この項目では、昆虫について説明しています。愛称「カイコ」のサッカー選手については「アイルトン・グラシリアーノ・ドス・サントス」をご覧ください。
カイコ
成虫 幼虫
分類
カイコ(蚕、学名:Bombyx mori)はチョウ目(鱗翅目)カイコガ科に属するガの一種。和名はカイコガとされる場合もカイコとされる場合もある。カイコガと呼ばれる場合も、幼虫はカイコと呼ばれることが多い。幼虫はクワ(桑)の葉を食べて育ち、糸を分泌して繭をつくりその中で蛹に変態する。この糸を人間が繊維素材として利用したものが絹である。 カイコは絹の生産(養蚕)のためにクワコを家畜化した昆虫であり、野生動物としては生息しない。そのため家蚕(かさん)とも呼ばれる。また野生回帰能力を完全に失った唯一の家畜化動物として知られ、人間による管理なしでは生きることができない[1]。カイコを野外のクワにとまらせても、餌のクワの葉を探さないまま餓死したり、体色
家畜化された昆虫
他に家畜化されている昆虫としては、セイヨウミツバチ(養蜂)、コオロギ(食用)、ナミテントウ(天敵製剤)などがある。 20世紀の調査では、カイコを意味する方言(地方名)には主に次のような例があった[3]。 養蚕は少なくとも5000年の歴史を持つ[4]。中国の伝説によれば黄帝の后・西陵氏が、庭で繭を作る昆虫を見つけ、黄帝にねだって飼い始めたと言われる。 しかし5000年以上前の人間が、どのようにしてクワコを飼い慣らしてカイコを誕生させたかは、現在まで完全には解明されていない。そのため、カイコの祖先はクワコとは近縁だが別種の、現代人にとって未知の昆虫ではないかという風説[8]が流布している。しかし、ミトコンドリアDNAの情報[9][10][11][12][13]や全ゲノム情報[14][15]を元に系統樹を作成すると、カイコはクワコのクレード(分岐群)の一部に収まるため、この仮説は支持されない。 完全変態の昆虫である。 孵化したての1齢幼虫は、黒色で疎らな毛に覆われるため「毛蚕」(けご)と呼ばれ、また、アリのようであるため「蟻蚕」(ぎさん)とも呼ばれる。桑の葉を食べて成長し、十数時間程度の「眠」(みん、脱皮の準備期間にあたる活動停止期)を経て脱皮する。2齢以降の脱皮後も毛はあるが、体が大きくなる割に、毛はあまり育たないのでイモムシ様の虫となり、幼虫の体色や模様は品種によって様々であるが、通常は白く、頭部に眼状紋が入る。幼虫の白い体色が天敵に発見されやすいこともあって(逆に言えば、見失っても飼育者である人間の目には留まり易い)、幼虫は自然下では生育できない。また2齢幼虫になる頃に毛が目立たなくなるのを昔の養蚕家は「毛をふるいおとす」と考え、毛ぶるい 多くの品種の幼虫は、5齢で終齢を迎え、蛹(さなぎ)となる。蛹化が近づくと、体はクリーム色に近い半透明に変わる。カイコは繭を作るのに適した隙間を求めて歩き回るようになり、摂食した餌をすべて排泄する。やがて頭部の吐糸口から絹糸を出し、頭部を∞字型に動かしながら繭を作り、その中で蛹になる。繭の色や形は品種によって異なるが、白い楕円形が一般的である。絹糸は唾液腺の変化した絹糸腺
地方名
あみぶくろ - 奈良県十津川村
あとと - 福島県会津地方
いちとい - 滋賀県(「第一眠」をも意味する)
いとぅむし(糸虫) - 沖縄県首里方言
ぼぼさま(幼虫): 新潟県東頸城地方
うすま - 新潟県越後地方
おさなもの - 京都府、兵庫県丹波地方
おしなもんさま - 富山県
おしろさま、おしらさま(御白様) - 静岡県駿河地方
おしろさん(御白様) - 山梨県
おぼこ、おぼこさま - 山梨県南巨摩郡
きんこ - 陸奥国
くわご、くわこ(桑子) - 熊本県、大分県
けごじょ(毛蚕じょ) - 鹿児島県、宮崎県
こごじょ、こごじょさま - 富山県
こもぜ - 京都府与謝郡
こな、こなさま - 東京都八丈島、三宅島
しろさま(白様) - 山形県庄内地方
とどこ、とどっこ、とどっこさま - 秋田県、青森県、岩手県
ひめこ(姫子) - 神奈川県、千葉県、兵庫県播磨地方
まむし(真虫)、まむしぐゎー(真虫小) - 沖縄県、鹿児島県奄美大島
もつく - 群馬県勢多郡
起源
生育過程