カジノ
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「カジノ」のその他の用法については「カジノ (曖昧さ回避)」をご覧ください。
カジノでスロットマシンに興じる人々

カジノ(: casino)は、賭博を行う施設の一つ。ルーレットブラックジャックなどのゲームで金銭を賭ける場所。日本で言う賭場[注 1]

カジノを含む統合型リゾートの施設は賭博を行う施設以外(ホテルやレストラン、ステージ、遊園地など)も一般的にカジノと称されるが、その施設内でカジノと言う場合は本項の賭博を行う建物やフロアなどを示す。
名称・発音

語源は家を指すイタリア語の「casa」[1]に縮小の語尾「-ino」が付いたものである。言語により「カズィノ」あるいは「カスィノ」と発音される。語源のイタリア語では基本「カズィノ」、フランス語ポルトガル語なども「カズィノ」。スペイン語英語では通常「カスィノ」と発音される。ドイツ語のように地域によってsの発音が異なる場合など、どちらもあるいはその中間もあり得る(同一表記を採用していても表記された文字と発音の関係が言語によって異なるためで、表記優先の例。日本語「カジノ(IPA: /kad?ino/)」は音を表記できていない)。
歴史1800年代を舞台としたカジノ内の絵カジノは、客を誘い込むような派手な建物が多い「賭博」も参照

カジノはヨーロッパ起源とされる。ルイ15世の時代にフランスにおいて、カジノの元となる上流階級向けや庶民向けの賭博場が広まった。フランス革命によって王政が倒れると、賭博に対する制限が無くなり更に流行したが、総裁政府の時代には賭博場を公認としてコントロールしつつ、課税するようになった。ナポレオンは賭博規制を行った。第三共和政の1907年に合法化された。

イタリアでは1638年に世界最古と言われるカジノ・ディ・ヴェネツィアが作られた[2]

ドイツでは保養地のバーデン=バーデンに最古のカジノができた。後発のヴィースバーデンのカジノは1771年設立という記録が残っている。イギリスには継続営業中のカジノとしては世界最古の「クロックフォード」が現存する。モナコでも19世紀にカジノが広まった[3]

アメリカでは1931年にネバダ州で合法化され、1940年代にはラスベガスがカジノの町として急速に発展した。1960年後半から1970年代になるとスペインオランダオーストラリア南アフリカ共和国ケニアセネガル、アメリカのニュージャージー州などで合法化され新しいカジノが作られた[4]

1960年代以降、ラスベガスでは装飾や建築物を1つのテーマに合わせたテーマカジノが建設され、家族連れや地元客をターゲットにした新しいカジノが発展した。ショーやリゾート施設といったエンターテイメントとの融合施設が主流となっている。カジノゲーム自体では他社と差別化が図れないのがカジノビジネスの欠点であった。しかし、エンターテイメントショーで自社に顧客を集め、たとえエンターテイメントショー自体が赤字でも、ギャンブルから収益を得るビジネスモデルが一般化している。

その後、カジノは120か国以上で合法化されており、国によって制限内容は大きく異なる。世界で2000軒以上のカジノが存在し、観光資源の1つとして競争が行われている[5]。1950年代のラスベガスに代表されるように非合法組織の関与は大きな問題とされ、それに対抗する規制強化が行われてきた。1990年代後半にはマカオにおいて、カジノを巡る抗争が激化した[6]が、現在は沈静化している[7]
各国の状況
ヨーロッパ

ヨーロッパでは格式の高いカジノがあり、ネクタイ着用など服装規定が定められている場合が多い。イギリスには126軒のカジノがあり、主要都市に分散している。ドイツバーデン=バーデンなどのカジノはその歴史から名所の1つになっている。それ以外に第二次世界大戦後に新設されたカジノも存在する。フランスには小さいものを含めれば160軒以上のカジノが存在し、カンヌニースの高級ホテルの近くには一流のカジノがある[3]

その他、モナコモンテカルロには、1863年開業のグラン・カジノを始めとして、4つのカジノが集中している。イタリアヴェネツィアには大衆向けカジノの他に、大運河沿いにヨーロッパで最も格式が高いカジノがある。ポルトガルは8つのカジノがあり、かつては上流階級が集う社交場だったが、カジノを禁止していたスペインが1977年に合法化すると客足を奪われた。スペインには25軒のカジノがあるが、大都市では禁止されている。

オランダにあるアムステルダム・スキポール空港のカジノは、世界初の空港カジノとして注目された。ベルギーオーストリアマルタスウェーデンにも小規模なカジノが存在する。デンマークは1991年、スイスは2000年から合法になった[3]

マルタでは2017年に女性記者が殺害された事件で関与したとして複数のカジノを経営していた男が逮捕され2019年欧州評議会は、反汚職の取り組みが不十分で規制強化が必要と指摘した[8]
アメリカ
アメリカ合衆国

カジノの扱いは州によって異なり、10の州では合法とされているが、ハワイ州ユタ州ではカジノに限らずすべてのギャンブルが禁止されている[9][10]

ラスベガスは、1931年ネバダ州がギャンブルを合法化してから、カジノの町として急速に発展した。当初は銀行融資を避けたため、複数の犯罪組織が資金提供や乗っ取りを行って経営に関与し、組織間の抗争まで行われた。

1959年にカジノのライセンスを管理するゲーミング・コミッション(Gaming Commission)とゲーミング管理委員会(GCB・Gaming Controle Board)が設立され、「犯罪に関わりのある人物の排除」や「マネーロンダリングに対する厳しい取締り」を行うことで、犯罪組織の影響を払拭した[11][12]。2000年の統計では、ネバダ州のカジノ全体の収益は96億ドル、国内で1位である[9]

ニュージャージー州では、1976年に保養地のアトランティックシティ限定でカジノを合法化した。ラスベガス以上に厳しい規制があることから、カジノは12軒(2000年時点)と小規模だが、ニューヨークなどの大都市が近いため、年間3800万人が訪れ、1軒あたりの収益率は高い[9][13]

1980年代前半まで、アメリカ国内でカジノが合法化されていたのはネバダ州とニュージャージー州だけだったが、1980年代後半から他の州でも合法化され、ミシシッピ州のチュニカ(Tunica)のように経済発展する地域が生まれた。


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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