オーロラ
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この項目では、大気の発光現象について説明しています。その他のオーロラについては「オーロラ (曖昧さ回避)」をご覧ください。
フィンランドロヴァニエミのオーロラアラスカのオーロラ国際宇宙ステーションから第28次長期滞在のクルーが撮ったオーロラの映像。撮影時刻はグリニッジ標準時で2011年9月7日17時38分03秒から17時49分15秒。場所はインド洋南部のフランス領南方・南極地域から南オーストラリア上空にかけて。

オーロラ(: aurora)は、天体極域近辺に見られる大気発光現象である。極光(きょっこう、: polar lights)[1]または観測される極域により、北極寄りなら北極光(ほっきょくこう、: northern lights)、南極寄りなら南極光(なんきょくこう、: southern lights)ともいう(後述#名称の節を参照)。以下本項では特に断らないかぎり、地球のオーロラについて述べる。

女神の名に由来するオーロラは古代から古文書伝承に残されており、日本でも観測されている。近代に入ってからは両極の探検家がその存在を広く知らしめた(#観測史参照)。オーロラの研究は電磁気学の発展とともに進歩した(#研究史参照)。発生原理は、太陽風プラズマが地球の磁力線に沿って高速で降下して地球の大気に含まれる酸素窒素原子を励起することによって発光すると考えられているが、その詳細にはいまだ不明な点が多い(#発生原理参照)。光(可視光)以外にも各種電磁波電流磁場、熱などが放出される。人が地球上から目視できるオーロラの色には、主に青や緑、赤が挙げられる(#放出されるものの節を参照)。(可聴音)を発しているかどうかには議論がある(#オーロラの音参照)。北極点南極点の近傍ではむしろ見られず、オーロラ帯という楕円上の地域で見られやすい。南極と北極で形や光が似通う性質があり、これを共役性という(#出現地域参照)。地球以外の惑星でも地磁気と大気があれば出現する(#地球以外の惑星におけるオーロラの節を参照)。さらに状況さえ再現すれば、人工的にオーロラを出すこともできる(#人工オーロラ参照)。
名称女神アウロラ

オーロラという名称はローマ神話の暁の女神アウロラ(Aurora)に由来する[2][3][4]。ただし、科学術語になった過程については定説がない[5]

オーロラという名称が使用され始めたのは17世紀頃からと考えられている。名付け親は一説によるとフランスピエール・ガッサンディ[2][6]エドモンド・ハレーが自らの論文の中でこの説を述べている[7]。もう一説は、イタリアガリレオ・ガリレイが名付けたという説である[2][3][8]。当時ガリレオは宗教裁判による命令で天体に関することを書けなかったため、弟子の名を使ってこのことを著している[4]

オーロラという名称が浸透する以前から、現象そのものは紀元前から様々な地で確認・記録されている。アリストテレスセネカはオーロラを天が裂けたところであると考えていた。特にアリストテレスは『気象論』で「天の割れ目(CHASMATIS)」と表現した[9][10]。また、日本では古くは「赤気」「紅気」などと表現されていた[11]。現代日本語では北極近辺のオーロラを北極光、南極近辺のオーロラを南極光と呼ぶこともある[1][12]

北アメリカスカンジナビアではオーロラのことをnorthern lights(北の光、アイスランド語: nordurljos、デンマーク語ノルウェー語: nordlys、スウェーデン語: norrsken)と呼ぶが、徐々にauroraも使うようになって来ている[4][13][14]。また北極光をnorthern lights、あるいはAurora Borealis(北のオーロラ)、南極光をsouthern lights(南の光)、 あるいはAurora Australis(南のオーロラ)と呼ぶ[4][1]オーストラリアではオーロラのことをnorthern lightsと呼ぶ[4]。ときにはAurora polaris(極光、デンマーク語:ノルウェー語: polarlys、スウェーデン語: polarsken)と呼ばれることもある[4]

フィンランド語ではrevontulet(狐火)と呼ばれる。サーミの伝説では狐が北極圏の丘を走るとき、尻尾が雪原に放った火花は巻き上がり、夜空の光になるとのことからこう名付けられる[15]

北欧神話においてオーロラは、夜空を駆けるワルキューレたちの甲冑の輝きだとされる[16][17][18][注釈 1]。北欧ではオーロラにより死者の世界と生者の世界が結びついている、と信じている人が未だにいる[22]。またエスキモーの伝説では、生前の行いが良かった人は死後、オーロラの国(実質的に天国)へ旅立つと言われている[23]
観測史

日本の観測史については後述
神話や伝承そのころ、アンティオコスは再度のエジプト攻撃の準備をしていた。
折から、全市におよそ四十日にわたり、金糸の衣装をまとい、
槍と抜き身の剣で完全武装した騎兵隊が
空中を駆け巡るのが見えるという出来事が起きた。
すなわち、隊を整えた騎兵がおのおの攻撃や突撃をし、
盾が揺れ、槍は林立し、投げ槍が飛び、
金の飾りやさまざまな胸当てがきらめいた。
そこで人は皆、この出現が吉兆であるようにと願った。 『マカバイ記』二 5章 1,2,3,4節 [24][25]


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