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オンボードグラフィック(英: on-board graphics/onboard graphics、オンボードグラフィックス、オンボードビデオ)とは、パーソナルコンピュータのマザーボード上に搭載されているグラフィックスコントローラ (GPU) のことである。内蔵グラフィックス、内蔵ビデオなどとも呼ばれる。
マザーボード上に直接搭載されたグラフィックスコントローラ (GPU) ではなく、PCI ExpressやAGPなどのバスコネクタに接続されたビデオカード(グラフィックスボードと呼称される場合も多い)上の搭載グラフィックスコントローラ (GPU) については、ビデオカードを参照。
概要インテル製 G45 チップセット
パーソナルコンピュータから映像を出力するためには、一つにマザーボードの拡張スロット(PCIバスなど)にビデオカードを接続し、そのビデオカードの映像出力端子とディスプレイを接続する形態がある。これとは異なり、マザーボード自体にグラフィックスコントローラと映像出力端子が実装されていて、マザーボードとディスプレイを直接接続する形態もあり、このマザーボード上に実装されているグラフィックスコントローラのことをオンボードグラフィックスと呼んでいる。
実装形態は、単体のグラフィックスチップ(Discrete GPU: ディスクリートGPU、dGPU)をシステム基板に直接実装してグラフィックス機能を実現しているものと、グラフィックス以外の機能と統合されたチップ(統合チップセット)を搭載しているものに大別される。なお、低価格・エントリー向けのオンボードグラフィックスに関しては、後述するIntel Core iシリーズCPUやAMD APUなどのように、CPUに統合されたGPU(Integrated GPU: 統合GPU、iGPU)を備える製品の出現により、その役割を取って代わられることになった。サーバーあるいはワークステーション向けの製品では、少数だがオンボードグラフィックスを搭載しているマザーボードも依然としてリリースされ続けている[1][2]。
オンボードグラフィックスは、ビデオカードと比較して省スペースかつ低コストに生産することができるという長所をもつが、電力供給や排熱の問題から、グラフィックス性能については単体のビデオカードの方が優れている場合がほとんどで、特に3次元コンピュータグラフィックス (3DCG) の描画能力では、同世代のハイエンドクラスのグラフィックスボードに匹敵するオンボードグラフィックスはほとんど存在しない(まったく存在しないわけではないが、非常に高価である[3][4])。
ただし、Microsoft Officeのような文書および数表などのビジネス資料作成ソフトや年賀状作成ソフトを利用したり、Webサイト閲覧や動画再生、電子メールを読み書きしたりするなどの一般事務用途あるいは一般家庭用途では強力な描画性能を必ずしも必要とせず、オンボードグラフィックスで不都合を感じないことが大半である。したがって、省電力性が重視されるノートパソコン、小型化が求められる省スペースパソコン、あるいはコスト最優先の普及価格帯以下のデスクトップパソコンを中心に、統合チップセットあるいは統合GPUによるオンボードグラフィックスが広く採用されている。なおビデオ会議のようなストリーミングやブラウザ上でのWebGL利用、OSのデスクトップ描画やプレゼンテーションソフトのGPUアクセラレーションなど、オフィスワークでもGPUパワーが必要となるケースも増えており、また4Kのような高解像度環境やマルチディスプレイ環境は特にGPUの負荷が大きく、CPU内蔵GPUではパフォーマンスに問題が出ることもある[5]。
USBなどの汎用入出力端子(拡張ボード上でも可)に、対応ディスプレイを直接接続する形態や、ディスプレイアダプター(変換ユニット)経由で汎用ディスプレイを接続する形態もあるが、これらはディスプレイあるいはアダプター内部にGPUを持たず、PC側のビデオカードなどのGPUが描画した結果をOSの機能を使ってコピーするものでしかないため、BIOS画面(POST画面)の表示に対応しておらず[6]、またDirect3DやOpenGLによる表示に対応していないこともある[7]。
単体グラフィックスチップによるオンボードグラフィックスマザーボード上にオンボード実装された単体グラフィックスチップの例(i740)。左上はi440BXチップセット。右下にVRAMとPCIスロットが映り、外部AGPスロットが存在しないことが分かる。
統合グラフィックス機能の普及以前のPCでは単体グラフィックスチップを搭載することが一般的であった。これはグラフィックスカードの形態で提供される場合もあったが、低価格帯向けの製品ではシステム基板上に単体のグラフィックスチップとビデオメモリを搭載するものも多かった。ただしこれらはあくまで必要最小限の機能を安価に提供することをも目的としており、S3のTrio64/32やCirrus Logicなどの低価格製品が多く用いられた。
グラフィックス統合チップセットが広く普及して以降、低価格を目的に単体グラフィックスチップを搭載する例は激減したが、市場需要に対し適切なグラフィックス統合チップセットが提供されない時期にはコスト削減を目的に単体グラフィックスチップがオンボード搭載される場合もあった。(i850/845 SDRAMの時期に一部メーカーが低価格GPUをオンボードで採用している)
ただしAGPやPCI Expressなどのバスを使用して単体ビデオチップをオンボード搭載すると、これらのバスを外部バスとして使用することが出来なくなる。 ノートパソコンは拡張カードが搭載できない関係で、当初はオンボードで単体グラフィックスチップを搭載するのが一般的であった(外付けディスプレイ用のPCカードは存在した)。いわゆるラップトップパソコンの時代から、基板が独立している場合でも原則交換できなかった。初期にはNeoMagicのMagicGraph 128およびMagicMedia 256、TridentのCyberBlade、ATIのRage Mobilityなどの製品が大きなシェアを占めていた。これら製品はビデオメモリをグラフィックスチップに内蔵するエンベデッド構造を採用することで、ノートパソコン部品として重視される省スペース性を実現していたが、描画性能は極めて貧弱な水準であった。 i810チップセットの普及以後はデスクトップPC同様に、グラフィックス機能を重視しない普及価格帯以下の製品では統合グラフィックス機能が主流となった。しかしグラフィックス機能をアピールする一部のハイエンド製品では、オンボード実装の単体GPUを搭載するものが販売されることも多い。なお、単体GPUであってもモバイル向けに性能や機能を削った省電力版が搭載されることが多く、デスクトップ版と同等のフルスペックGPUが搭載されることはまれである[8]。そのほか、チップセット内蔵のグラフィックスあるいはCPU内蔵のグラフィックスを搭載しながら、さらにオンボード実装の高性能単体GPUも両方搭載する製品において、システムの電源接続状況やアプリケーションに応じて内蔵グラフィックスと単体GPUとを切り替える技術として「NVIDIA Optimus Technology」や「AMD Switchable Graphics」なども存在する[9][10][11][12][13]。
ノートパソコン