オークニー諸島
Orkney Arcaibh
オークニー諸島(英語: Orkney Islands、スコットランド・ゲール語:Arcaibh[1][2])は、北部諸島に含まれるイギリス領の諸島である。グレートブリテン島の北東沖合い、北海と大西洋の境界に位置する。2007年の人口は19,900人。行政面ではスコットランドに属し、諸島全体でカウンシル・エリアを構成している。行政府所在地はメインランド島のカークウォール。気候は北緯59度と高緯度の割には温暖で、土壌が非常に肥沃である。牧畜などの農業のほか、北海油田の石油産業、風力産業、海洋資源産業がある。地元民はオーカディアン(Orcadian、オークニー諸島人)と自称し、豊かな民俗風習と方言を持つ。
かつては、諸島中央部のスカパ・フローはイギリス海軍の艦隊泊地であり、第一次世界大戦、第二次世界大戦中は主力であるグランドフリートや本国艦隊が所在した。
地理オークニー諸島の地勢図と、主要航路
オークニー諸島は約70個の島で構成されており、主な島はメインランド島のほか、サンデー島・ホイ島・ストロンゼー島・サウス・ロナルドセー島などがある。ノース・アイルズ(north isles)とサウス・アイルズ(south isles)に二分され、地質上は主に旧赤色砂岩から構成されている。
スコットランド本土(グレートブリテン島)とオークニー諸島との間を隔てる海峡はペントランド・ファース(ペントランド海峡)と呼ばれ、サウス・ロナルドセー島から本土のダンカンズビー岬の間、幅約10kmである。
オークニーの島々は、ホイ島の切り立った砂岩の丘、メインランド島、ラウゼー島西岸のごつごつした崖を除けば、全体的に起伏は少ない。ほぼ全ての島にロッホ(Loch、湖)があるが、大河川はなく、わずかに高地を浸す小川があるばかりである。海岸線は屈曲している。島々間の海峡は現地語で、サウンズ(sounds)やファース(firth)と呼ばれている[3]。また、潮流は激しく、または地元民の一部が『止まり木』と呼ぶ流れは、頻繁に渦を引き起こして小島を速やかに取り巻く[4]。オークニーは、強風が吹きやすく、一部を除き、自生した樹木を欠いている[5]。
地質オークニー諸島の地質図
オークニー諸島の表層地質は、大部分がデボン紀中期に形成された旧赤色砂岩である[6]。近接するスコットランド本土ケイスネス地方のように、この砂岩はモワーヌ累層群(英語版)の変成岩の上位にある。この変成岩は主に片麻岩と花崗岩で構成され、ストロムネスの町とインガネスの間および、グラムゼー島の一部で見られる。[7]。
デヴォン紀中期は、3つの累層群に分類される。最も下位の部分はほぼエイフェリアン期にあたり、オーカディー湖(英語版)、デヴォン紀にオークニーからスコットランド北部にかけてあった湖)に堆積した砂岩の一種である板状のフラッグストンである[8]。後にできたラウゼーフラッグストンは、ノース・アイルズとサウス・アイルズ、メインランド島東部の多くで見つかっている[9]。
オールド・マン・オブ・ホイは、最重要なイデー累層群のフラッグストンからなり、場所によって800mの厚さがあり、傾斜したフラッグストンの上に不整合で被さる。その成因について議論が続いている[9][10]。
オークニー諸島におけるデヴォン紀およびそれより古い岩石は、一連の西南西から東北東ないし南北方向の断層により切り刻まれている。その断層活動は、デヴォン紀における堆積の間も活発だったと考えられている[11] 。強い南北の方向の褶曲軸がイデー島とシャピンゼー島の間を横切っている。
デヴォン紀中期の玄武岩がホイ島西部、メインランド島東部とシャピンゼー島で見つかっている。ホイ島の火山岩とその他2つの島の露頭の間の相関関係が建議されている。しかし、化学的組成の違い以外、これはいまだ明らかになっていない[12]。ペルム紀後期のランプロファイア岩脈がオークニーのいたるところで見つかっている[13]。
氷河擦痕と、北海の海底に由来するチョークおよび燧石などの迷子石の存在は、島の地形に及ぼした氷床の影響を示している。氷礫土で構成されたモレーンも、広い地域を覆っている[14]。
自然ハイイロアザラシの親子
オークニー諸島は野生動物の宝庫である。特にハイイロアザラシ、ゼニガタアザラシ、パフィンやミツユビカモメ、ハジロウミバト、オオトウゾクカモメといった海鳥である。クジラ、イルカ、ユーラシアカワウソも沿岸部周辺で見られる。内陸で暮らすオークニーハタネズミは、ハタネズミとは別の亜種で、固有種である[15][16]。サンデー島、ウェストレー島、ラウゼー島、サウス・ロナルドセー島、メインランド島で見つかっており、5種類の別個の種類に分けられているが、この種がグレートブリテン島にはいないことはさらに注目に値する[17]。
海岸線は色彩豊かな花で知られる。ウラギク、シラー・ヴェルナ、ハマカンザシ、イソマツ、エリカ・キネレア、カルーナである。プリムラ・スコシカは、オークニーの海岸、近接するケイスネス、サザーランドにしかない[3][15]。
ヒツジのノース・ロナルドセー種は、飼いならされた動物としては珍しい種類である。彼らが餌として食べるのは大半が海藻であり、限りある内陸の牧草地を保存するために一年のほとんどを狭苦しい浜辺で過ごす[18]。 島名についた-aや-ayといった接尾辞は、古ノルド語で島を意味する-eyを表す。holmとは古ノルド語で『小さくて丸い島』を意味するholmrから派生した名称である。
島
メインランド島オークニー第2の町ストロムネスロッホ・オブ・ステネス