カナムグラ
分類
Humulus scandens (Lour.) Merr.
和名
カナムグラ
英名
Japanese hop
カナムグラ(鉄葎、Humulus japonicus)はアサ科[注釈 1]カラハナソウ属の一年草。和名「鉄葎」は強靭な蔓を鉄に例え、「葎」は草が繁茂して絡み合った様を表すように、繁茂した本種の叢は強靭に絡み合っており、切ったり引き剥がしたりすることは困難である。後述のヤエムグラやヤブムグラ等、本種と似た種小名の植物は多いが、本種とは系統的に離れたアカネ科に属するものが多い。漢名は律草(りつそう)。 中国大陸、台湾および、日本では北海道から九州までの範囲に分布する[1][2]。原野や道端、荒れ地などの日当たりの良い場所に自生する[3]。また好窒素的な傾向が強く、畜産や農業、家庭排水などの影響により富栄養化した土壌などでより繁殖し、優占種となる傾向が強い[4]。 アメリカでは園芸用に栽培されたものが野生化し、外来雑草となっている[5]。 雌雄異株のつる植物で一年草[3][2]。伸張が旺盛で、一面に広まる[3]。茎から葉柄にかけて下向きの小さな鋭い棘があり、木や電柱、ガードレールなど他物に絡まる[3][1]。 葉は長い葉柄で対生し、葉身の長さ5 - 12センチメートル程度の5 - 7裂に深く切れ込んだ掌状で、葉縁に鋸歯が多く、葉の表面は荒い毛があってザラつく[3][2]。 花期は晩夏から秋にかけて(8月 - 10月)で、雄株は分枝した花茎を伸ばし、円錐花序にまばらにつき、細かい淡緑色の雄花を多数つける[3][6]。雄花の花被はふつう4個あり、雄しべは大きな葯がつく[6]。一方の雌花は、雌株の葉腋から花茎を伸ばして下向きに短い穂状の花序を垂らし、花序にかたまるように苞に包まれた紫褐色の花をつける[3][6]。雌花につく苞は、先端が尖り、濃紫色の模様がある[6]。雌花は受粉後に成熟して果実となると赤紫色を帯びる。 本種の花粉は、ブタクサやヨモギなどと並び、秋の花粉症の原因となる[7]。 茎葉と花は薬草になる部分で、苦味健胃や利尿に効果があるとされ、夏に茎葉を切り取って天日で乾燥させたものを用いるが、生薬名は特に用いない[3]。 健胃、利尿、膀胱炎に、1日量5 - 10グラムの律草を水400 ccでとろ火で半量になるまで煎じ、3回に分けて服用する利用法が知られている[3]。また、健胃に花穂1日稜5 - 8グラムを、水400 ccで煎じて3回に分服する用法が知られている[3]。 万葉集における「やえむぐら(八重葎)」は現代とは異なり、アカネ科のヤエムグラではなく本種を指していると思われる。 キタテハの食草である。
分布
形態
茎は伸長が旺盛で、一面に広がる。
葉は掌形で、深く5裂から7裂する。
雄花
雌花
アレルギー
利用
類似種
セイヨウカラハナソウ(西洋唐花草、Humulus lupulus )→ホップを参照。
カラハナソウ(唐花草、Humulus lupulus var. cordifolius )
その他
脚注[脚注の使い方]
注釈^ 以前はクワ科に分類されていた。
出典^ a b 亀田龍吉 & 有沢重雄 2010, p. 206.
^ a b c 菱山忠三郎 2014, p. 147.
^ a b c d e f g h i j 馬場篤 1996, p. 36.
^ 土壌の富栄養化が農村地域の河川周辺雑草群落の動態に及ぼす影響
^ ⇒Invasive.org(pdf)
Size:25 KB
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
担当:undef