オーロラビジョン
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CEATEC JAPAN 2005」三菱電機ブースにて

オーロラビジョン(Aurora Vision)は三菱電機株式会社が製造している大型映像装置で、同社の登録商標(第1183316号ほか)。世界各国では「Diamond Vision」(ダイアモンドビジョン、登録商標第5304856号)の名称で販売されている。
概要

屋外にある大型ディスプレイの代表格で、時に大型映像装置を指す普通名詞としても用いられる。CRTまたはLEDを表示素子に採用している。
沿革

三菱電機は1970年代、中央研究所に「情報交換会」を創設した。当時の情報交換会で巨大ディスプレイのアイデアを出し、実現したのが「オーロラビジョン」である。

NPB球団のオーナーから「大差で負けている時に、観客を帰らせない方法を考えて欲しい」という情報が入ってきた。そこで情報交換会でブレインストーミングを行ったところ「以前のファインプレーのビデオを観客に見せてはどうか」というアイデアが出た。しかし、ディスプレイをどこに置くが問題となった。

当時においては個人用のディスプレイがないため、これを外野席に置くしかなかったが、観客に選手の顔を判別させるには、最低でも8m×10mの大きさが必要となる。しかしブラウン管でこれを実現すると奥行きが10m以上となり非現実的である。そこで再びブレインストーミングを行なったところ、テレビを拡大すると赤、緑、青の点が並んでいることから、「小さな赤、緑、青色の3種類のブラウン管を作り、それを数万個並べる」方式が浮上し、開発に結びついた[1]

本装置は映像装置でありながら、同社の映像装置事業を手がける京都製作所ではなく、長崎製作所で開発・製造されている。これは1978年第2次オイルショック造船需要が低迷したことで、当時船舶向け大型重電機器を製造していた長崎製作所のエンジニアが、船舶機器に代わる製品として開発したという経緯によるものである[2]

第1号は世界初のフルカラー大型映像装置として、1980年米ドジャー・スタジアムにDiamond Visionの名称で設置された。こけら落としは同年7月8日に同スタジアムで初めて開催されたオールスターゲームであった。10億円を超える高価な装置であったが、同スタジアムを本拠とするロサンゼルス・ドジャースはこの最新鋭の装置を最大限に活用。現在も見られるオーロラビジョンとエレクトーン演奏の連動による拍手ウェーブなどの演出を生み出した。

1981年にドジャースが16年ぶりのワールドシリーズ優勝を果たしたことから、全米の大リーグ球団本拠地に次々と同装置が設置されるきっかけとなった。日本でも1981年に後楽園球場に第1号が設置され、その後全国のスポーツ施設を中心に設置が進んでいった。

また、日本においてオーロラビジョンが大型映像装置の代名詞となったのは、『アメリカ横断ウルトラクイズ』において、国内第1次予選(後楽園球場または東京ドーム)の○×クイズで司会の福留功男が正解発表の際に「答えはオーロラビジョンが知っている!!」という台詞が全国放送された事の影響と言われる。

2018年IEEEより、「屋外の直射日光下で使用できるフルカラー大型ディスプレイ」技術が、現在でも世界中の屋内外で人々を映像で楽しませる手段として大きな役割を果たしていることが高く評価されたことによりIEEEマイルストーンに認定された[3]
表示素子
CRT方式
表示素子に、3原色の単色ブラウン管を採用した方式。
フラットマトリクスCRT方式
表示素子に、後述するLED方式の台頭に対抗するべく、同社が独自に開発した大型映像装置用表示素子であるFMCRT (Flat Matrix CRT) を採用した方式。当時屋外用には不向きとされていたLED方式に比べ、高輝度を実現するとともに、従来方式に比べ狭ピッチ化を実現した。
LED方式
表示素子に3原色のLEDを採用した方式。発売当初(1996年)は、CRT方式に対して輝度・視野角・コスト等で劣っていたことから、屋内用、中小規模用として発売されたがその後のLEDの高輝度化・低消費電力化・低コスト化により、CRT方式を駆逐するに至った。
フルカラー反射型デバイス
オーロラビジョンRに使用された方式。元々はアメリカのマジインク・ディスプレイ・テクノロジー社(Magink display technologies)が開発した技術で、透明電極に同社製の『デジタルインク』と呼ばれる特殊な液晶を挟み込み、入射光から3原色を選択的に反射することで表示色を制御する(反射率の調整により中間色の表現も可能)[4]

2006年現在、同社の大型映像装置は全てLED方式を用いている。ただし、同じLED方式でも、「砲弾タイプ」と呼ばれるRGB素子が独立したタイプのほかに、表面実装により三原色の素子を一体化させた「面実装3in1タイプ」がある。
バリエーション


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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