カスタマーハラスメント
[Wikipedia|▼Menu]
.mw-parser-output .side-box{margin:4px 0;box-sizing:border-box;border:1px solid #aaa;font-size:88%;line-height:1.25em;background-color:#f9f9f9;display:flow-root}.mw-parser-output .side-box-abovebelow,.mw-parser-output .side-box-text{padding:0.25em 0.9em}.mw-parser-output .side-box-image{padding:2px 0 2px 0.9em;text-align:center}.mw-parser-output .side-box-imageright{padding:2px 0.9em 2px 0;text-align:center}@media(min-width:500px){.mw-parser-output .side-box-flex{display:flex;align-items:center}.mw-parser-output .side-box-text{flex:1}}@media(min-width:720px){.mw-parser-output .side-box{width:238px}.mw-parser-output .side-box-right{clear:right;float:right;margin-left:1em}.mw-parser-output .side-box-left{margin-right:1em}}この項目には、一部のコンピュータや閲覧ソフトで表示できない文字(Microsoftコードページ932はしご高))が含まれています(詳細)。

カスタマーハラスメント(: Customer abuse)とは、暴行脅迫暴言・不当な要求といった、顧客による著しい迷惑行為のことである[1]。略してカスハラともいう。

顧客(カスタマー)+嫌がらせ(ハラスメント)を組み合わせた用語であるが、英語には「customer harassment」という用語は存在せず、和製英語の一種である。日本では2010年代前半頃から、悪質なクレーマーに対して「カスタマーハラスメント」の名称を用いる動きが見られるようになった[2]
概要
定義

厚生労働省は2022年にカスハラ対策マニュアルを作成しており、企業が従業員(コールセンターや接客業など)を守るために対応するべき課題の1つとしている[1]。そのマニュアルの中で、厚生労働省はカスタマーハラスメントを以下のように定義している。その解釈や判断基準、具体例などの詳細もマニュアルに記載されている。.mw-parser-output .templatequote{overflow:hidden;margin:1em 0;padding:0 40px}.mw-parser-output .templatequote .templatequotecite{line-height:1.5em;text-align:left;padding-left:1.6em;margin-top:0}顧客等からのクレーム・言動のうち、当該クレーム・要求の内容の妥当性に照らして、当該要求を実現するための手段・様態が社会通念上不相当なものであって、当該手段・様態により、労働者の就業関係が害されるもの—厚生労働省、『カスタマーハラスメント対策企業マニュアル』
法律・条例

店で大声をあげたり、業務を妨げたり、無理に居座ったりする行為は、威力業務妨害罪不退去罪に問われる可能性がある。そのほかに関連する条文としては、傷害罪暴行罪脅迫罪恐喝罪強要罪侮辱罪名誉棄損罪暴力団対策法職務強要罪が挙げられるが、内容によっては民事不介入を理由に刑事事件での立件が困難な場合もある[1]

2024年2月20日、東京都の小池百合子知事は都議会の施政方針演説で、カスタマーハラスメント防止に関する条例策定の検討を表明した。実現すれば、全国初となる[3]
研究

学術観点からカスタマーハラスメントを捉えた書籍として桐生正幸著『カスハラの犯罪心理学』がある[4]東洋大学社会学部教授である桐生は、UAゼンセンのデータや科学研究費による調査で加害者と被害者との関係性を分析しており、「接客対応者におけるカスタマーハラスメント被害経験の分析」などいくつかのカスタマーハラスメントに関する学術論文を執筆している[5]
分類

カスタマーハラスメントは、次の8パターンに分類されることもある[6]

長期間拘束型 - 客が従業員に対し、長時間クレーム対応を強いる

リピート型 - 電話などで同じ内容や無意味な質問を繰り返し問い合わせをする

暴言型 - 怒鳴り声をあげたり、馬鹿阿呆)、死ねなどの侮辱的発言をしたりする

暴力型 - 蹴る、殴る、胸倉を掴むなどの身体への接触だけでなく、椅子や棒を振り回す危険行為を含む

威嚇脅迫型 - 従業員に危害を加えることを予告して怖がらせる

権威型 - やたらと威張って要求を通そうとする

店舗外拘束型 - 客の自宅や特定の喫茶店などに呼びつけてクレームを言ったり、謝罪を要求する

ネット中傷型 - 通話を無断で録音ないし撮影し、写真や音声、動画をSNSなどにアップロードし、従業員の名誉やプライバシーを侵害する

事例

商品としての機能に問題ない程度の不具合をことさらに指摘する
[7]

介護施設において、介護者に暴言を吐いたり、暴力を振るったりする[8]

タクシーにおいて、運転中の様子をスマートフォンで撮影し、中傷の言葉をそえてインターネット上で公開する[9]

対応
行政

2019年6月、国際労働機関は総会で、カスタマーハラスメントを含む暴力やハラスメントの廃絶を目指すハラスメント禁止条約を採択した。日本も賛成したが、批准は見送っている。

2022年2月25日、厚生労働省はカスハラ防止対策の一環として「カスタマーハラスメント対策企業マニュアル」やそのリーフレット・ポスターを作成した[10]
企業

2022年頃から、カスハラへの対応を取る企業も増えてきている[11]。例えば、任天堂は2022年10月、製品の修理サービス・保証規定にカスハラの項目を追加し、交換や修理を断る可能性を明記した。この他にも、島屋リーガロイヤルホテルホテルグランヴィア大阪JR西日本など、カスハラが発生しやすい業種の企業はマニュアル作成などの対応を取り始めている。

また、一部の精神科病院では、悪質な迷惑行為、暴力行為、不当要求を行う患者の診療契約の解除や強制退院を行い、警察に通報のうえ、以後の診療や入院を拒否するところもある。

2023年には秋田県第一観光バスが、地方紙北羽新報』に「その苦情、行き過ぎじゃありませんか?(カスタマーハラスメントについて)」と題した意見広告を掲載し、これがTwitterで取り上げられたことから大きな話題を呼び、全国紙などでも広く報道された[12][13][14]。詳細は「第一観光バス (秋田県)#カスタマーハラスメントへの意見広告」を参照
統計
加害

2020年のUAゼンセンの調査によると、カスハラの加害者は以下の通りであり、中高年男性の割合が高かった[15]

男性が74.8%

50代が30.8%、60代が28.0%、70代以上が11.5%

被害

2020年の厚生労働省の調査によると、過去3年間にカスハラの相談を受けた企業の割合は19.5%だった[1]。また、カスハラを経験したと回答した労働者の割合は15.0%だった。

この他の調査で判明したカスハラの経験率は、2021年の国公労連の調査によると中央官庁職員で60.3%[16]、2020年のUAゼンセンの調査によるとサービス業従業者で56.7%[15]などが判明している。


次ページ
記事の検索
おまかせリスト
▼オプションを表示
ブックマーク登録
mixiチェック!
Twitterに投稿
オプション/リンク一覧
話題のニュース
列車運行情報
暇つぶしWikipedia

Size:47 KB
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
担当:undef