カベルネ・ソーヴィニヨン
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カベルネ・ソーヴィニヨン(ソヴィニョン)
ブドウ (Vitis)
カベルネ・ソーヴィニヨンの実
色黒
別名ブーシェ、プチ・ブーシェ
プチ・カベルネ
プチ・ヴィドゥル
ヴィドゥル
ソーヴィニヨン・ルージュ
主な産地ボルドー
トスカーナ
ナパ・バレー
ソノマ
オーストラリア
主なワイン格付けされたボルドーワイン
カリフォルニアのカルトワイン
土壌砂礫質
病害未熟、うどんこ病、スコパリア菌、デッド・アーム
VIVC番号1929
ワインの特徴
特徴苦味、渋み、タンニン
低温気候ピーマン、アスパラガスの香り
中温気候ミント、ブラックペッパー、ユーカリ、鉛筆の芯の香り
高温気候ジャムの香り
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カベルネ・ソーヴィニヨン(フランス語: Cabernet Sauvignon)は、赤ワイン用のブドウ品種であり、世界で最も広く栽培されている品種のひとつである。ほぼ全ての主要なワイン産出国で生産されており、カナダのオカナガン・ヴァレーのような冷涼地からレバノンベッカー高原のような温暖な土地に至るまで広く栽培されている。

とりわけ、ボルドーの優れたワインにおいて主要品種として用いられることで名高い。ボルドーではメルローカベルネ・フランとブレンドされることが多い。原産地であるフランスからヨーロッパ各国、およびニューワールドに広まったが、なかでもカリフォルニアのサンタ・クルーズ・マウンテンズやナパ・ヴァレーニュージーランドホークス・ベイオーストラリアのマーガレットリバーやクワナラ、チリのマイポ・ヴァレーやコルチャグアといった地域では特に高品質なワインが産出されるとして定着した[1]。20世紀の大部分において、高級赤ワイン用のブドウとしては最も広く栽培されていたが、1990年代からはメルローの人気に押されてしまった。しかし、2015年においては再び最も広く栽培される品種となり、世界中で341000haの栽培面積を持つ[2]

カベルネ・ソーヴィニヨンはワイン産業において極めて重要な品種であるが、この品種が生まれたのは比較的新しく、17世紀にフランス南西部で、カベルネ・フランとソーヴィニヨン・ブランが自然交配して生まれた。世界中に広まった理由としては、果皮が厚い、耐寒性が強い、収量が低くグリーンハーベストの必要が薄い、発芽が遅くの影響を受けにくい、病害や害虫に対する抵抗性が強い、といった栽培上の利点があること、そして産出されるワインに品種特有の個性が現れることが挙げられる。知名度があり耳馴染みのいい名前であることもマーケティング上の利点となっており、あまり有名でない産地にとっても恩恵がある。ただし、広範な人気があるため、様々な地域で土着品種に取って代わってしまうことがあり「入植者」のような批判を受けることもある[3]

一般的には、カベルネ・ソーヴィニヨンからなるワインはフルボディで、タンニンも豊富である。このため、長期熟成のポテンシャルがある。冷涼な気候においては黒スグリのような香りを持ち、グリーンパプリカミントのような香りを伴うこともある。これらの香りはワインの熟成とともにより強調されていく。やや温暖な気候では、ブラックチェリー黒オリーブのような香りも併せ持つようになり、非常に暑い気候では黒スグリの香りは過熟したものとなり「ジャミー」と言われる凝縮感のある香りになる。オーストラリアの一部、特にクワナラにおいては、ユーカリメントールの香りがあるといわれる[4]
起源と歴史カベルネ・フラン

カベルネ・ソーヴィニヨンの起源は長きにわたって不明であり、根拠の薄い説や予想が蔓延していた。“ソーヴィニヨン”という語は、フランス語で野生を意味する“sauvage”に由来し、フランスに自生していたヴィティス・ヴィニフェラ種のブドウであるという意味だと考えられている。近年まで、カベルネ・ソーヴィニヨンは古代から伝わる品種だと思われていて、大プリニウスの著作にも記載のある古代ローマで栽培されていたブドウ、ビチュリカと同一視されることすらあった。18世紀までこの考え方は堅持されており、“Petite Vidure”や“Bidure”といったビチュリカの転訛とみられる名前で呼ばれることもあった。なお、“Vidure”はフランス語で硬いブドウの木を意味する“vigne dure”から来ているの可能性もあり、カルメネールがかつて“Grand Vidure”と言われていたこととも関係がある[3]。他に、スペインリオハが原産地であるという説もあった[5]ソーヴィニヨン・ブラン

いつから“Petite Vidure”の名前が廃れカベルネ・ソーヴィニヨンと広く呼ばれるようになったのかははっきりしないが、ボルドーのメドックでは、18世紀に一般的なブドウ品種であったとの記録がある。この品種が最初に栽培された(そしておそらく、ボルドー内で広まるきっかけとなった)のは、ポイヤックシャトー・ムートンとシャトー・ダルマイヤックである[3]

カベルネ・ソーヴィニヨンの真の起源が明らかになったのは1996年のことである。カリフォルニア大学デイヴィス校醸造学科のキャロル・メレディス博士のチームが行ったDNA解析の結果、カベルネ・ソーヴィニヨンはカベルネ・フランとソーヴィニヨン・ブランの子孫であり、17世紀に自然交配が起こった可能性が高いと判明した。


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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