カタルーニャ料理
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スペインにおけるカタルーニャ州

カタルーニャ料理(カタルーニャりょうり)は、スペインフランスにまたがるカタルーニャ地方で食べられている料理
歴史アラゴン=カタルーニャ連合王国の最大版図

8世紀以後にカタルーニャの一部を支配したムーア人は、砂糖(サトウキビ)、香辛料、ナス、アーティチョーク、コメ、パスタなどの食材をカタルーニャにもたらした[1]ユダヤ人もムーア人の前にこの地方に足跡を残している[1]。これらの民族の影響を受けた結果、この地方には様々な要素を併せ持つ食文化が栄えた[1]

中世にはアラゴン=カタルーニャ連合王国が地中海の大部分を支配する強大な国家となった。ヨーロッパでは長らくカタルーニャ料理が影響力を持ち、カタルーニャ語で書かれたレシピ集の存在は14-15世紀にカタルーニャ料理が名声を博したことを物語っている[2]。14世紀初頭に書かれた無名作家の料理本には、タマネギやニンニクを揚げて作ったスフラジット、ヤギのチーズを詰めたナス、魚のフライ、チキンのアーモンドソース添え、バラと蜂蜜風味のチーズなどが書かれている[2]アラゴン王アルフォンソ5世は1443年にナポリ王となっており、アルフォンソ5世の主席料理人だったルペルト・ダ・ノラも料理本を著している[2]。彼のレシピはジェノヴァロンバルディア、フランスの要素を取り入れているとされ、アラブの要素が見られるとされることもある[2]

1939年から1975年まで続いたフランコ体制下にカタルーニャ文化が破壊され、現代には産業化された食品が登場したことで、カタルーニャ人は自らの農村や家庭料理の価値を再認識している[2]
特徴バルセロナの「ラ・ブカリーア」市場

カタルーニャ料理は、動物性油脂のラード中心のスペイン料理と、植物性油脂のオリーブオイル中心の地中海料理という、ふたつの地域の料理の要素を併せ持っている[3]。バレアレス料理(英語版)、バレンシア料理(英語版)、南フランス料理、アラゴン料理、ムルシア料理などの西地中海料理と接点がある。イギリスの料理本著作家であるクラウディア・ローデン(英語版)は、カタルーニャ料理にはアフリカ、フランス、アラブの影響が及んでいるとしている[2]。ジュゼップ・プラ(英語版)[4]、ジャウマ・ファブラガ(英語版)[5][6]などの料理本著作家/料理研究者は、カタルーニャ州だけでなくバレアレス諸島バレンシア州で食べられている料理もカタルーニャ料理であるとみなしているが[7]、この見解はカタルーニャ独立運動と関連する政治的意味合いを包含しており、広く浸透しているわけでもバレアレス諸島州政府やバレンシア州政府などから支持されているわけでもない[8][9][10][11]

その地理的多様性が理由で、カタルーニャでは新鮮な野菜、肉類、果物が生産され、高品質の魚介類が漁獲されている[12]。変化に富んだ風土のために食材の多様性が豊かであり、多くの民族と交流してきた歴史から料理法も豊富である[3]。カタルーニャ北部はより伝統的なカタルーニャ料理の要素を残しており、一方のカタルーニャ南部はニンニク、トマト、香辛料などを多用する傾向がある[1]

伝統的には植物性のオリーブオイルと動物性のラードが併用されていたが、今日ではカタルーニャではラードを加えずに料理することが多い[2]。カタルーニャのエクストラバージンオイルはスペイン有数のオリーブオイルであり、カタルーニャにはスペインでもっとも古い部類のオリーブの木がある[2]ラ・ブカリーア市場は世界的に知られた市場であり、地元料理を提供するレストランも備えている[13]。カタルーニャ料理は、スペインでもっとも豊かで、もっとも複雑で、もっとも洗練された料理である。魚介料理は格が高く、スペインのどこよりも野生のキノコを用いる。カタルーニャ人は辛みと甘み、甘みと酸味などを調和させ、肉と果物、魚と肉などを組み合わせる。 ? クラウディア・ローデン(料理本著作家)[2]
料理
穀物・豆類・キノコパエリアの一種であるフィデウアー

代表的な穀物は小麦であるが、コメ、ライ麦、ソバなども栽培されている[1]。小麦はパンの他に、パスタ、コカ、ビスケットなど多様な料理に使用される[1]。カタルーニャでコメは野菜の一種とされ[3]、主にカタルーニャ州南部のエブロ・デルタで栽培されて様々な料理に使用されている[12]。アロス・ア・ラ・カソーラ(Arros a la cassola)は「カタルーニャ風パエリア」と呼ばれ、一般的にパエリアに用いられるサフランの代わりにイカ墨を用いる[12]。カタルーニャでは木曜日には外食でパエリアを食べる習慣があり、パエリアのコメの代わりにパスタを用いるフィデウアー(スペイン語版)はカタルーニャ地方南部の沿岸部の名物である[3][12]

小麦から作るコカは「カタルーニャ風ピザ」であり、ピザとは異なりチーズを使用しない点が特徴である[12]。コカは祭礼時の定番料理であり、トマト、タマネギ、ピーマン、アンチョビなど様々な食材を乗せる[12]。豆類ではインゲンマメが好まれ、他にはヒヨコマメレンズマメやソラマメも使用される[1]カタルーニャ地方で採れた野生のアカハツタケ

カタルーニャ人は日本人に劣らないほどのキノコ好きの民族であり、スペイン中南部のマドリードやアンダルシア地方をはるかに上回る種類のキノコが食される[14]。秋季にはキノコ狩りに何日も費やすことがある[12]。もっとも簡単な料理法はオリーブオイルとニンニクでソテーすることであるが、オムレツやスクランブルエッグなどの卵料理にも使用され、子牛の肉と一緒に煮込む料理はカタルーニャ地方の「おふくろの味」である[14]。日本に比べてキノコ狩りが盛んであり、またバルセロナの市場「ラ・ブカリーア」にはキノコ専門店がある[14]
魚料理


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