カスタマーコミュニケーションマネジメント(CCM:Customer Communications Management)とは、組織から顧客(公共機関では市民)に対するコミュニケーション、すなわち主としてアウトバウンドで提供する情報や資料について、その作成や送付/配信を統合的に管理、実行するプロセスであり、またこれを改善するイニシアティブである。カスタマーコミュニケーション管理とされる場合もある。 組織から顧客に対するさまざまな通知や連絡といったコミュニケーションは、顧客が組織を体験する機会であり、組織にとって重要な顧客との接点である。例えば保険といった業種では、顧客が組織を意識し、そのサービスを体験する機会そのものとなる。こうしたコミュニケーションの製作、生成、配信の実行と管理を個別に行うのが狭義のCCMである。部門や商品、局面毎に運用されている、こうした個別のコミュニケーションを組織全体で横断的に管理し、品質と機能を改善することによって、顧客の体験を向上しながら、同時に組織にとっての提供コストを削減することが可能となる。これを目指すものが広義のCCMである。CRMやCEM
概要
実現に必要なITソリューションセットを定義する際の用語して、ガートナー[注釈 1]、Forrester Research
[注釈 2]、 ⇒InfoTrends、 ⇒Madison Advisorsといった調査会社によって使用された。カスタマーコミュニケーションは、Bank Statement - Paper Statements
で示されているように、金融機関にコンピューターが導入され、顧客にトランザクション情報を伝えることから始まった。初期にはメインフレーム上のアプリケーションプログラムと、メインフレームに直結されたプリンターによって実現されていたが、デジタル印刷技術の進展とともに、データ印字にとどまらない印刷物のパーソナライゼーションが可能となった。こうした高速プリンター/デジタル印刷機の機能を活用し、製作/生成(Production)ワークフローを自動化(支援)するドキュメント生成(Document Composition)ソフトウェア[注釈 3]が登場[注釈 4]した。適用業務であるカスタマーコミュニケーションを通して、こうしたソフトウェアの価値を説明したことが、Customer Communications Managementのコンセプトにつながった[注釈 5]ものと推定される。近年は、複数のメディアやデバイスを一度にカバーする、マルチチャネルが注目されている。 CCMには次のような機能/技術要素が求められる また広義のCCM実現のために、次のような機能、プロセスや組織が求められる
構成要素
入力 - 顧客やトランザクション、セグメンテーションなどの各種データ[注釈 6]に加えて、文章やグラフィックスなどのコンテンツ[注釈 7]を、実行時に多様なソース[注釈 8]から取得する
デザイン - コンテンツを分かりやすく表現する静的/動的なレイアウト[注釈 9]、およびこれを作成するためのGUI機能。ビジネス担当者による文言などの更新を含む
ビジネスロジックとパーソナライゼーション - 顧客の契約内容や購入商品、あるいは属性やセグメンテーションなどの情報に基づいて、表示されるコンテンツ(データはその一部)をダイナミックに構成する[注釈 10]
出力生成 - 高速[注釈 11]に、印刷または電子配信向けの多様なフォーマット[注釈 12]で生成する。郵送等のための後処理[注釈 13]も含まれる
配信 - 印刷と郵送[注釈 14]の他、Eメール[注釈 15]、Web、モバイル、ビデオなど、顧客が望むメディアやデバイスで受け取ることを可能とする。また結果の記録[注釈 16]やフェイルオーバー[注釈 17]も含まれる
インテグレーション - 種々のプロセスやシステムに共有サービスとして組込むメカニズム[注釈 18]
分析・レポーティング[注釈 19]
デザイン標準 - 組織のブランディングに準拠した一貫性と、顧客にとっての分かりやすさ[注釈 20]を担保する
COE: Center of Excellence