カブ
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カブ
八百屋で販売されるカブ
分類

:植物界 Plantae
階級なし:被子植物 Angiosperms
階級なし:真正双子葉類 Eudicots
階級なし:バラ類 Rosids
:アブラナ目 Brassicales
:アブラナ科 Brassicaceae
:アブラナ属 Brassica
:ラパ rapa
変種:カブ(ヨーロッパ系) var. rapa · カブ(アジア系) var. glabra

学名
Brassica rapa L. var. rapa (1753)[1]
シノニム


Brassica campestris L. subsp. rapa (L.) Hook.f. et Anders. (1872)[2]

Brassica rapa L. var. glabra (Sinsk.) Kitam. (1950)[3]

和名
カブ(蕪)
英名
Turnip
ドイツのカブ

カブ、生100 gあたりの栄養価
エネルギー117 kJ (28 kcal)

炭水化物6.43 g
糖類3.8 g
食物繊維1.8 g

脂肪0.1 g
飽和脂肪酸0.011 g
一価不飽和0.006 g
多価不飽和0.053 g

タンパク質0.9 g

ビタミン
ビタミンA相当量β-カロテンルテイン
ゼアキサンチン(0%) 0 μg(0%)0 μg0 μg
チアミン (B1)(3%) 0.04 mg
リボフラビン (B2)(3%) 0.03 mg
ナイアシン (B3)(3%) 0.4 mg
パントテン酸 (B5)(4%) 0.2 mg
ビタミンB6(7%) 0.09 mg
葉酸 (B9)(4%) 15 μg
ビタミンB12(0%) 0 μg
コリン(2%) 11.1 mg
ビタミンC(25%) 21 mg
ビタミンD(0%) 0 IU
ビタミンE(0%) 0.03 mg
ビタミンK(0%) 0.1 μg

ミネラル
ナトリウム(4%) 67 mg
カリウム(4%) 191 mg
カルシウム(3%) 30 mg
マグネシウム(3%) 11 mg
リン(4%) 27 mg
鉄分(2%) 0.3 mg
亜鉛(3%) 0.27 mg
マンガン(6%) 0.134 mg
セレン(1%) 0.7 μg

他の成分
水分91.87 g


単位

μg = マイクログラム (英語版) • mg = ミリグラム

IU = 国際単位

%はアメリカ合衆国における
成人栄養摂取目標 (RDI) の割合。
出典: USDA栄養データベース(英語)

カブ(蕪[4]学名:Brassica rapa var. rapa)は、アブラナ科アブラナ属越年草。代表的な野菜根菜類)の一つで、別名はカブラ、カブナ、カブラナ、スズナ(鈴菜、菘)、ホウサイ(豊菜)、ダイトウナ(大頭菜)[5]など数多い。春の七草の1つとしても知られる。食用にするのは胚軸とよばれる根の部分と葉で、日本各地に多様な地方品種がある。
名称

和名カブの語源は諸説あるが、一説には肥大した根の部分の形が丸くなるところから、頭を意味する「かぶり」に見立てたのが由来とされる[6]。@media screen{.mw-parser-output .fix-domain{border-bottom:dashed 1px}}別説では、根を意味する「株」、またはカブラの女房言葉である「オカブ」から名付けられたといわれる[要出典]。別名では、すずなとも呼ばれ、春の七草の1つとして知られている[6]。すずなの「すず」は、カブの丸い形を、丸い壷形の酒器である製の瓶子に見立てたことから名付けられたものとも言われている[6]江戸時代には漢語で蕪菁(ブセイ、現代中国語?音:wujing)、蔓菁(マンセイ、manjing)、扁蘿蔔(ヘンラフク、bianluobo)などと呼ばれていた。

英語では turnip(ターニップ)、フランス語では navet (ナヴェ)、イタリア語では rapa(ラパ)とよばれている[7]。中国植物名は蕪青(ぶせい)[8]、蔓菁(まんせい)[1]

野菜としてのカブは、品種により大きさや色にもばらつきがあり、大きさの区分により「大カブ」「中カブ」「小カブ」[9]、根の色の区分により「白カブ」「赤カブ」「黄カブ」というぐあいに呼び分けられている。
特徴

カブは世界中で栽培されているが、分類上はアフガニスタン原産のアジア系と、中近東から地中海沿岸原産のヨーロッパ系との2変種に分かれる。地中海沿岸地域からヨーロッパ、中国へと世界各地へ伝わり、日本でも歴史は古く、奈良時代に朝廷の奨励でカブが栽培されたという記録がある。

