カツラ(桂[3]、学名: Cercidiphyllum japonicum)は、カツラ科カツラ属の落葉高木。別名、トワダカツラ。ハート形の葉が特徴的で、秋に黄葉して落葉した葉はよい香りを放つ。樹形の美しさから庭木や街路樹にされるほか、材から家具、碁盤、将棋盤が作られる。 和名カツラは葉の香りに由来し、落葉した葉は甘い香りを発することから、香りが出ることを意味する「香出(かづ)る」が転訛したものといわれている[4][5][6]。別名ではトワダカツラ[1]、コウノキ[6]ともよばれる。落葉して茶色になった葉から、しばしばカラメルのような甘い香りを放つため、オコウノキ(お香の木)などの地方名がある[7]。 「カツラ」という名は、古くは本種だけに当てられたものではなく、タブノキやヤブニッケイなどの暖帯に分布する香気を持った樹木を指したといわれ、植物学上のカツラと、文字の上での「桂」では種が一致しない[8]。 中国植物名は、「連香樹」と書かれる[1]。中国の伝説では、「桂」は「月の中にあるという高い理想」を表す木であり、「カツラ(桂)を折る」とも用いられる。しかし中国で言う「桂」はモクセイ(木犀)のことであって[9]、日本と韓国では古くからカツラと混同されている(万葉集でも月にいる「かつらをとこ(桂男)」を歌ったものがある)。中国には近い種類のものが分布するが、本種は日本のものが有名で、英名でも Katsura Tree(カツラ・ツリー)で通用する[10]。 日本の北海道、本州、四国、九州の各地[3]、さらに中国、朝鮮半島に分布する。街路樹や公園樹として植えられ[11]、アメリカなどでも植栽されている。日本で自生するものはブナ林域などの冷温帯の渓流などに多く見られる[12]。水際に多く自生し、湿地を好む典型的な樹種で、日当たりの良い乾いた尾根ではほとんど見られない[13]。カツラの大木の下には、必ず水脈があるといわれた[5]。 日本においては、奥入瀬渓谷、奥日光、奥多摩、丹沢、上高地、芦生の森などで見られるが[13]、山形県最上郡最上町にある「権現山の大カツラ 日本にはカツラ(本種)と、その枝垂れ形品種のシダレカツラ 落葉広葉樹の大高木で、高さはふつう20 - 25メートル (m) [3]、高いものは30 mほどで[13]、樹幹の直径は2 mほどにもなる[5]。大きなものでは高さ30 m以上、幹径4 - 5 mという個体も珍しくない[10]。幹は直立し、1本立ちのものから株立ちのものもある[3]。寿命は長く、成長すると主幹が折れ、根元からたくさんの「ひこばえ(萌芽)」を伸ばして萌芽更新が行われ、老木は株立ち樹形の大木になるものが多い[10][7][13]。また大木になると、その多くは樹洞になっていて、まわりの側だけが残ったものが多い[10]。樹形は幹がまっすぐに立ち、整った三角形を呈する[4]。樹皮は灰褐色で、はじめは滑らかであるが、生長に従い縦に浅く割れ目が入り、薄く剥がれる[4][13][15]。一年枝は濃褐色や赤褐色で無毛で、皮目が多く、短枝もよくできる[15]。幼木の樹皮は赤褐色で、縦長の皮目が点在する[15]。 花期は3 - 5月で[15]、雌雄異株である[3]。早春のころ、葉が出る前に花被片(花弁と萼)がない独特な形状の目立たない薄紅色の花が開き、そのあとに黄色く色づいた葉が芽吹く[3][13][5]。
名称
分布・生育地
形態・生態