オロモ語
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オロモ語

Afan Oromo または Oromiffa
話される国
エチオピア
 ケニア
地域東アフリカ
話者数3200万人
話者数の順位49
言語系統アフロ・アジア語族

クシ語派

低地東クシ諸語(英語版)

オロモ語



表記体系ラテン文字
言語コード
ISO 639-1om
ISO 639-2orm
ISO 639-3orm ? マクロランゲージ
個別コード:
gax — ボラナ・アルシ・グジ方言のオロモ語
hae — 東オロモ語
orc — オルマ語
gaz — 西中央オロモ語
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オロモ語(オロモご)はアフロ・アジア語族に属し、クシ語派で最も話者数の多い言語。アファーン・オロモー (Afaan Oromoo)、オロミッファ (Oromiffa)、様々な別な綴り(アファン・オロモ Afan Oromo など)でも呼ばれる。エチオピアケニアにいる2500万人のオロモ人やその近隣のウェルジ人などの第一言語である。1980年代以前の文献では「ガラ語 (Galla)」とも呼ばれるが、オロモ人が不快に感じるために現在は使われない。
話者

オロモ語話者の95%は主にエチオピアのオロミア州に住んでいる。ソマリアにも約4万2000人の話者がいる[1]エスノローグによると、エチオピアのオロモ語に極めて近いボラナ語とオルマ語の話者が15万7000人いる。エチオピア国内では、オロモ語は最も話者人口が多い(40パーセント以上)。アフリカ全体で見た場合、互いに意思疎通ができないアラビア語の諸方言および様々な変種を含むオロモ語をそれぞれ単一の言語と見なすと、オロモ語はアラビア語、スワヒリ語ハウサ語に次いで4番目に話者数が多い言語である。

第一言語の話者の他に、北西オロミアにはオモ語派のバンバシ語話者やナイル・サハラ系言語の話者クワナ人のように、オロモ語と接していてオロモ語を第二言語として話す人々が多くいる[2]
言語政策

1974年エチオピア革命以前、オロモ語による出版や放送は禁じられていた。19世紀末からあったオネシモ・ネシブとアステル・ガンノによる聖書の翻訳などごく限られた出版物は、ヨハン・ルートビヒ・クラプフの聖書のようにゲエズ文字で書かれていた。1974年の革命以降、政府はオロモ語を含むいくつかの言語で識字率向上のキャンペーンを開始し、オロモ語でも出版やラジオ放送が始まった。新聞『バリッサ』のように当時エチオピアで印刷された文献はみな伝統的なゲエズ文字で書かれた。

しかし学校でのオロモ語教育は、オロモ解放戦線が支配していた地域を除けば、1991年にメンギスツ政権が倒れるまで実現しなかった。オロミア州の創設にともない、この地域全域で(他の民族が他の言語を話す地域を含む)小学校の教育用の言語として、また地域の行政語としてオロモ語を導入することが可能になった。1990年代初頭にオロモ解放戦線が暫定エチオピア政府を離れて以降はオロモ人民民主主義機構がエチオピアでアファーン・オロモーの確立を続けている。

オロモ語は「クベー (Qubee)」というラテン文字を修正した文字で書かれることが最も多く、これは1991年に公式に採用された。1970年代まで、エチオピア国外のオロモ人やオロモ解放戦線はラテン文字から作られた様々な正書法を用いていた。近年これはエチオピア政府により制限されていると言われる[3]。クベーの採用により、1991年から1997年までの間にそれ以前の100年間より多くの文献が書かれたと考えられている。

イタリアエチオピア侵攻後は、シェイフ・バクリ・サパロ(本名のアブバケル・ウスマン・オダーでも知られる)が考案したサパロ文字がオロモ語固有の文字であり、その後は非公式に使われた[4]。イスラム教徒のいる地域ではアラビア文字が断続的に使われた。

ケニアでは1980年代から「ケニアの声(現ケニア放送)」によりオロモ語(ボラナ方言)のラジオ放送が行われている[5]。ラテン文字を使ったボラナ方言の聖書が1995年にケニアで出版されたがエチオピアのクベーとは綴り方が異なっていた。最初の包括的なオロモ語のオンライン辞書がジマ・タイムズ・オロミッファ・グループとセラムソフト社の協力により開発された[6]ボイス・オブ・アメリカもアフリカの角計画の枠内でオロモ語の放送を行っている。オロモ語とクベーは現在エチオピア政府の国営ラジオやテレビ局、地方政府の新聞紙に使われている。
発音と正書法

