カッピング療法
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カッピングと瀉血セット(1860 - 1875年、ロンドン)

カッピング療法(カッピングりょうほう)は、ガラス容器(吸い瓢、すいふくべ[1]、吸角[2])などを用いて皮膚を吸引し、その部分を鬱血状態にすることにより血行促進や老廃物の排出を促す伝統医療である[3]。皮膚に当てる前にカップに炎を当てて酸素を除去するか、皮膚に当てた後にカップに吸引装置を取り付けて、カップ内に陰圧を発生させる[4][5]。ドライカッピングは、皮膚に穴を開けず、ウェットカッピングは、皮膚に穴を開け、血液をカップに流入させる[4]。アジアを中心に、東欧、中東、中南米において民間療法として行われている[6][7]。吸い玉療法、吸角法とも呼ばれる[8]

カッピングは疑似科学であり、その施術は偽医療であるとされている[9][10][11]。カッピングの施術者は、発熱、慢性腰痛、食欲不振、消化不良、高血圧、ニキビ、アトピー性皮膚炎、乾癬、貧血、脳卒中のリハビリ、鼻づまり、不妊、月経痛など、さまざまな病状にカッピング療法が有効だと主張する[6][7][4][11]。しかし、それが健康に役立つという証拠は不十分であり、(あざ)や皮膚の変色などの副作用がある[6][7][4][11]
科学的評価中国・海南省海口市の道端でカッピング療法を受ける女性

痛みの軽減に役立つかもしれないが、エビデンスとしての質は低い[4][5]。カッピングが他の症状に役立つかどうかについては、十分に質の高い研究がない[4][5]。2011年に行われたシステマティック・レビューでは、「カッピングの有効性は、現在のところ十分に証明されていない」と評価され、痛みの治療に対する有効性を示すレビューは「ほとんどが質の低い一次研究に基づいている」と評価された[12]。これは、カッピングを支持するこれまでのエビデンスが「不合理な設計と質の低い研究」の結果であることを示した2014年のレビューによって裏付けられた[13]

アメリカがん協会は、「カッピングに健康上の利益があるという主張は、科学的根拠がない」と指摘し、また、この治療には火傷のリスクがわずかにあると述べている[14]

疑似科学的なデトックス(解毒)の儀式として、カッピングの支持者は、体から毒素を体から取り除くことができると主張をしている[15][16]。また、カッピングが「血流を改善」し、筋肉痛を改善すると主張している[17]。 ジェームズ・ハンブリンは、カッピングによるアザは「血の塊であり、凝固した血液は、流れていない」と指摘する[18]

代替医療の批判者たちは、カッピング療法に反対の声を上げている。ハリエット・ホールとマーク・クリスリップは、カッピングを「無意味な疑似科学」、「有名人の流行」、「意味不明」と評し、カッピングがプラセボより効果があるという証拠はないと述べている[19][20]薬理学者のDavid Colquhounは、カッピングは「笑える...そして全くありえない」と書いている[21]。外科医のDavid Gorskiは、「リスクばかりでメリットがない」「現代医学にはふさわしくない」と評価している[22]


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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