この項目では、植物のカシワについて説明しています。その他のカシワについては「柏」、「かしわ」をご覧ください。
カシワ
カシワの葉と樹皮(東京都・2006年5月)
分類
カシワ(柏[5]・槲[6]、学名: Quercus dentata)は、ブナ科コナラ属の落葉高木。日本・朝鮮半島・中国の東アジア地域に分布しており、痩せ地でも生育し、海岸で群落になっているところもある。葉は、かつて料理を盛るために使われ、端午の節句の柏餅を包む葉としても知られる。冬でも葉が落葉せずに枝に残ることから、日本では神が宿る縁起木とされている。 落葉広葉樹の高木で、樹高は10 - 15メートル (m) ほどになる[6][5]。樹皮は黒褐色で、不規則に縦方向の裂け目が入り、深い割れ目もできる[6][7]。一年枝は太くて稜があり、褐色で毛があり、皮目が目立つ[7]。 葉は短い葉柄がついて枝先に集まって互生し[5]、長さ10 - 30センチメートル (cm) の倒卵形から広卵形で大きく、葉縁に沿って波状の大きな鋸歯がある[8][6]。新葉には軟らかい毛が密生する[5]。秋になると紅葉し、黄褐色や赤褐色に色づく[9]。派手さはないが、条件がよいと鮮やかな橙色となり、時に赤色も混じる[10]。紅葉が終わった後、枯れた葉は褐色に変わり、その多くは春まで枝についたまま新芽が出るまで落葉せずに残っている[6][5][11]。
形態
果期は10 - 11月で[5]、ドングリはクヌギに似た卵球形で、長さ15 - 20ミリメートル (mm) [6]。下部は殻斗に包まれ、先が尖って反り返る総苞片が密生する[6]。
冬芽は枝に互生してらせん状につき、卵形で褐色をした多数の芽鱗に包まれており、毛が生えている[7]。枝先には冬芽が複数つく[7]。葉痕は突き出した半円形や三角形で、維管束痕が多数見られる[7]。
ミズナラとは近縁で、形態や伐採しても萌芽する性質がよく似ていて、さらに中間的雑種も少なからず見られるが、葉の鋸歯が丸みを帯びた波状である点や、果実の殻斗に毛状の鱗片が密生している点でミズナラと区別される[13]。 他のブナ科広葉樹と同じく、菌類と樹木の根が共生して菌根を形成している。樹木にとっては菌根を形成することによって菌類が作り出す有機酸や抗生物質による栄養分の吸収促進や病原微生物の駆除等の利点があり、菌類にとっては樹木の光合成で合成された産物の一部を分けてもらうことができるという相利共生の関係があると考えられている。菌類の子実体は人間がキノコとして認識できる大きさに育つものが多く、中には食用にできるものもある。土壌中には菌根から菌糸を通して、同種他個体や他種植物に繋がる広大なネットワークが存在すると考えられている[14][15][16][17][18][19]。 日本産樹木の中でも火災に特に強いことが生態的な特徴の一つであり、山火事の頻度が高くなるとブナ科の中でもカシワが優勢になることで知られる。
カシワの画像
新芽
若葉
雄花
雌花
カシワの実
生態