越年草二年草)の野菜で、草丈は30 - 50センチメートル (cm) になり、葉はへら形で全縁、開花期は3 - 5月で、花茎を垂直に伸ばした総状花序に、径1 cmほどの黄色い十字形の4弁花を咲かせ、花後は緑色の果実をつける[10]。カブは他のアブラナ科植物と交雑しやすく、ダイコンダイコン属)とは交雑しないが、コマツナハクサイなど(アブラナ属)とは交雑する[11]。肥大した球形のを可食部として利用するが、これは発生学上で胚軸と呼ばれる部位で[9]、本当の根はその下に伸びたひげ状の部位である[10]漬物用の日野菜薬味用の遠野蕪などではこの胚軸が大根のように長く伸びるが、野沢菜ではほとんど肥大しない。胚軸と根の色は多くの場合白だが、これらが赤くなる赤カブと呼ばれるものもある。

主に春と秋に栽培が行われ、一般的な小カブで高さ30センチメートルほどになる[9]。栽培日数は小カブの場合、種まきから1.5 - 2か月ほどで収穫ができ、寒さに強い性質があるが、アブラナ科の野菜特有の連作障害もある。ヨーロッパでは主に飼料とするが、品種改良された品種が多い日本では食用野菜として利用し、根の部分(胚軸部)は淡色野菜、葉・茎は緑黄色野菜に区分される[10]。根の部分の栄養素はダイコンとほぼ同じである。栄養価は葉のほうが高く、カロテンビタミンC食物繊維が豊富に含まれている。アブラナ科に共通する苦味や辛味はあるが、カブはなかでも甘味が強く、寒い時期ほど甘味は強まる[12]
歴史

原産地については、地中海沿岸のヨーロッパ南西部を起源とする一元説と、地中海沿岸および中央アジアアフガニスタン地域を起源とする二元説がある[4][6][13]。もともと野生アブラナであるブラッシカ・ラパ (Brassica rapa) の1変種で、紀元前からヨーロッパで栽培されていた[6]中国大陸へは約2000年前に伝わったとされ[6]中国の『詩経』に記載され、ヨーロッパ系も古代ギリシャの史料に見られる。ただし、地中海沿岸から東へ伝播した中国大陸では、カブの根よりも葉のほうが主に扱われ、山東菜ハクサイへと改良されていった[11]。また、西へ伝播したヨーロッパでは宗教の考え方の影響もあり、「天からもっとも遠い地中に出来る根菜類」を低く見る嫌いがあって冷遇されていた[11]。ヨーロッパで広く普及したのは16世紀からで、飼料用途が多かった。東ヨーロッパなど寒冷地では冬場の貴重な食料源や救荒植物として活用された[13]

日本へは時期は不明であるがかなり古い時代に(弥生時代という説もある[14])、中国大陸または朝鮮半島からもたらされ、スズシロ(大根)とともに重要な根菜とされてきたと考えられている[6]。古い記録では『古事記』(712年)に記されている「吉備の菘菜(あおな)」はカブのことと見られている[誰によって?]。『日本書紀』(720年)にも[6]持統天皇が栽培を推奨したとの記述がある[14]奈良時代の朝廷が、根に養分を蓄える野菜づくりを奨励し、五穀に次いで重要視されて、各地に伝統的なカブが誕生することになった[11]。東北地方では、古くから焼き畑でつくる作物として毎年栽培されたものが、保存して冬から春の間に食べる食料にされた[6]江戸時代になってから日本各地に広まって[4]、各地域ごとに特徴ある栽培品種が多数作出された[6]
品種

種類を系統別にすると、アジア系とヨーロッパ系に分けられ、大きさでは、大中小の3種類に分けられる[15]。日本には白い丸形の小カブをはじめ、赤カブや長カブ、大型のカブなど各地で在来種が根付いており[4]、量は少ないながらも約80品種が生産され[15]、多様な品種が存在した日本の伝統野菜の代表例でもある。

日本で最も一般的に流通しているのが寒さに強い小型の白カブで、これはヨーロッパから朝鮮半島を経て渡来した系統で、中でも金町小カブが代表的な品種である[4]。カブには直径10センチメートルを超える大カブや[4]、根茎部が長さ20センチメートル以上になる長カブ[4]、赤い色の赤カブがなどあり[16]、ヨーロッパ系の品種では根茎が黄色の黄カブもある[16]


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