カタランの定数
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数学において、カタランの定数 G(カタランのていすう、英語: Catalan's constant)とは、ディリクレベータ函数 β を用いて以下のように定義される定数である。 G = β ( 2 ) = ∑ n = 0 ∞ ( − 1 ) n ( 2 n + 1 ) 2 = 1 1 2 − 1 3 2 + 1 5 2 − 1 7 2 + 1 9 2 − ⋯ , {\displaystyle G=\beta (2)=\sum _{n=0}^{\infty }{\frac {(-1)^{n}}{(2n+1)^{2}}}={\frac {1}{1^{2}}}-{\frac {1}{3^{2}}}+{\frac {1}{5^{2}}}-{\frac {1}{7^{2}}}+{\frac {1}{9^{2}}}-\cdots ,}

その数値[1]はおよそG = 0.915965594177219015054603514932384110774…

とされる(オンライン整数列大辞典の数列 A006752)。

数学の未解決問題カタランの定数は無理数か?もうしそうならば、超越数か?

G が無理数超越数なのかは未だに分かっていない[2]。G は「無理数や超越数であるかどうかが(そうであると強く推測されながらも)今だ明らかでない最も基礎的な定数」だと言われている[3]

カタランの定数は、級数の数値計算のために素早く収束する級数を発見し[4]1865年にその回顧録を出版したウジェーヌ・カタランに因んで名付けられた[5]
適用事例

低次元トポロジーにおいて、カタランの定数はイデアルな双曲八面体の体積の1/4であり、したがってホワイトヘッド環の補集合双曲体積の1/4である[6]。また、ボロミアン環の補集合の体積の1/8である[7]

組み合わせ数学統計力学において、格子グラフ(英語版)上のドミノタイリング[8]全域木[9]ハミルトン路[10]の数え上げと関連している。

数論において、カタランの定数はハーディ・リトルウッドのF予想での n2 + 1 という形で表される素数の個数の漸近式に現れる。しかしながら、この形式をした素数が無限個存在するかどうかすら未解決(ランダウの問題(英語版)の1つ)である[11]

渦巻銀河の質量分布(英語版)の計算においてカタランの定数が現れる[12][13]

双曲線正割分布において、分布のエントロピーはカタランの定数の 4 / π {\displaystyle 4/\pi } 倍である。

グーデルマン関数 y = gd ⁡ x {\displaystyle y=\operatorname {gd} x} のグラフ、y軸および漸近線で囲まれる領域(のうち有限領域であるほう)の面積は、カタランの定数の4倍に等しい。

既知の桁

カタランの定数 G の既知の桁数は、ここ数十年で飛躍的に増加した。これはコンピュータの性能の向上およびアルゴリズムの改善によるものである[14]

十進法でのカタランの定数 G の既知桁数日付十進法での桁数計算者
1832年16トーマス・クラウゼン(英語版)
1858年19Carl Johan Danielsson Hill
1864年14ウジェーヌ・シャルル・カタラン
1877年20ジェームズ・W・L・グレーシャー(英語版)
1913年32ジェームズ・W・L・グレーシャー(英語版)
1990年20000Greg J. Fee
1996年50000Greg J. Fee
1996年8月14日100000Greg J. Fee & サイモン・プラウフ
1996年9月29日300000Thomas Papanikolaou
19961500000Thomas Papanikolaou
19973379957Patrick Demichel
1998年12500000Xavier Gourdon
2001年100000500Xavier Gourdon & Pascal Sebah
2002201000000Xavier Gourdon & Pascal Sebah
2006年10月5000000000近藤茂 & Steve Pagliarulo[15]
2008年8月10000000000近藤茂 & Steve Pagliarulo[14]
2009年1月31日15510000000Alexander J. Yee & Raymond Chan[16]


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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