カエスーラ
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現代西洋音楽の表記法のカエスーラ.mw-parser-output .side-box{margin:4px 0;box-sizing:border-box;border:1px solid #aaa;font-size:88%;line-height:1.25em;background-color:#f9f9f9;display:flow-root}.mw-parser-output .side-box-abovebelow,.mw-parser-output .side-box-text{padding:0.25em 0.9em}.mw-parser-output .side-box-image{padding:2px 0 2px 0.9em;text-align:center}.mw-parser-output .side-box-imageright{padding:2px 0.9em 2px 0;text-align:center}@media(min-width:500px){.mw-parser-output .side-box-flex{display:flex;align-items:center}.mw-parser-output .side-box-text{flex:1}}@media(min-width:720px){.mw-parser-output .side-box{width:238px}.mw-parser-output .side-box-right{clear:right;float:right;margin-left:1em}.mw-parser-output .side-box-left{margin-right:1em}}ポータル クラシック音楽

韻律において、カエスーラ(中間休止、休止、句切れ、caesura or cesura, 複数形:caesurae)は、詩行の中間にある、耳で聞き取れる休止のこと。ほとんどの場合、カエスーラは朗読の中で休止を引き起こす約物(コンマ「,」、セミコロン「;」、句点「.」、ダッシュ「-」など)によって示される。しかし、カエスーラを起こすのに必ずしも句読点は必要ではない。

カエスーラには2種類ある。男性休止(masculine caesura)と女性休止(feminine caesura)である。近代語の詩において男性休止は強いアクセント(強勢のある)の音節の後ろにあるカエスーラで、一方、女性休止は弱いアクセント(強勢のない)音節の後ろにあるカエスーラである。

それとは別に、行のどの位置にカエスーラがあるかによる分け方もある。Initial caesuraは行の始まり近くにあるカエスーラで、medial caesuraは行の中央にあるカエスーラ、terminal caesuraは行の終わり近くのカエスーラである。Initial caesuraとterminal caesuraは、medial caesuraを好むロマンス(en:Romance (genre))や新古典主義では稀にしか使われなかった。

韻律分析において、「||(double pipe, train tracks)」は行の中のカエスーラの位置を示す。

カエスーラは古代ギリシアラテン語の古典詩の、とくに英雄詩形、ダクテュロスヘクサメトロス(長短短六歩格)で顕著に用いられた。近代語の詩の場合とは違い、古典語の詩では男性休止は一行の初めから3番目の韻脚の中間にあるカエスーラを指し、女性休止は4番目の韻脚の中間のカエスーラを意味する。

音楽記譜法での、カエスーラは音楽的時間(musical time)の完全な休止(停止、中断)を意味する。

(「||」は、オリジナルの詩には含まれない)
ホメーロス

カエスーラは古代ギリシアの詩で広く使われた。μ?νιν ?ειδε θε? |。Πηλη??δεω ?χιλ?ο? ο?λομ?νηνM?nin aeide the? |。P?l?iade? Achil?os ?lomen?n-- ホメーロスイーリアス』の冒頭。大意「怒りを歌え、女神よ |。ペーレウスの子アキレウスの(怒りを)」。

この行では、「θε?」の後に男性休止があり、2つの論理上の部分に行を分ける自然な休止である。もっとも、後世の作家と違って、ホメーロス時代の詩行は女性休止を使うのが一般的だった。
ラテン語詩

カエスーラはラテン語詩でも広く使われた。Arma virumque cano, |。Trojae qui primus ab oris-- ウェルギリウスアエネイス』の冒頭。大意「私は武器と男について歌う、 |。男は最初トロイアの岸辺から……」。

この行は中間に「,」を置いて、はっきりとカエスーラを示している。ダクテュロス・ヘクサメトロスでは、言葉の終わりが韻脚の最初か最後と一致しない場合でもカエスーラが生じる。しかし、現代の韻律学では、終わりが詩行の中の耳で聞き取れる休止と一致する時のみ、カエスーラと呼ぶ。古典詩のエレゲイオン(Elegiac couplet)形式はダクテュロス・ヘクサメトロス行の後にダクテュロス・ペンタメトロスがつくが(「エレジー#古典詩」参照)、ペンタメトロスはしばしばよりはっきりとカエスーラを表す。Cynthia prima fuit; |。Cynthia finis erit.-- セクストゥス・プロペルティウス『Cynthia was the first; Cynthia will be the last』。大意「キュンティアは最初; |。キュンティアは最後」。
古英語

カエスーラは、古典詩以上に、古英語詩で重要なものだった。古典詩では、カエスーラは効果を狙って、どの行でも好きなように抑えることができた。最古のゲルマン語派のほとんどが共有する頭韻詩(en:Alliterative verse)では、カエスーラは詩形自体の常に存在する必須の部分であった。Hwat! we Gar-Dena |。on geardagum-- 『ベーオウルフ』の冒頭。大意「見よ! 我らが槍のデーン人 |。昔……」。
中英語I loked on my left half |。as te lady me taughteAnd was war of a womman |。worteli ycloted.-- ウィリアム・ラングランド(en:William Langland)『農夫ピアズの夢』(en:Piers Plowman)。大意「左を向いた |。淑女が声をかけたので/高価な服を着た女性だ |。と私は認めた」。
その他の例

以降の詩形でもカエスーラは起こり得るが、それは普通任意である。バラッドと呼ばれる韻律や、賛美歌頌歌詩人(odist)の賛美歌調(普通律)では普通、弱強四歩格行の次に三歩格行が続くと考えられるが、それは4番目の韻脚のところにカエスーラを置いた七歩格と考えることもできる。

休止を、新しい行のはじまりというより、詩形の中のカエスーラと考えれば、どうして時々複数のカエスーラを詩形の中に見付けることができるのかを説明できる。From the hag and hungry goblin |。that into rags would rend ye,And the spirits that stand |。by the naked man |。in the Book of Moons, defend ye!-- リメリック詩『ベドレムのトム』(en:Tom o' Bedlam)。大意「魔女と腹を空かせたゴブリン |。あんたをずたずたに引き裂きたい、/そいつらと |。裸の男のそばに立つ |。月の本の中の霊から、あんたを守ってくれ!」

以降のより自由な詩形では、カエスーラは任意である。しかし、それは修辞的効果として使うことができる。To err is human; |。to forgive, divine.-- アレキサンダー・ポープ。大意「誤るのは人間; |。許すのは、神」。
関連項目

古英語詩(en:Old English poetry


サターン詩形(en:Saturnian (poetry))

休止

参考文献

[1] “caesura” Encyclopadia Britannica. 2007. Encyclopadia Britannica Online. 3 March 2007


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