけん)は、矢野徹作の冒険時代劇小説。また、それを原作として1985年に制作、公開されたアニメーション映画
概要

1970年に立風書房から単行本が刊行され、1975年に角川文庫版(角川書店刊)が全1巻で刊行された。角川文庫版はのちに上下巻に2分冊され、さらに第1巻、第2巻に改められた。映画化されたのはこの巻までのエピソードである。

角川文庫からはその後、第3巻から第5巻までが刊行されたが、これは明治維新以降の時代を舞台にした続編で、映画化記念として書かれたものの、未完に終わっている。分冊以降の角川文庫版は、映画でもキャラクターデザインを担当した村野守美がカバーイラストと挿絵を手掛けている。

後にハルキ文庫角川春樹事務所刊)から全1巻で再刊されたが、これは角川文庫版の第2巻までに当たり(当初の1巻本と同じ)、加筆・訂正を加え完全版としたもの[1]。これはさらに、徳間文庫のレーベル「トクマの特選!」からシリーズ「The Vagabond 流浪者たちの肖像」の第1冊として再刊されている。
ストーリー

幕末。育ての母、姉を殺された次郎は村人に親殺しの濡れ衣を着せられ、村を追われる。公儀御庭番の頭目、天海に拾われた次郎は忍びとして育てられ、亡き実父の短刀を授けられ、父と己の出生の謎を解く探索の旅に出る。だが、託された日月螺鈿が施された短刀「カムイの剣」には海賊キャプテン・キッドにまつわる財宝の謎が隠されていたのだった。
登場人物

※声はアニメ映画版のもの。
次郎
- 真田広之本編の主人公。父、太郎左とアイヌの娘、オヤルルの子であり、太郎左の妻であったつゆのもとで育てられていた。何者かにより、つゆと姉さゆりが殺され、母と姉殺しを疑われて村を追われ、天海の下、忍びの修行を積む。成長し、父・太郎左の死の謎を解くべく探索を始めるが、それは周到に仕組まれた天海の罠だった。必殺技は、自ら編み出した剣技「カムイ無拍子」。独特の構えで深く精神統一を図った後に繰り出される、鋭い一撃。続編では服部次郎左、また義父ジェロニモの名を借りジローム・カムイと名乗る。
お雪
声 - 小山茉美抜け忍となった次郎を追う天海配下の忍びの一人で、松前四人衆のひとり。蝦夷を旅立ち、ベーリング海峡から、アラスカ・米国本土まで渡る次郎を追う内に次郎との間に愛憎が芽生える。
天海
声 - 石田弦太郎蝦夷松前の地で活動する幕府公儀隠密の元締め。普段は松前天源寺の高僧・天海和尚を名乗っている。幕府への忠誠心は高いが、強欲で残忍な性格の持ち主。薩摩隠密の太郎左が「キャプテン・キッドの謎」を掴んだことを知り、追い詰め殺すが、忍びとして育てたその子・次郎を探索に出し、財宝を手に入れようと目論んでいる。何人もの影武者を持つが、筋骨隆々かつ長身の巨漢にもかかわらず、本人の忍びとしての能力・戦闘力も非常に高い。錫杖に仕込んだ刀を武器とし、僧衣の下には腕甲が相手を切り裂く展開式の刃となった特殊な鎧を着込んでいる。
三平
声 - 青野武天海の配下の忍びの一人。抜け忍となり、財宝の謎を追う次郎を追討の任に就く。太郎左とは親友の間柄であった。映画では生き延び、後に西郷の側近となっているが、原作では次郎の危機を救い死ぬ。次郎は、西郷と会見し、三平の真意を告げられる。
安藤昌山
声 - 永井一郎知床コタンに住む世捨て人の老人。抜け忍となり、天海配下の忍びと死闘を繰り返し、傷つき倒れた次郎を助ける。次郎に学問と世界の広さを教え、財宝の謎を解く鍵を与えると共に、米国を目指す次郎を援助するが、天海配下の追っ手の手にかかり死ぬ。安藤昌益の子孫であるという。辺地での質素な生活からは想像もつかない学識の持ち主で、次郎に、天海を倒し復讐を遂げるには、学問・見識・財力あらゆる面で天海を上回ることが必要であると教える。次郎は死後も昌山を人生の師と仰ぎ、キャプテン・キッドの莫大な財宝よりも、昌山からもらった砂金の方が大切な宝だと語っている。原作では、隠れキリシタンとの繋がりを疑われ、安藤昌山は流罪とされていたと三平が語っている。
チコ
声 - 山本百合子西部の無法者の餌食になる危機を、次郎が救ったネイティブ・アメリカンの女性。実はジェロニモの養女であり、フランス人。本名はジュリー・ルシェル。外交官として、来日した実の父フランソワ・ルシェルもまた天海の手にかかり、世を去ったと言う。その後、次郎と結婚して、2人の子供をもうけている。
サム
声 - 曽我部和行ドラスニック船長所有の黒人奴隷であり、次郎が渡米を望み乗船する際に協力する。次郎が船内のいさかいから、お雪と共にアラスカで下船する際に、次郎はサムをドラスニック船長から買い取って自由の身とするが、次郎を主と慕うサムは同行する。その後、次郎が財宝を基に興したサムエル商会の支配人となっている。
ペトロ
お雪がアラスカの旅で拾った白い狼の子。映画での名前は「白狼(びゃくろう)」。
真吾
声 - 塩沢兼人天海の実子。天海の指示により、次郎を一流の忍びとして鍛え上げる。探索の旅に出た次郎を追い詰め、財宝の謎を探らせる計画の指揮をとるが、逆襲に遭う。その後、オヤルルを薬を使って殺害、その容疑を次郎に向かうように仕向ける。映画では、次郎にオヤルルの時と同じ毒を飲まされた後、次郎の策略により同輩の忍び、孫六の手にかかって死ぬ。


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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