「カカオ」のその他の用法については「カカオ (曖昧さ回避)」をご覧ください。
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カカオ
カカオの実
分類
カカオ(加加阿・柯柯阿[2]、西: cacao、学名: Theobroma cacao)は、アオイ科(クロンキスト体系や新エングラー体系ではアオギリ科)の常緑樹である。カカオノキ、ココアノキとも呼ばれる。学名の Theobroma はギリシャ語で「神(theos)の食べ物(broma)」を意味する[3]。チョコレートやココアの原料として栽培されている。
リンネの『植物の種』(1753年)で記載された種の一つである[4]。 樹高は4.5 - 10メートル程度。本種の生育には、規則的な降雨と排水のよい土壌、湿潤な気候が必要である。標高約300メートル程度の丘陵地に自生する。中央アメリカから南アメリカの熱帯地域を原産とする。 樹齢4年程度で開花し、直径3センチメートル程度の白い幹生花(品種によって赤色から黄色味を帯びる)を房状に着ける。結実率は1%未満。花期は原産地では周年、栽培地では気温による。日本では沖縄県[5]や小笠原諸島[6]で栽培されており、5月以降に開花することが多い。 果実は約6か月で熟し、長さ15 - 30センチメートル、直径8 - 10センチメートルで幹から直接ぶら下がる幹生果で、カカオポッドと呼ばれる。形は卵型が多いが、品種によって長楕円形、偏卵型、三角形などで、外皮の色も赤色、黄色、緑色など多様である。中に20から60個ほどの種子を持ち、これがカカオ豆 (cacao beans) となる。種子は40 - 50%の脂肪分を含む。果肉はパルプと呼ばれる。 収穫期は産地によって異なるが、概ね年2回で乾期と雨期に行われ、収穫された果実は果皮を除いて一週間ほど発酵させ、取り出されたカカオ豆は、ココアやチョコレートの原料とされる。 現在栽培されているカカオの品種は、3系統が知られている。 原産地であるメソアメリカでは紀元前1900年頃から利用され、オルメカ文明の時代から栽培食物とされていた事が、グアテマラのリオ・アスール遺跡など、マヤ文明、アステカ遺跡の土器、壁画、石碑から判っている。
概要
品種花果実の断面。5個ずつ並んだ種子(カカオ豆)が見える
フォラステロ種(FORASTERO)
西アフリカと東南アジアで多く生産され、主流となっている。南米のアマゾン川流域が原産とされる[7]。成長が早く耐病性に優れるなど栽培しやすい。果実は黄色。その表面はなめらか[8]。ポリフェノール含有量が多く、豆の内部は紫色で、苦味が強いがミルクチョコレートに向く[9]。ガーナ、コートジボワール、ナイジェリア、ブラジルなどの品種がある。フォラステロとは「外国産の」[10]、「よそ者」[11]の意で、トリニダード島のクリオロ種と思われるカカオの潰滅後に同地にこの種が導入され、その際に初めてこう呼ばれた[10]。
クリオロ種(CRIOLLO)
中米原産とされる[7]。ベネズエラ、メキシコなどで、僅かに生産されている。独特の香りから「フレーバービーンズ」とされる。メキシコからベネズエラにかけて分布し、古代から利用されてきた。病害虫に弱く大規模栽培に不向きなことから、19世紀半ばにほとんど壊滅した。果実は赤や黄色。その表面にはイボや深い溝がある[12]。3種の内でポリフェノール含有量が最小であり、苦味や渋味が少なく、豆の内部は白い(または白っぽい)[13]。クリオロとは植民地で生まれたスペイン人のことをさし、在来種であるとのことでこう名付けられた[11]。
トリニタリオ種(TRINITARIO)
ベネズエラ、トリニダード・トバゴなど中南米で栽培されている。トリニダード島のカカオが病害またはハリケーンで全滅した後にフォラステロ種が同地に導入され、それと生き残りのクリオロ種との交雑によりできたとされる[14]。栽培が容易で品質も優れる。果実は大きめ[12]。
歴史カカオ(マヤ文字)