カノーラ
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アブラナ
菜の花
分類

:植物界 Plantae
階級なし:被子植物 Angiosperms
階級なし:真正双子葉類 Eudicots
階級なし:バラ類 Rosids
:アブラナ目 Brassicales
:アブラナ科 Brassicaceae
:アブラナ属 Brassica
:ラパ rapa
変種:アブラナ var. nippo-oleifera

学名
Brassica rapa L. var. nippo-oleifera
シノニム

Brassica campestris L.
和名
油菜、菜の花、菜種、赤種
英名
Turnip rape, Chinese colza

アブラナ(油菜)は、アブラナ科アブラナ属二年生植物。古くから野菜として、また油を採るため栽培されてきた作物で、別名としてナノハナ(菜の花)、ナタネ(菜種は正式な作物名である)などがあり、江戸時代には胡菜または壼Vと呼ばれた。

実際にはアブラナ属の花はどれも黄色で似通っていることから、すべて「菜の花」と呼ばれる傾向がある。

植物油の原料として栽培されているのは、ほとんどが別種のセイヨウアブラナ(西洋油菜、学名:B. napus)であり、在来種のアブラナは野菜として生産され、開花前に収穫されてしまうことが多い。また、離弁花類である。
概要

原種は、西アジアから北ヨーロッパ大麦畑に生えていた雑草で、農耕文化と共に移動したと考えられている。漢代の中国に渡ると栽培作物となり多様な野菜を生むなど、東アジアで古くから栽培されている。日本では弥生時代以降から利用されたとみられる。

本来は菜、つまり葉物野菜として利用され、古事記では吉備の菘菜(あおな)、万葉集では佐野の茎立(くくたち)として登場し、花芽についても、延喜式に記されている。

江戸時代になって、植物油の採油目的として栽培され、その油は菜種油と呼ばれた。菜種油は、主に灯油原料として利用され、生活に密着したものとなった。そのため、菜種という言葉は、一般的な植物名として定着したのであった。また、一般にアブラナ属植物の種子からは油が採取でき、カラシナカブも利用されている。

丈夫で育てやすく、広く栽培されたなじみ深い作物だった。また、菜種畑は明るい黄色が畑を覆う「菜の花畑」として風物詩とされ、文学作品の題材となるが、明治時代以降はセイヨウアブラナに置き換わっている。
変種

原種であるBrassica rapaの変種は数多く[1]、野菜として利用されているものが多い。

B. rapa var. nippo-oleifera - アブラナ

B. rapa var. nipposinica - ミズナ

B. rapa var. rapa - カブ(ヨーロッパ系)

B. rapa var. hakabura - ノザワナ

B. rapa var. perviridis - コマツナ

B. rapa var. chinensis - チンゲンサイ

B. rapa var. pekinensis - ハクサイ

B. rapa var. narinosa - ターサイ: Tatsoi、日: ?菜

B. rapa var. glabra - カブ(アジア系)

B. rapa var. utilis - サイシン

このほかコウサイタイ、ブロッコレットなどが、市場に出回るようになっている。アスパラ菜など、交配による新顔も登場している。
自然交雑

アブラナ科植物は形態的な変異に富んでいるが、その見た目とは反対に交雑して雑種が生まれやすい。すなわち、同種だけでなく他種の花粉によって結実してしまうもので、学術的な分類の困難な品種も多い。

これは、固定種や在来品種を維持するために自家採種を行っている農家にとって、特に頭の痛い問題であり、種苗用の種子生産では交雑を避けるために隔離栽培(他のアブラナ科植物の花粉で汚染されないよう、数百メートル以上離す)が必要だが、一般の圃場では不可能に近い(小さな島で隔離栽培例がある)。
栽培

菜の花(ナバナ)は、秋に種をまき、本葉が5 - 6枚のを株間30 - 40センチメートル (cm) で定植し、冬を越して3月上旬から4月上旬に花茎を切って収穫する[2]。畑に直まきする場合は、間引きながら育てる[2]。草丈が20 cmくらいのとき、生長が遅いようであれば追肥も行う[2]

国内の作付面積では北海道が最大で、特に空知地方中部の滝川市は国内有数の規模で知られる。また近年では同地方南部の岩見沢市美唄市も滝川市に肩を並べるまでに栽培が急増しており、空知地方だけで全国の作付面積の約3割を占めている[3]

そのほかに作付面積の大きい地域としては青森県横浜町、次いで秋田県が挙げられる。千葉県房総半島南部(館山市南房総市鴨川市など)の栽培は、統計上大きくはないが、県の花になっている。
生産量

生産国上位
(単位:100万トン)国1965年1975年1985年1995年2000年2005年2007年2009年
中国1.11.55.69.811.313.010.513.5
カナダ0.51.83.56.47.29.49.611.8
インド1.52.33.15.85.87.67.47.2
ドイツ0.30.61.23.13.65.05.36.3
フランス0.30.51.42.83.54.54.75.6
ポーランド0.50.71.11.41.01.42.12.5
イギリス<0.0070.060.91.21.21.92.12.0
オーストラリア<0.007<0.060.10.61.81.41.11.9
 ウクライナ<0.007<0.06<0.03<0.10.10.31.01.9
 チェコ0.070.10.30.70.80.71.01.1
アメリカ合衆国<0.007<0.06<0.030.20.90.70.70.7
ロシアN/AN/AN/A0.10.10.30.60.7
 デンマーク0.050.10.50.30.30.30.60.6
 ベラルーシN/AN/AN/A0.030.070.10.20.6
 ハンガリー0.0080.10.10.10.20.30.50.6
 ルーマニア0.010.020.040.040.10.10.40.6
合計5.28.819.234.239.546.450.561.6
出典:UN Food & Agriculture Organisation (FAO)[4]

利用

この項では、セイヨウアブラナも含めたアブラナとしての用途を記す。
種子
菜種油
詳細は「菜種油」を参照種子の含油量40%、比重0.9、搾り取った菜種油は食用油、灯火、潤滑油の原料となる。精製したものは「白絞油(しらしめゆ)」または「水晶油」。近年の菜種油は、成分育種が進んでおり、有害なエルカ酸(エルシン酸とも)を含まないエルシン酸フリー品種が主流である。カナダで開発されたキャノーラ種とはエルシン酸フリーおよび低グルコシノレートの特性を持つ品種であり、エルシン酸フリーのみの品種はキャノーラ種ではない。世界的にセイヨウアブラナ種子の生産量は年々増加しており、4600万トンを超え、主要生産国は中華人民共和国カナダインドドイツフランスなど(FAO2005年の資料から)。


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