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カップ麺(カップめん)とは、乾燥麺や生タイプ麺[1]などの即席麺類のうち、食器として使用できる容器(コップ状の耐熱耐水容器など)に入れ、かやく(具材)を添付したものである。日本で初めて商品化され、世界各地にも簡易な食糧として普及し、多くの国で親しまれ、世界中に様々な製品が流通している。
日本において規約上の正式名は「即席カップめん」である[1]。内容物がインスタントラーメンのものをカップラーメン、蕎麦、うどんのものをカップそば、カップうどん、焼きそば風のものをカップ焼きそば(インスタント焼きそば)ともいう。 カップ麺のうち、その多くは麺も調味料も具となる乾燥したかやくも一つのカップ内にまとめて封入されており、その調理は熱湯を注ぐだけで完了するが、後述するように調味料やかやくが小袋に入れられ別添されていたり、カップ焼きそばに代表されるように麺を湯戻しの後に湯切りしてカップ外に捨てるものやその湯を他の容器に移してスープとするものなど、多様なバリエーションも存在する。またバリエーションの一端として電子レンジで加熱調理を行うタイプも存在する。 この製品のカップは調理器具であると同時に食器でもあり、また商品として商店で陳列されるための意匠を凝らしたパッケージ、消費者が購入後に家庭などで食品である麺を保管するための保存容器を兼ねている。 カップ化される麺食品はラーメンやうどんなどの日本やアジア地域になじみの深い小麦麺のほか、欧州で発達したパスタや、アジアで発達したビーフンやフォーといった米麺など、およそ麺類すべてに及び、製造・販売する企業並びに製品は多岐にわたる。油で揚げたりフリーズドライで乾燥させる加工が可能であればカップ麺とすることが可能[注釈 1]である。今日では様々な麺類のカップ麺が様々な国で生産されており、日本国内でも海外で販売されているものを含む様々な麺食品のカップ版を入手することができる。ただし製品化する上で具が麺と一緒に調理できる必要性や様々な理由から、簡略化されたり別の具材が用いられたりなど、様々な試行錯誤や工夫が凝らされている。 また箸に馴染みのない地域ではフォークを使って食べる消費者のために日本国外向けの製品では国内商品に比べると麺の長さが短くなっているものがある[2]など、同じ銘柄の製品でも販売地域によって消費者の嗜好に合わせた変更が加えられたものも存在する。 安藤百福が1971年(昭和46年)9月18日に発売した「カップヌードル」が最初の製品(事前に行われた試験販売を除く[注釈 2])である。今では主食としても食べられているが、開発当初は間食としての普及を目指していた。欧米に即席ラーメンのセールスに行った際、ラーメン用のどんぶりがなかったため、紙コップにチキンラーメンを割り入れて湯を注ぎフォークで試食する姿から着想を得た。 カップヌードルが、通常の袋麺(約90?100g)よりも麺の容量が少ない(麺重量60?70g)のはその名残りである。1980年代後半まではほかのメーカーもこれに追随していたが、1988年(昭和63年)にエースコックが麺の容量を袋麺と同等の90gとして「大盛サイズ」を謳った「スーパーカップ」シリーズの販売を開始し、これが大ヒットとなる。各社もこれに続き主食としての普及を目的とした大容量サイズ(おおむね麺重量80g以上)の商品も、カップ麺の主流の一角を担うこととなっていく。のちにカップヌードルに関しても「大盛サイズ」を製造しこの潮流を追随する。一方、L層(女性客や年少者)向けに、通常の半分程度のミニサイズ商品(おおむね麺量30g程度)の個包装麺やミニカップ麺も各社より販売されている。 1972年のあさま山荘事件の際、機動隊員が寒さの中、非常食として配られたカップヌードルを食べている姿がテレビの生放送でたびたび放映されたため、カップ麺が日本全国に認知され普及するきっかけとなった[3]。 欧米市場においては、発売当初には箸の文化が浸透していなかった関係上、カップヌードル発売当初には、折りたたみ型のフォークが付随している商品が国内でも存在していた。現在でも外国市場製品には、これに類したフォークが貼付されている商品が存在する。