オロヒップス
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ウマの進化の流れ

当項目ではウマ進化の歴史について記述する。

現代の馬までの進化の軌跡は他の動物のものよりも化石の出土数も多く信頼性が高い。ウマ科を含む奇蹄目K-T境界の後1000万年までの暁新世後期に誕生した。奇蹄目は元々、熱帯林での生活に順応していたが、バク科サイ科が森に適応したのに対し、ウマは草原などステップ地帯での生活に適応した。その過程において、次第に背が高くなり、足指では中指の発達と並行て他の指の退化が進むなど、一定方向への系統的な変化が見て取りやすいことから、系統化石の好例とされる。
目次

1 タイムライン

2 進化の過程

2.1 ヒラコテリウム

2.2 オロヒップス

2.3 エピヒップス

2.4 メソヒップス

2.5 ミオヒップス

2.6 カロバティップス

2.7 パラヒップス

2.8 メリキップス

2.9 ヒッパリオン

2.10 プリオヒップス

2.11 ディノヒップス

2.12 プレシップス

2.13 エクウス


3 特徴

3.1 歯

3.2 指


4 関連項目

5 脚注

タイムライン
進化の過程
ヒラコテリウム ヒラコテリウム、左前脚の骨格、歯の構造(a:エナメル質、b:象牙質、c:セメント質

現在、最も古いと考えられているウマ科動物はヒラコテリウム(Hyracotherium)である。ヒラコテリウムの化石は18世紀にヨーロッパで見つかり、リチャード・オーウェンによって「ハイラックス様の獣」を意味するヒラコテリウムと名づけられた[1]。ヒラコテリウムはオスニエル・チャールズ・マーシュにより名づけられた「始新世のウマ」を意味するエオヒップス(Eohippus)という名も広まっている。ただし、正式な学名は優先順位の高い「ヒラコテリウム」となっている[2][3]

ヒラコテリウムは約5200万年前にはすでに北アメリカ大陸で生活していたとされている。体はキツネと同じくらいのサイズ(体高25?45センチメートル)で、比較的短く弾力性のある頭頸部とアーチ状の背骨を持っていた。歯は各側に切歯を3個、犬歯を1個、小臼歯を4個、大臼歯を3個備えており、合計で44個の歯を持っていた。大臼歯は葉を削りやすい形であり、ヒラコテリウムは葉食性(柔らかい木の葉や果物などを食べていた)である事が伺える。またヒラコテリウムは小さい脳を持っており、小さい前頭葉もあった[4]

すでに走ることに対しての進化は始まっており、手足は現在の馬のように体に比例して長かった。しかし、下肢骨のいくつかは不安定で、柔軟性に欠けていた。脚はそれぞれ5本ずつ指があったが、進化の過程で前肢は第1指が退化し4本、後肢は第1指と第5指が退化し3本になっている。爪先は犬のような鉤爪ではなく、小さなひづめがついていた。

約200万年の間に、ヒラコテリウムは進化し繁栄した。最も重要な進化がより葉食性に特化した歯の獲得である。始新世の間、ヒラコテリウムはウマ科の様々なに分岐した。これらの完全な化石は北米(ワイオミング州ウィンド川など)で数多く発見された。また、現代のウマの先祖とは考えられていないプロパラオテリウム(Propalaeotherium)などの化石がヨーロッパでも見つかっている[5]。プロパラオテリウムはパラオテリウム(Palaeotherium)へと進化するが、その後絶滅した。
オロヒップス チャールズ・ナイトによるオロヒップス

約5000万年前、始新世中期にヒラコテリウムはオロヒップス(Orohippus)へと進化した。オロヒップスとは山のウマを意味するが、実際にはオロヒップスは山には住んでいなかった。また、オロヒップスはプロトロヒップス(Protorohippus)という別名がある。体はヒラコテリウムと同じサイズだったが、より細い胴体、細長い頭、細い前肢、長い後足を持っていた。その体は跳躍力に優れていたと考えられている。

ヒラコテリウムとオロヒップスを分ける大きな変化は歯にあり、第一小臼歯が小さくなり、第三小臼歯は形を変えて大臼歯となった。また、歯冠はより大きくなり、より硬い植物もすり潰し、食べられるように進化した。
エピヒップス

約4700万年前、オロヒップスはより大きな臼歯を持つエピヒップス(Epihippus)へと進化した。デュシェーヌヒップス中間型(Duchesnehippus intermedius)と呼ばれた後期のエピヒップスには、漸新世のウマ科と同じ歯があった。
メソヒップス メソヒップス、左前脚の骨格、歯の構造


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