カナーン語
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カナン諸語
話される地域
カナン地方(レバノンイスラエルヨルダン
言語系統アフロ・アジア語族

セム語派

西セム諸語

中央セム諸語

北西セム諸語

カナン諸語





下位言語

ポエニ語

ヘブル語

モアブ語

アモン語

エドム語

Glottologcana1267[1]

カナン諸語[2](カナンしょご、Canaanite languages)は、古代カナン地方にて話されたセム語派の下位群のひとつで、代表的な言語にフェニキア語ヘブライ語がある。アラム語ウガリット語などともに北西セム諸語を構成する(ウガリット語をカナン諸語に含めることもある)。

現代ヘブライ語以外のカナン諸語は消滅言語であるが、フェニキア語北アフリカで5世紀まで生きのこった。18世紀以降に碑文が解読されることによって再び知られるようになった。しかし、ヘブライ語以外の資料は断片的である[3]

カナン諸語の碑文資料は1960年代に出版された『カナン諸語およびアラム語碑文』(Kanaanaische und Aramaische Inschriften, KAI。2002年第5版)に集成され、しばしばこの書物の番号によって参照される。しかしその後に発見された碑文は含まれていない[4]
特徴

よく知られたカナン語の音声上の特徴に、長母音 *a? が o? に推移していることがあげられる。フェニキア語ではさらに u? になっている。たとえば「永遠、世界」を意味する *?a?lam は、ヘブライ語で ?o?la?m、フェニキア語では ?u?lo?m になる[5]。また「平安」はアラビア語では sala?m だが、対応するヘブライ語は ?a?lo?mである。ただし、この特徴はカナン語が分岐した後に起きた変化とする説もある[6]

形態の上では以下のような特徴が指摘されている[6]

動詞の派生語幹のうち、C(使役形、ヘブライ語のヒフイル)、D(語根第二子音の重複形、ヘブライ語のピエル)の最初の子音の後の母音が a ではなく i になる。

動詞の一人称単数語尾が -tu でなく -ti になる。

一人称複数代名詞の接語形が -nu で終わる。これは独立した代名詞(?anu / ?ana?nu)および動詞活用語尾(-nu)から類推されたものである。

下位分類
フェニキア語

フェニキア語は、おおむね現在のレバノンおよびイスラエル北部で話され、その中心地はビブロスだった。フェニキア人地中海沿岸に植民地を作り、そのひとつ、今のチュニジアにあるカルタゴで発達した方言はポエニ語と呼ばれ、数千の碑文が残っている。

29の子音を持つセム祖語にくらべてフェニキア語では子音が融合して数が減り、このためにフェニキア文字には22しか子音字が存在しない[7]

フェニキア文字は純粋なアブジャドであり、子音のみが記されたが、後のポエニ語では準母音あるいは母音表記が発達した。ほかにギリシア文字ラテン文字で書かれた資料が少数あり、プラウトゥスの戯曲「カルタゴ人」の中ではポエニ語の会話がラテン文字で記されている。ローマによってカルタゴが滅ぼされた後も数世紀にわたってポエニ語は使われ続けた。この時代のポエニ語は新ポエニ語(または後期ポエニ語)と呼ばれる[3]
ヘブライ語

ヘブライ語は聖書の言葉であり、カナン諸語のうち唯一忘れ去られなかった。

ヘブライ語の表記にはフェニキア文字の系統の文字を使用したが、古代のヘブライ語は子音の数がフェニキア語より多かったため、「? ?」「? ?」「? ?」については複数の子音が同じ文字に割り当てられた[8]


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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