また、その関係から発売当初カップ麺を購入した際に、割箸ではなくプラスチック製のフォークを別途添付して販売されていた時期がある。 容器は通常、発泡スチロールか紙が使われる。発泡スチロールを使うのは、保温性・断熱性がよく、持ったときに熱くないという理由からである。紙製の容器の場合、容器外側を段ボール状にしてこの点を克服している。代表的なものが「サッポロ一番 カップスター」[4]である。最近のものはカップを二重構造にするだけで段のない容器になっている。近年では紙製でも発泡スチロールのように紙に空間を持たせたものも存在する(日清カップヌードル系列に存在する)。紙の容器に比べ、発泡スチロールの方が多彩な形状のものを作ることが可能であり、初期のものはすべて発泡スチロールだが、日清食品が特許を申請したために、後発メーカーは主に紙容器のものを作った。また徳島製粉の「金ちゃんラーメン」など、一部の製品は国産品でも複層型の非発泡スチレンケースカップを使用している。外国製品でも単層型のスチレンカップの製品が存在する。 乾燥麺タイプは直接容器に麺が入っているケースがほとんどであるが、生タイプ麺はすべてその麺を真空パック包装したうえで容器に入れた状態となっている。 本体容器は通常は廃棄処分されることが多いが、たとえば「カップヌードル容器でチキンラーメンを喫食する」などの再利用をする場合もある(ただし長期使用はできない構造であるため簡易使用に留まる[注釈 3])。 通常は封緘は天面に紙ないしはそれに類するもので封緘する形式が多く、この部分は喫食後には最終的には本体容器から除去される。プラスチック製容器で、蓋も同様にプラスチック製の場合はその限りではなく、この場合は本体容器は蓋とともに再利用が可能である。これを利用して容器全体を別の食品用に再利用することも、また食品以外の簡易収容保管に利用することも可能である[注釈 3]。 カップ麺本体を封印する封緘フィルムは通常はその製造工程上、搬送機の搬送用歯車(スプロケット)での貫通が避けられず、規則的な小孔が認められる場合がある。場合によっては封緘紙などにその跡がついていることがある。なお一部の日清食品製品には、この封緘フィルムの底面に調理時用の封緘シールが付属しているものがあり、このシールは封緘フィルムの除去時の開封補助を兼ねている。 1998年に環境庁(現・環境省)より提出されたSPEED'98リスト(「内分泌攪乱化学物質問題への環境庁の対応方針について」)により、高熱の熱湯を注ぐことで発泡スチロール製の容器から環境ホルモン(スチレンダイマー、スチレントリマー)が溶出し、スープや麺と一緒に摂取することで人体への影響があるとマスメディアや活動家からの批判を浴び、各メーカーが緊急に紙容器に切り替えるなど大きな問題となった。 のちに同説はカップ麺業界により再調査され、2000年に旧通産省・旧環境庁が「内分泌攪乱作用があるとの証拠は見いだせない」「作用を否定する報告が大半」と発表したが、2006年に東京都健康安全研究センターは動物実験により、生物への影響が確認されたと発表した。これに対して、通常の10倍以上を摂取する状況下での結果であり、実際の人体への影響がどの程度かは不明であるとの反論が出された。 なお発泡スチロール(ポリスチレン)は前述の通り、環境ホルモンと関連する物質の疑いが2000年11月に晴れたとされ、同リストより除外されている。しかし、2004年には当時流行した健康食品のしそ油(荏胡麻油)が、このスチロール製カップを溶かすとして話題となり、国民生活センターが調査を行ったところ、このしそ油をカップに入れ、100度の熱湯を注いだ際に一定の溶解が見られたため、消費者に注意を呼びかけている[5]。 2008年にも日本即席食品工業協会がしそ油や荏胡麻油だけでなく亜麻仁油やヤシ油(ココナッツオイル)もスチロール製容器のカップ麺に入れた場合に容器が溶けることがあるとしている[6]。
概要
歴史
容器
発泡スチロール容器に関する話題
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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
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