カゲロウ
[Wikipedia|▼Menu]
.mw-parser-output .hatnote{margin:0.5em 0;padding:3px 2em;background-color:transparent;border-bottom:1px solid #a2a9b1;font-size:90%}

この項目では、昆虫について説明しています。その他の用法については「かげろう」をご覧ください。

カゲロウ
欧州産のモンカゲロウ科の一種
Ephemera danica
分類

:動物界 Animalia
:節足動物門 Arthropoda
:昆虫綱 Insecta
亜綱:有翅亜綱 Pterygota
下綱:旧翅下綱 Palaeoptera
上目:Ephemeropteroidea
:カゲロウ目(蜉蝣目)Ephemeroptera

学名
Ephemeropteroidea
Rohdendorf, 1968
Ephemeroptera
Hyatt & Arms, 1891
亜目


ヒラタカゲロウ亜目 Schistonota

マダラカゲロウ亜目 Pannota

カゲロウ(蜉蝣)とは、節足動物門昆虫綱・カゲロウ目(蜉蝣目、学名:Ephemeroptera)に属する昆虫の総称。昆虫の中で最初にを獲得したグループの一つであると考えられている。幼虫はすべて水生不完全変態であるが、幼虫→亜成虫→成虫という半変態と呼ばれる特殊な変態をし(後述)、成虫は軟弱で長い尾をもち、寿命が短い。
特徴
成虫
頭部

成虫は細長い体で、弱々しい。

頭には3個の単眼と、よく発達した1対の複眼が頭のかなりの部分を占める。特にオスの複眼は大きく、上下2段に分かれた複眼のうち、上の複眼が巨大な円柱型になるものもある。これはその形から「ターバン眼」と呼ばれ、カゲロウ目に特有のものである。

触角はごく短い。

口の構造は退化的で、通常は摂食機能はない。
胸部

胸部は前胸・中胸・後胸の3節からなる。

普通は中胸と後胸にはそれぞれ1対ずつ、計2対のがあり、前翅が大きく後翅が小さいのが普通だが、後翅が鱗片状に縮小しているものや、フタバカゲロウ(コカゲロウ科)などのように退化消失して前翅1対のみとなっている種もある。止まるときは、ほとんどの種が翅を背中合わせに垂直に立てる。

脚は華奢で細長く、特に前脚は長く発達しており、止まっている時に前脚を前方の空中に突き出すようにするものがいる。
腹部

腹部は細長く10節からなり、後方へ向かって細まる。

オスの腹面第9節には、交尾の際にメスを挟む把持子(はじし)と呼ばれる生殖肢があり、メスの腹面第8節には生殖口があるが、産卵管などは持たない。腹部後端には2本または3本の繊細な長い尾(尾毛)を持っている。オスは川面などの上空で群飛し、スーッと上昇したあとフワフワと下降するような飛翔を繰り返し、この集団中にメスが来ると、長い前脚でメスを捉え、そのまま群から離れて交尾する。成虫は餌を取らず、水中に産卵すると、ごく短い成虫期間を終える。
幼虫
生態

幼虫はすべて水中で生活し、多くはの比較的きれいな流域に生息するが、湖沼や浅い水田など止水域に棲むものもある。時に汽水域でも見られることがあるが、海生種は知られていない。微生息環境としては、早瀬の石の表面、淵の枯葉などの堆積物の間隙、止水の泥底上などのほか、砂や泥に潜って生活するものなどがある。

なお本目の幼虫を特に若虫、あるいはニンフと呼ぶことがある。これは完全変態の昆虫の幼虫を「larva」、不完全変態の昆虫の幼虫を「nymph」として区別することによる。
体の構造チラカゲロウ科の幼虫クロタニガワカゲロウの幼虫。急流にすむ扁平な種。

幼虫の体の基本構造は、翅がないことと水中生活のためのをもつこと以外はほぼ成虫と同じで、3個の単眼と1対の複眼があり、脚も3対のみで腹脚などはない。しかし体型は成虫に比べて多様性が高く、生息環境によってさまざまな姿をしている。これは成虫が生殖のためだけの飛翔態であるのに対し、幼虫は種ごとに異なった微環境で長期間生活するため、それぞれの生活型に適応した形態を獲得した結果と言える。

たとえば、よく泳ぎ回るチラカゲロウ科などは紡錘型の体をもち、渓流や早瀬などの石や岩盤の表面に生息するヒラタカゲロウ科は、体が著しく扁平で水の抵抗を軽減するようになっている。流れのゆるい砂底や、止水に生息するものは、体は円筒形で、足はやや細く、体を少し持ち上げた形をしており、水草の間や、底に止まっている。

マダラカゲロウ科のトゲマダラカゲロウ属 Drunella は、他の水生昆虫を捕食するための前脚が強大になっている。他にもそれぞれの生活型によって体型だけでなく、脚や口の構造なども多様に進化している。

腹部の各節はその両端に色々な形の鰓をそなえる。鰓は基本的には呼吸器官で、腹部の第1節から第7節まで1対ずつ具わっているのが原型であるが、2対あるものや数が減っているものもある。鰓の形は種類ごとに変化しており、その運動を遊泳に利用するものや、吸盤のような形に変化した鰓で岩に張り付くものなどもいる。食性も、石の表面の藻類などを食べるものや、植物遺骸やデトリタスなどを食べるもの、捕食性のものなど様々である。
脱皮・羽化

