オンライン整数列大辞典
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この項目では、サイトそのものについて説明しています。テンプレートについては「Template:OEIS2C」をご覧ください。

オンライン整数列大辞典
URL
oeis.org/classic/
タイプデータベース
分野整数列
使用言語英語
項目数300,000項目以上[1]
閲覧無料
著作権コピーライト[2]
設立1995年
設立者ニール・スローン
管理人OEIS財団 (OEIS Foundation)
現状項目数増加中[3]

オンライン整数列大辞典(オンラインせいすうれつだいじてん、On-Line Encyclopedia of Integer Sequences, 以下 OEIS)は、無料で利用可能な整数列(各項が整数である数列)のオンラインデータベースである。

2018年3月時点で30万を超える整数列の情報が収められており[1]、この種のデータベースとしては最大のものである。英単語や数列の一部分を入力することにより検索ができる。各々の項目は数列の名前に始まり、由来、参考文献、公式、キーワードなどの情報を含む。その他、数列を一定の規則で変換した音楽を聞くことができるといった遊び心もあり、数学の専門家から数学パズル愛好者まで幅広い利用者の興味を集めている。

コンテンツは基本的に全て英語である(各言語版も用意されているが、一部のごく簡単なメッセージが翻訳されているに過ぎない)。
歴史

アメリカの数学者ニール・スローンは、学生であった1960年半ば、組合せ論における自身の研究のために整数列のコレクションを始めた。当初はパンチカードでデータ整理されていた。彼はそのコレクションを二度、本として出版している。
A Handbook of Integer Sequences (1973年, ISBN 0-12-648550-X):約2400個の整数列を含む。

The Encyclopedia of Integer Sequences サイモン・プラウフとの共著 (1995年, ISBN 0-12-558630-2):5487個の整数列を含む。

これらの本は好評を博し、特に2冊目の出版の後は数学者たちが絶えずスローンに新しい整数列を知らせるようになった。コレクションは本の形式で出版するには膨大になりすぎたため、整数列が16000個を超えた1994年8月には電子メールサービスが始まり、直後の1995年にはウェブサイトが開設された。この活動のスピンオフとして、1998年に学術雑誌 Journal of Integer Sequences[4] が創刊された。

スローンは約40年にわたって「自分の」数列たちを一人で管理してきたが、2002年に編集委員会を結成し、2009年まで編集委員およびボランティアたちによってデータベースが維持されてきた。この間、1年あたり約1万個のペースで新しい整数列がデータベースに加わり、2004年11月7日、整数列の個数は10万個を突破した。データ量は、1995年の本に換算すれば750巻分に達した[5]

2009年3月には、MediaWikiを用いたページが開設され、情報のやり取りに利用されている。2009年10月26日、スローンは OEIS の知的財産権をOEIS財団に委譲した[6]

2011年11月に項目数が20万を突破し、2018年2月には項目数が30万を突破した。
サイトにおける慣習

データベースに登録されている全ての数列には6桁の識別番号 (ID number) が割り当てられており、先頭に A を付して表される。A000796 の代わりに A796 を用いるなど、しばしば先頭の 0 は省略される。

OEIS では ASCII によるプレーンなテキストのみが用いられるため、表記においてはいくつかの暗黙の了解がある。数列 f の第 n 項は f ( n ) と表す。当該項目の数列は a と表し、その他の数列は英語の名前もしくは ID で表す。また、ギリシャ文字は通常その英語名で表される。例えば μ は mu と表し、φ は phi と表す。

本記事においては、これらの慣習にならって基本的にローマン体の文字を用いる。
零の特殊な意味

0 はときどき「存在しない」ことを表すために用いられる。例えば、A104157 の第 n 項は「なるべく小さな n × n 個の連続した素数を用いて魔方陣を作ったときの、その最小の素数」である。明らかに a ( 1 ) は 2 である。a ( 3 ) を求めるのはやや難しいが 1480028129 である[7]。しかし、n = 2 のときはそのような魔方陣は存在しないため、a ( 2 ) は 0 とされている。

0 が本来の意味を持つ数列では、この用法として -1 が代わりに用いられることもある。例えば A072041 など。
整数でない数

OEIS においては整数が主役であるが、何らかの方法で整数列に変換することで、整数でない数も扱われていると言える。

有理数の列は、分子の列と分母の列の2つの整数列と見なせる。例えば、ファレイ数列 0/1, 1/1, 0/1, 1/2, 1/1, 0/1, 1/3, 1/2, 2/3, 1/1, … に対しては、その分子の列 0, 1, 0, 1, 1, 0, 1, 1, 2, 1, … (A006842) と分母の列 1, 1, 1, 2, 1, 1, 3, 2, 3, 1, … (A006843) がデータベースに収められている。

円周率 π = 3.1415926535897… は超越数であるが、各桁の数字を並べてできる整数列 3, 1, 4, 1, 5, 9, 2, 6, … (A000796) や、連分数展開してできる整数列 3, 7, 15, 1, 292, 1, … (A001203) がデータベースに収められている。
自己参照数列