セム語派、クシ語派、オモ語派のようなエチオピアの他の多くの言語と同様、オロモ語には放出音がある。これは無声破裂音破擦音に喉頭音化と呼気の破裂がともなったものである。オロモ語にはもうひとつ、そり舌入破音というやや珍しい音がある。これはオロモ語の正書法では dh と書かれ、d を発音する際に舌を後方に若干巻き戻して空気を引き入れ、次の母音の前に声門破裂音を発するものである。

オロモ語には南クシ語派によく見られる5つの短母音と5つの長母音があり、正書法では長母音をそれぞれの母音の文字を2つ続けて表記する。母音の長短は、hara「湖」、haaraa「新しい」のように意味の区別において有意義である。オロモ語では子音の二重化も有意である。つまり、badaa「悪い」、baddaa「高地」のように子音の長さが語義の区別に用いられる。

クベー式アルファベットでは、ひとつの「文字」はひとつの記号またはふたつの記号 (ch, dh, ny, ph, sh) からなる。二重化はふたつの記号が文字の場合には必ずしも表記されないが、qopphaa'uu「準備ができている」のように最初の記号をふたつ重ねて表す者もいる。下の表では、各音素は角括弧で括られた国際音声字母で表されており、オロモ語の文字とは異なっている。[p v z] の音は近年採り入れられた借用語のみに用いられるために括弧に入れられている。この正書法が採用されてから多少の変更があったので注意が必要。x ([t?]) は当初 th と書かれていた。[t??] と [t?] を表すのに人によって c と ch が混同された。初期には c は [t?]、ch は [t??] に用いられ、c は語中のどこにあるかで音が違っていた。この記事では c は常に [t??] を、ch は常に [t?] を表す。

子音両唇音/
唇歯音歯茎音/
反舌音硬口蓋歯茎音/
硬口蓋音軟口蓋音声門音
破裂音
破擦音無声音(p)tch [t?]k' [?]
有声音bdj [d?]g
放出音ph [p?]x [t?]c [t??]q [k?]
入破音dh [?]
摩擦音無声音fssh [?]h
有声音(v)(z)
鼻音mnny [?]
接近音wly [j]
R音r

母音前寄り中寄り後寄り
狭i [?], ii [i?]u [?], uu [u?]
中e [?], ee [e?]o [?], oo [o?]
広a [?]aa [??]

文法
名詞

多くのアフロ・アジア諸語と同じく、オロモ語には男性と女性の文法(文法的性)があり、あらゆる名詞はそのいずれかに属する。オロモ語の文法性は以下のように文法に係わる。

主語が三人称単数の時、「…である」(コピュラ)を除く動詞は主語の性に一致する。

三人称単数の代名詞はそれが指示する名詞の性に一致する。

形容詞はそれが修飾する名詞の性に一致する。

方言によっては、所有形容詞(「私の」「あなたの」など)にそれが修飾する名詞に一致するものがある。

南部のいくつかの方言を除き、形の上で名詞の性を表すものはない。少数の人を表す名詞および名詞として用いられる場合の形容詞には、-eessa(男性)と -eettii(女性)で終わるものがある(obboleessa「兄弟」、 obboleettii「姉妹」、dureessa「金持ち(男)」、hiyyeettii「貧乏人(女)」)。通常、文法性は人や動物の生物学的な性に一致する。例えば abbaa「父」、ilma「息子」、sangaa「牡牛」は男性名詞で、haadha「母」、intala「女の子、娘」は女性名詞である。しかし動物を表す多くの名詞は生物学的性を明示しない。

天体を表す名詞は女性名詞である。aduu「太陽」、urjii「星」など。無生名詞の性は方言によって異なる。

オロモ語には単数と複数の(すう)があるが、複数のものを指す名詞が複数形になるとは限らない。文脈から明らかな場合には、単数形の名詞が複数のものを指すことがある(nama「男」、nama shan「5人の男」)。言い換えれば単数形とは数が未指定な形ということである。

指示物が複数あることを明示する場合、名詞の複数形が使われる。名詞の複数形は接尾辞を付加することで作られる。最もよく用いられる複数形の接尾辞は -oota である。この接辞が付加される時語末の母音はなくなり、南部の方言では長母音に続く場合 -ota となる。次の例は単数、複数の順。

mana, manoota「家」


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