オートクレーブ
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オートクレーブ

オートクレーブ(: autoclave)とは、内部を高圧力にすることが可能な耐圧性の装置や容器、あるいはその装置を用いて行う処理のこと。

化学分野では特殊な化学反応を行うため、医学生化学では病原体などを死滅させる滅菌処理(オートクレーブ滅菌)のため、工学では炭素繊維強化プラスチックなどの複合材の成形(オートクレーブ成形)や人工スレートなどのコンクリート養生(オートクレーブ養生)のためなど、さまざまな分野でそれぞれ目的に応じて使用される。圧力鍋やそれを用いた調理もオートクレーブの一種である。
概要

高い圧力下では、多くの化学反応が常圧(1気圧)の場合よりも早く進行し、また常圧ではほとんど見られない反応も起きることが知られている。また水分を含む物体を加熱する場合、常圧下では1気圧の水の沸点である100 付近で物体内部の水分の大部分が水蒸気に変わり失われてしまうが、高圧下では沸点が上昇し、100 ℃を大きく超える温度でも水分を保持させたまま物体を加熱することが可能となる。これによって、高温状態の水や水蒸気によって特定の化学反応を早く進行させたり、物体内部への浸透性を高めたりすることが可能である。これらの現象を利用して、耐圧容器(耐圧装置)の内部に飽和水蒸気や水素ガスなどの気体を入れて、さらに高圧(場合によっては高温高圧)にすることで、容器内部に入れた物体内部で特定の化学反応を早く進行させるのがオートクレーブの原理である。

水(水蒸気)を用いるオートクレーブ処理は、水を入れた密閉容器を加熱すれば高温高圧の状態が得られる、最も簡単なオートクレーブの例である。またその装置の機構も比較的単純ですむことから、医学や材料科学などさまざまな分野で利用されている。

オートクレーブ処理のための装置では、耐圧性かつ内部で進行する化学反応によって腐食されない材質(ステンレスなど)が加圧される部分に使用される。大きさは数十センチメートル単位のものから、数十メートルに至る大型の装置までさまざまである。
オートクレーブの利用
滅菌処理

医療や生物学実験の分野においてオートクレーブは、通常、高温高圧の飽和水蒸気による滅菌(オートクレーブ滅菌、高圧蒸気滅菌)処理のための装置(高圧蒸気滅菌器)、あるいはその処理のことを指す。これらの分野では、医療器具や薬剤あるいは実験用の試薬などに対して、空中雑菌などのさまざまな微生物混入し、院内感染や実験の失敗などのさまざまな問題につながることがある。このため、これらの器具や試薬類には必要に応じて適切な滅菌処理を行う必要がある。滅菌にはいくつかの手法が存在するが、オートクレーブはその中でも最も普遍的かつ用途の広い方法の一つである。

微生物の滅菌を行うとき大きな問題になるものに、一部の細菌が形成する芽胞の存在が挙げられる。芽胞はバシラス属クロストリジウム属などの一部の細菌が生育環境の悪化に伴って形成する耐久型の構造であり、温度や薬剤などによる殺菌に対して極めて高い抵抗性を示す。通常の生物は100 ℃の湯で煮沸するとごく短時間のうちに完全に死滅するが、芽胞は通常の生活環境に存在する生物の中では最も耐熱性が高く、30分間以上煮沸しても生き残り、完全に死滅させることはできない。芽胞の状態にある細菌まで完全に殺す(=滅菌する)には、より高温での処理が必要となる。

オーブンと同様の原理による乾熱滅菌では、180 ℃・30分以上(または160 ℃・1時間以上)の加熱によって芽胞を完全に殺すことが可能であるが、この方法では水分を含む物体や、培地などのような水溶液そのもの、あるいは高熱に弱いプラスチック類を滅菌することができず、金属やガラス器具だけにしか使えないという欠点がある。これに対して、オートクレーブ滅菌では通常、2気圧の飽和水蒸気によって温度を121 ℃に上昇させ、20分間処理することで、対象物の水分を保持したまま、しかも乾熱滅菌より低い温度、短い時間で滅菌を行うことが可能である。これはオートクレーブが水分存在下での加熱(湿熱)であるため、高温で促進された加水分解反応によって、微生物を構成する生体高分子の分解が促進される分、乾熱よりも効率よく滅菌されるためだと考えられている。

これにより、ほぼ全生物を死滅させることができる。代表的な高耐久生物であるGeobacillus stearothermophilusの芽胞やクマムシも湿熱には弱く、オートクレーブで死滅する。一部の超好熱菌(Methanopyrus kandleriPyrolobus fumariiなど)は、酸素が十分に入らなければオートクレーブに耐えることができ、条件によっては増殖する可能性もあるが、こちらは常温環境に存在しないため、通常の操作で気にする必要はない。