OEIS の歴史の初期の段階から、多くの人々が OEIS 自身を用いてできる数列を登録するように主張してきた。このことについてスローンは次のように回想している。「一つにはデータベースの重要性を維持したいという気持ちから、また一つには A22 が 11 項しか知られていなかったことから、私はそのような数列を登録することを拒否してきました。」

以下、変数 n に対し、ID が n である数列は A_n で表す。スローンが比較的早くに登録を認めた自己参照数列に、a ( n ) = A_n の第 n 項(A031135、後に A091967)がある。当然この数列は有限である。また、第 91967 項は定義されていない。なお、この項目の存在が A000022 の先の項を求めることを促進した。

A100544 は第 n 項が A_n の初項に等しい数列である。しかし、数列の初項をどうすべきかは意見の相違があるため(オフセットの項を参照)、度々変更されるのが問題である。

n が数列 A_n に含まれるか、という問いを考えることにより、ある問題をはらんだ数列 A053873(含まれるような n の列)と A053169(含まれないような n の列)が考えられる。例えば A002808 は合成数の列であるから、合成数 2808 は A053873 に含まれる。A000040 は素数の列であるから、素数でない 40 は A053169 に含まれる。問題は 53169 や 53873 はどちらに含まれるか、ということである。53169 は A53169 に含まれるか含まれないかのどちらかである。含まれるとすれば、A53169 の定義より 53169 は A53169 に含まれないことになって矛盾する。含まれないとすれば、再び A53169 の定義より 53169 は A53169 に含まれることになってやはり矛盾する。この議論はラッセルのパラドックスによく似ている。
項目の主な欄の意味

本節は OEIS の各項目の主な欄についての解説である。
ID Number(識別番号)

OEIS に登録された全ての数列に割り振られた6桁の識別番号。先頭に A を付して表される。論文・本や外部のサイトにおいて数列を表すために「OEIS の A****** (A****** in OEIS)」 または単に「スローンの A****** (Sloane's A******)」のように書かれるほど世間に認知されている。

以前は現在とは別の識別番号が用いられていた。1973年出版の Handbook of Integer Sequences では、約2400個の数列が辞書式順序で並べられ、M が付された4桁の識別番号が与えられた。1995年出版の Encyclopedia of Integer Sequences では、5487個の数列がやはり辞書式順序で並べられ、N が付された4桁の識別番号が与えられた。これらの古い識別番号は、A が付いた新しい識別番号と同じく利用可能であり、この欄に記載されている。
Name(名前)

その数列の一般的な名前もしくは簡単な説明が記載されている。定義式が与えられている場合もある。例えば立方数の列 1, 8, 27, 64, 125, 216, 343, 512, … (A000578) の Name の欄には The cubes: a ( n ) = n^3 と記載されている。
Sequence(数列)

数列の先頭部分。大抵の場合4行ほどにわたって記載されているが、この部分だけ見ても、長い有限数列か無限数列かは区別できない。区別するためには Keyword の欄(後述)を見る必要がある。
Offset(オフセット)

ここで言うオフセットとは、初項が第何項であるか、ということである。すなわちオフセットが n のとき、初項は a ( n ) と表される。例えば、平方数の列 a ( n ) = n^2 (A000290) 0, 1, 4, 9, 16, 25, … のオフセットは 0 であるが、もし 1, 4, 9, 16, 25, … で始まるならオフセットは 1 である。ほとんどの数列のオフセットは 0 か 1 であるが、次のようにそれ以外のオフセットを持つ数列もある。
A073502
オフセットが 3 である数列の例。初項 a ( 3 ) は、なるべく小さな素数と 1 を用いて 3 × 3 の魔方陣を作ったときの、各行の和。以下、a ( n ) は n × n の魔方陣を考えたときのその値。
A072171
オフセットが -1 である数列の例。初項 a ( -1 ) は -1等星、すなわち視等級が -1.5 から -0.5 までの恒星の個数。-1等星はシリウスカノープスのみであるから a ( -1 ) = 2 である。以下、a ( n ) は n 等星の恒星の個数(ただし、変光星二重星をどう扱うかによって個数は変動する)。先の方では隣り合う項の比がほぼ一定になるという主張が興味深い。

時には初項に採用すべき項について意見が分かれることがある。例として、第 n 項が次の意味を持つ数列を考えよう。パンケーキに包丁を n 回入れて、なるべく多くのピースに分けたとき、ピースは何個になるか。1回ならば2個に、2回ならば4個に、3回ならば7個に切り分けることができる。OEIS におけるこの数列 A000124 は 1, 2, 4, 7, 11, 16, 22, 29, 37, … で始まる。初項の 1 は、包丁を1回も入れない場合のピースの個数を表している。すなわち、この数列のオフセットは 0 である。しかし、包丁を入れない場合を考えるのは無意味であるとの解釈もあり、MathWorld は 2 を初項としている[8]


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