オープンコンテント
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クリエイティブ・コモンズ・ライセンス 左手にコモンズ証 右手にリーガル・コードオープンコンテントであるオープンコーラのレシピ

オープンコンテント(: open content)は、オープンソースから類推によって作られた文章画像音楽などの著作物を利用者が自由に利用・修正・再頒布することを許諾した作品(コンテンツ)の総称である[1]

利用・修正・再頒布が許諾された作品に類する概念・用語は複数存在しており、オープンコンテント・オープン作品・自由文化作品・フリーコンテントなどがある。

オープンコンテントは作品の改変するための元データと最終成果物のみを公開することで、創造の過程や更新の過程なども共有して作品の修正をより自由に行うことを手助けすることができる。オープンコンテントは著作権法の下に作品利用が許諾されており、その利用に際する制約は作品に適用されているオープンライセンスに依存する。オープンコンテントの概念はユーザー生成コンテント・メディア・ソフトウェア・エンジニアリング・研究・教育・立法など多数の分野で応用されていた。
定義

オープンコンテントの概念は類似した思想・用語が複数存在しており、それぞれ異なる背景や理念を持っている。

オープンコンテント・プロジェクト(英語版)はオープンコンテント(: Open Content)を、自由で恒久的な5R、Retain(保持)・Reuse(再利用)・Revise(改変)・Remix(編集)・Redistribute(再頒布)の権限を利用者に提供するライセンスで頒布されるコンテンツと説明している[2]

オープンナレッジ・インターナショナル(英語版)はオープン作品(: Open Works)を、オープンの定義(英語版)(: Open Definition)においてオープンライセンスが課せられ、高々一回限りの利用許諾費用でインターネットを介してダウンロード可能で、修正可能なオープンフォーマットで頒布されるコンテンツと定義している[3]

エリック・メーラー(英語版)たちは自由文化作品(: Free Cultural Works)およびフリーコンテント: Free Content)を、自由文化作品の定義: Definition of Free Cultural Works)において誰でも目的を問わず自由に学習・利用・修正が可能な作品と定義している[4]
歴史Open Content Project(英語版)のロゴ (1998)

オープンコンテントの概念と用語は、1998年、デイビット・ウィレイ(英語版)が設立したオープンコンテント・プロジェクト(英語版)がOpen Content Licence(英語版)を策定したものが根源となっている[1]。この時、オープンコンテント・プロジェクトは、オープンコンテントをオープンソースやフリーソフトウェアのコミュニティが利用するものに類似するライセンスを適用した自由な利用・修正・再頒布が可能なコンテンツと定義していた[5]。ただし、この時の定義はオープンコンテントを商用に用いてはならない制約を含んでおり、厳密にはOpen Content Licenceも適合するものではなかった。その後、オープンコンテントの公開性を5Rs、Retain(保持)・Reuse(再利用)・Revise(改変)・Remix(編集)・Redistribute(再頒布)で述べた[2]。また、オープンコンテントと著作権法の平行性についても言及し、著作権法に従って著作権保持者がライセンスで作品の利用を許諾することを述べた[6]オープンソースの定義自由文化作品の定義と異なり、オープンコンテントとして名乗るために作品が承認されなければならない明確な基準は存在していない。それ以来、各団体やライセンスで汎用・洗練され、従来の著作権制約を伴わないより広い利用範囲を持つ作品の在り方が登場した。

2001年、ローレンス・レッシグは著作者が自らの著作物の再利用を許可するライセンスであるクリエイティブ・コモンズ・ライセンスを策定するクリエイティブ・コモンズを設立した[7]。2003年、デイビット・ウィレイはクリエイティブ・コモンズにDirector of Educational Licensesとして参加し、同団体でのオープンコンテントの促進活動を支援することを発表した[8][9]

2004年、ルーファス・ポロック(英語版)はイギリスケンブリッジでオープンなコンテンツとデータを促進・共有する国際非営利団体となるオープンナレッジ財団(英語版)を設立した[10][11]。2007年、オープンナレッジ財団はオープンナレッジ(英語版)を定義するオープンナレッジの定義(英語版)を発表した[12]。2014年10月、オープンソースの定義フリーソフトウェアの定義自由文化作品の定義と同様に、オープンナレッジ財団はオープンの定義(英語版) バージョン2.0でオープン作品とオープンライセンスを定義した[13]。その他の定義との明確な違いは、パブリックドメインを中心にしていることと、利便性オープンアクセス)と可読性オープンフォーマット)に焦点を当てていることである。

2005年10月、Yahoo!インターネットアーカイブカリフォルニア大学トロント大学などはデジタルスキャン文書のアーカイブの永久的な構築を目的としたOpen Content Allianceを設立した[14]。2008年5月までマイクロソフトもLive Book Searchプロジェクトの一環としてOpen Content Allianceの活動に参加していた[15][16]。デジタルスキャン文書のアーカイブの一部はインターネットアーカイブのオンラインコレクションとして保存されている。

2006年、エリック・メーラー(英語版)・リチャード・ストールマンローレンス・レッシグ・ベンジャミン・マコ・ヒル(英語版)たちはフリーコンテントを定義する自由文化作品の定義を発表した[17] 。2008年、クリエイティブ・コモンズ・ライセンスを自由文化作品の定義に準拠した自由文化作品の公認ライセンスと承諾した[18]。自由文化作品の定義はウィキペディアでも参照されている[19]
法的基点

著作物の法的な基点として、コピーライトパブリックドメインコピーレフトおよびライセンスがある。コピーライト

コピーライトは、著作権法の下に著者や作者の作品の複製・掲載などの著作物の利用権利を制御する概念である。多くの司法圏においてコピーライトは有効期限を持ち、一定年数の経過によりその効力を失効して作品をパブリックドメインの元へと移行する。著作権法は知的作品・芸術作品の作者の権利とその作品を利用する他者の権利のバランスを取っている。コピーライトの有効期間内において、フェアユースを除いて、著作物は作者の許諾を得て利用・修正・再頒布を可能とする。古典的なコピーライトの概念は、第一に作品利用やフェアユースに際してロイヤルティーの支払い義務などにより著作物の利用を制限する。


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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