オートクレーブは水分を保ったまま、比較的低温で滅菌できるという特性を持つため、乾熱滅菌が使えない水分を含む物体や水溶液のほか、ポリプロピレンなど比較的高温に耐える一部のプラスチック製品も含め、極めて広い対象を比較的簡便に滅菌することが可能である。ただし120 ℃以下で変質するような、熱に弱い成分(一部のタンパク質ビタミンなど)を含むものや、熱に弱いプラスチック器具を滅菌することはできない。また、分子生物学分野でのコンタミの原因の一つであるRNaseや、医療上コンタミの原因になる、内毒素であるリポ多糖などは、オートクレーブによって除去することはできず、異常プリオンについても通常のオートクレーブの条件では感染性を失わせることができない。

通常、オートクレーブ滅菌は121 ℃、2気圧(平圧+15ポンド/平方インチ)で20分処理という形で行われるが、一度に大量の培地を滅菌する場合などには、培地内部の温度上昇に時間を要するため、より長時間行う必要がある。また一部の細菌用培地などには115 ℃(約1.7気圧、平圧+10ポンド/平方インチ)で滅菌するものもある。また異常プリオンについては132 ℃1時間によって感染価を1000分の1に減弱させることが可能であり、焼却などの完全な処理が不可能なケースについては、このようなオートクレーブによる減弱化を用いる場合もある。
装置

要は圧力釜である。簡単、少量の処理であれば料理用も利用可能である。

古典的なものは円筒形の缶体を持ち、上端に蓋があり、蓋には排気口、温度計、圧力計を備える。底には排水バルブがある。

底の排水バルブを閉めた状態で、これにまず水を入れ、その上に専用の籠に入れた培地などの試料を入れ、蓋を閉じて固定する。次に上の排気口を開け、加熱していくと、当初は排気口から空気が出てくるが、次第に湯気が噴き出すようになる。そこから内部に水蒸気が充満する頃合いを見計らって排気口を閉じる。その後温度と圧力に注意しながら加熱を続け、時間を見て加熱を止め、内容が十分に冷えた後に取り出す。加熱はガスバーナーによるのが普通であった。

現在では滅菌用オートクレーブ(装置)には電気式の比較的小型のものが用いられており、シーケンサやリレー回路、タイマー等の使用により、温度と時間を指定するだけで上記のような滅菌処理の一連の動作を自動的に実行する製品も普及している。オートクレーブ処理を適正な温度・圧力で行うためには、釜(加圧のための容器部分)の内部が飽和水蒸気で満たされている必要があり、空気が大量に残っていると圧力の上昇が遅くなって滅菌が正しく行われない。このため、加熱初期には釜に取り付けられたバルブが開いた状態で空気を逃がし、90 ℃を超える頃に自動的にバルブが閉じて釜が密閉され、温度と圧力が上がる仕組みになっているものが多い。

なお、理科教育振興法に定められた設備にはオートクレーブも含まれているため、高等学校の理科室(生物室)にはオートクレーブがある。
組織抗原の賦活化

病理組織固定にホルマリンを使用する場合、ホルマリンにより蛋白に架橋構造が生じてしまう。免疫組織化学的染色を行う場合、この架橋構造をはずす作業(抗原の賦活化)としてオートクレーブを用いる事がある。
化学合成

化学の分野においてオートクレーブは、大気圧以上の圧力に耐えて化学反応を行うことが可能な反応容器で、特にバッチ式で撹拌を可能とする機構を備えているタイプのものを指すことが多い。撹拌が不可能なバッチ式の耐圧反応容器は封管と呼ばれることもある。オートクレーブが化学反応に用いられるようになったのは19世紀後半になってからである。1860年代に1気圧下では液化不可能であった二酸化炭素が加圧下では液化することが発見され、高圧化学に興味が持たれるようになった時期とだいたい一致する。またこの時期はコルベ・シュミット反応や金属触媒による水素化反応といった、オートクレーブの利用が有効な気体との反応が次々に発見された時期でもあり、急速にオートクレーブの使用が一般化した。
水晶の合成

化学合成の中でも工業的に特に重要なのは水晶の合成である。オートクレーブ内に、天然水晶の小片(ラスカ)を下部に入れ、上部に種水晶を吊るし、アルカリ水溶液を満たして密封し、高温高圧(約350 ℃、90 - 145 MPa)に保つ。


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