アオイガイ
貝殻の一部が壊れた雌のアオイガイ
保全状況評価[1][2][3]
LEAST CONCERN
(IUCN Red List Ver.3.1 (2001))
分類
アオイガイ Argonauta argo (葵貝)は、軟体動物門の頭足綱に属するタコの仲間である。雌が卵を保育する舟形螺旋状の貝殻 (eggcase[6])を持つこと、および雄がその左第3腕を交接腕として切り離すことで知られる。別名はカイダコ(貝蛸)。
名称.mw-parser-output .tmulti .thumbinner{display:flex;flex-direction:column}.mw-parser-output .tmulti .trow{display:flex;flex-direction:row;clear:left;flex-wrap:wrap;width:100%;box-sizing:border-box}.mw-parser-output .tmulti .tsingle{margin:1px;float:left}.mw-parser-output .tmulti .theader{clear:both;font-weight:bold;text-align:center;align-self:center;background-color:transparent;width:100%}.mw-parser-output .tmulti .thumbcaption{background-color:transparent}.mw-parser-output .tmulti .text-align-left{text-align:left}.mw-parser-output .tmulti .text-align-right{text-align:right}.mw-parser-output .tmulti .text-align-center{text-align:center}@media all and (max-width:720px){.mw-parser-output .tmulti .thumbinner{width:100%!important;box-sizing:border-box;max-width:none!important;align-items:center}.mw-parser-output .tmulti .trow{justify-content:center}.mw-parser-output .tmulti .tsingle{float:none!important;max-width:100%!important;box-sizing:border-box;align-items:center}.mw-parser-output .tmulti .trow>.thumbcaption{text-align:center}}和名の由来となった、本種の貝殻を重ねて作った葵の葉模様。実際の葵の葉。
動物学者の佐々木望は1927年(昭和2年)の『日本動物図鑑』[7]以降、カイダコを本種の動物を表す和名とした[8]。アオイガイは雌の貝殻に付けられた名前であり、動物体の和名はカイダコの方が適しているとしたためである[8]。しかし、瀧巖 (1967)によれば、これを同属多種や全ての軟体動物に適用すると、貝殻と動物の2つの和名がそれぞれに必要になり、現実的でないためこの和名は採用しないとしている[8]。これ以降の瀧(1999)、池田 (2017)、奥谷 (1987; 2013; 2017)、肥後・後藤 (1993)や『広辞苑』では、見出しの名称(標準和名)としてアオイガイ[4][5][9][10][11][12][13]、別名をカイダコ[4][5][9][10][12][13]としている。
また、属するgenus Argonautaもアオイガイ属、岩川 (1919)[14]によるタコブネ属および瀧 (1935)によるカイダコ属と、揺れがある[12]。family Argonautidaeはアオイガイ科と表記されることが多い[9][12]が、奥谷 (1992; 2013; 2017)のようにカイダコ科と書かれることもある[4][5][15]。
「アオイガイ(葵貝)」の名は殻を2枚左右対称に合わせることで植物のアオイ(葵)の葉に似ることから[13]。
学名 Argonauta argoおよび英名 argonautはラテン語のArgonauta、更には古典ギリシア語の?ργονα?τη? (Argonaut?s)に由来し、イアソンを船長として金羊毛を求めてコルキスに向かったアルゴー船の船員を意味するアルゴナウタイに由来する[16]。また、英名 paper nautilusは雌が紙のように (paperlike) 薄い貝殻をもつことから[17]。
形態雌 (外套長63 mm)の上顎。北太平洋 (34°N 140°W)で獲れたミズウオ Alepisaurus feroxの胃から無傷で見つかったもの。
貝殻は雌のみが保育のためにつくり、雄は貝殻をもたない[4][10]。オウムガイの雌雄では雄の方が大きいのに対し、アオイガイは雄よりも雌の方が大きく[4][5]、5倍程度になる[18]。化石頭足類であるアンモナイト類もこれに合わせて殻の大きいマクロコンクを雌、殻の小さいミクロコンクを雄としている[18]。雄は15 mm程度[13]。雄の左第3腕は交接腕(ヘクトコチルス、hectocotylus)となり、先端部は鞭状に長く伸び、交接の際に切り離される[4][5]。
以下は主に雌に関する記述である。
体は比較的柔らかく[9][15]、筋肉質[4][5]。外套膜はドーム型で、後方は僅かに上向きに鋭く彎曲し、体はタコブネやチヂミタコブネよりも左右に偏圧されている[9][19][15][4]。