幼虫時代は一般に脱皮回数が多く、通常でも10回以上、時には40回におよぶものもあると言われる。幼虫の期間は半年から1年程度で、終齢近くのものでは翅芽が発達する。

不完全変態であり、にはならない。羽化の時期は春から冬まで種や地域によって異なる。初夏の頃が最も多く、時間も夕方頃が多い。羽化場所は水中、水面、水際など種によって異なっている。羽化すると亜成虫 (subimago) と呼ばれる、成虫とほぼ同形であるが毛が多く、脚や尾がやや太短く、翅が不透明であるなどの違いが見られ、性的には未成熟である。翅が伸びた後に脱皮する昆虫は他にいない。飛び立った後別の場所で改めて脱皮を行い、そこで初めて真の成虫になる。成虫がよく集まる明かりの周辺を探すと、脱皮殻がくっついているものを見ることができる。
人間への利害

人との直接的な利害関係が薄い昆虫で、人に噛み付くこともなく、毒を有することもない。したがって害虫とされるものは非常に少ない。ただし、オオシロカゲロウなどは時に大発生し、大量の雪が舞ったようになって視界を遮ったり、路上に積もって自動車をスリップさせたりして交通障害を引き起こすことがある[1][2]。また東南アジアに分布するキクイカゲロウ Languidipes corporaali (シロイロカゲロウ科)は、水中の木材や竹材に穿孔してフナクイムシに良く似た巣穴を作る。このため、木造船や水上家屋、木製の導水路などに害を与える。
フライ・フィッシングの餌への利用.mw-parser-output .ambox{border:1px solid #a2a9b1;border-left:10px solid #36c;background-color:#fbfbfb;box-sizing:border-box}.mw-parser-output .ambox+link+.ambox,.mw-parser-output .ambox+link+style+.ambox,.mw-parser-output .ambox+link+link+.ambox,.mw-parser-output .ambox+.mw-empty-elt+link+.ambox,.mw-parser-output .ambox+.mw-empty-elt+link+style+.ambox,.mw-parser-output .ambox+.mw-empty-elt+link+link+.ambox{margin-top:-1px}html body.mediawiki .mw-parser-output .ambox.mbox-small-left{margin:4px 1em 4px 0;overflow:hidden;width:238px;border-collapse:collapse;font-size:88%;line-height:1.25em}.mw-parser-output .ambox-speedy{border-left:10px solid #b32424;background-color:#fee7e6}.mw-parser-output .ambox-delete{border-left:10px solid #b32424}.mw-parser-output .ambox-content{border-left:10px solid #f28500}.mw-parser-output .ambox-style{border-left:10px solid #fc3}.mw-parser-output .ambox-move{border-left:10px solid #9932cc}.mw-parser-output .ambox-protection{border-left:10px solid #a2a9b1}.mw-parser-output .ambox .mbox-text{border:none;padding:0.25em 0.5em;width:100%;font-size:90%}.mw-parser-output .ambox .mbox-image{border:none;padding:2px 0 2px 0.5em;text-align:center}.mw-parser-output .ambox .mbox-imageright{border:none;padding:2px 0.5em 2px 0;text-align:center}.mw-parser-output .ambox .mbox-empty-cell{border:none;padding:0;width:1px}.mw-parser-output .ambox .mbox-image-div{width:52px}html.client-js body.skin-minerva .mw-parser-output .mbox-text-span{margin-left:23px!important}@media(min-width:720px){.mw-parser-output .ambox{margin:0 10%}}

この記事は検証可能参考文献や出典が全く示されていないか、不十分です。出典を追加して記事の信頼性向上にご協力ください。(このテンプレートの使い方
出典検索?: "カゲロウ" ? ニュース ・ 書籍 ・ スカラー ・ CiNii ・ J-STAGE ・ NDL ・ dlib.jp ・ ジャパンサーチ ・ TWL(2023年3月)

この記事には独自研究が含まれているおそれがあります。問題箇所を検証出典を追加して、記事の改善にご協力ください。議論はノートを参照してください。(2023年3月)

むしろ、彼らと人間がかかわるのは、彼らが水環境において、魚類の良質な餌になることによる[要出典]。渓流では、カゲロウの幼虫は魚類の餌として重要な位置を占め、羽化した成虫も、水面で盛んに捕食される。したがって、渓流釣りの餌として、どちらもよく利用されてきた[要出典]。

フライ・フィッシング疑似餌毛鉤の模型としてもよく利用される。カゲロウの生育に適した英国の川でこの釣りが発達したことから、一般的な毛鉤の多くは、カゲロウの成虫・亜成虫を模型としており、水生昆虫の羽化時期のチャート表や現場の状況に合わせ、種ごと、成長段階ごとの疑似餌を使うことがある。フライフィッシングをする日本人らは英語由来の独特の呼称を用いる者もおり、カゲロウに関しても、ハッチ(羽化)、ニンフ(幼虫)、ダン(亜成虫)、スピナー(成虫)などと呼ぶほか、羽化途上の幼虫をイマージャー、羽化したてで翅が伸びきらず捩れたものをツイストウィングなどと呼んで細かく区別し、それらに模してフライを作成・使用することもある[3][要出典]。


次ページ
記事の検索
おまかせリスト
▼オプションを表示
ブックマーク登録
mixiチェック!
Twitterに投稿
オプション/リンク一覧
話題のニュース
列車運行情報
暇つぶしWikipedia

Size:33 KB
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
担当:undef