この項目「オレンジ」は翻訳されたばかりのものです。不自然あるいは曖昧な表現などが含まれる可能性があり、このままでは読みづらいかもしれません。(原文:en:Orange (fruit)
17:16, 19 February 2022)この項目では、柑橘類の果樹および果実(果物)について説明しています。その他の用法については「オレンジ (曖昧さ回避)」をご覧ください。
オレンジ
オレンジの収穫
分類
界:植物界 Plantae
階級なし:被子植物 Angiosperms
階級なし:真正双子葉類 Eudicots
階級なし:バラ類 Rosids
目:ムクロジ目 Sapindales
科:ミカン科 Rutaceae
属:ミカン属 Citrus
種:オレンジ C. sinensis
学名
Citrus sinensis (L.) Osbeck
シノニム
C. aurantium
和名
アマダイダイ
オレンジ
英名
orange
オレンジ(甜橙[1]、orange)は、柑橘類に属するミカン科ミカン属の常緑小高木やその果実[2]。特に日本では、原産地インドからヨーロッパを経由して明治時代に日本に導入されたものを「オレンジ」と呼んでいる[注釈 1][5]。
概要花と実がなったオレンジオレンジ果実の外観(左)と輪切りした断面(右)と房の皮を取った可食部(手前)
日本では、オレンジといえば主に和名アマダイダイ(甘橙、甘代々 学名:Citrus sinensis)を指し[2]、英語圏ではこれが「スイートオレンジ」と呼ばれている[注釈 2][6]。スイートオレンジの品種は接ぎ木による珠心胚実生を介したアポミクシスの無性生殖で殖やしていく[7]。これらの変種は突然変異を介して生じる[8][9][10][11]。
オレンジは、ザボン(ブンタン)とマンダリンの交雑種である[8][12]。葉緑体のゲノムすなわち母系はザボンのものである[13]。スイートオレンジは全ゲノム配列解析済みである[8]。
オレンジは、中国南部・インド北東部・ミャンマーを含む地域が発祥で[14][15]、同果物に関する最初期の言及が紀元前314年の中国文学に見られた[8]。
7世紀にスペインを征服したサラセン人によってヨーロッパにもたらされ、十字軍とともに世界へ広まった[16]。1987年時点でオレンジの木が世界で最も栽培された果樹であることが判明した[17]。オレンジの木は、その甘い果実のため熱帯と亜熱帯の気候で広く栽培されている。オレンジの果実は生のまま食べたり、ジュースに加工されたり香りをつけるために果皮(オレンジピール)に加工されたりもする[18]。 2012年時点で、スイートオレンジが柑橘類生産量の約70%を占めている[19]。
2019年には、7,900万トンのオレンジが世界中で栽培され、全体の22%をブラジルが生産し、中国とインドがこれに続いている[20]。日本での栽培はネーブルオレンジを除いてそれほど多くなく、国内流通品の大部分はアメリカのカリフォルニア産である。日本国内では広島県、和歌山県、静岡県などで年間6,000トン前後が生産されている。
分類と用語詳細は「ミカン属#分類」を参照
オレンジの木は全てミカン属に属しており、ほぼ全ての交配種が残っている。ここにはオレンジのほかグレープフルーツ・レモン・ライムなど様々な柑橘類との交雑種が含まれている。オレンジと他のミカン属との交配は多数の交雑種および栽培品種を作り出したほか枝変わりの選抜も行われており、ミカン属の分類にはだいぶ議論の余地があるほか混乱や矛盾も見られる[19][21]。柑橘類の果実はミカン状果 (hesperidium) であり、子房の発達に起因する厚い外果皮の中に、柔らかい海綿質の中果皮と、薄い袋状の内果皮をもつ[22][23]。
様々な変種に異なる名前がつけられており、オレンジは主に和名アマダイダイ(Citrus sinensis)の品種に適用される。スイートオレンジは様々な大きさに成長し、形状も球形から細長い形まで多彩である。内部および皮についている白色の組織は、維管束と呼ばれている。[24]。オレンジには、内部に房状の内果皮が多数あり、通常は約10個が膜で区切られ、?嚢(じょうのう)には多くの砂?(さじょう)が詰まっている[25]。またオレンジには、種が幾つか入っているのが通例である[26]熟す前の果実は緑色である。熟した果実の不規則に油胞が並ぶ外果皮は、明るいオレンジ色から黄色がかったオレンジの色だが、しばしば緑とのまだら模様だったり、気候条件や収穫時期によっては完全に緑色のままという場合もある[27]。他の柑橘系果実と同じく、スイートオレンジは追熟しない。オレンジの品種群は、普通オレンジ、ブラッドオレンジ、ネーブルオレンジ、無酸オレンジの4種に分類できる[28][29][30]。この分類をしたのは、植物学者のロバート・ウィラード・ホジソンである。[31]
オレンジとも通称される他の柑橘類群は次のとおり。
ベルガモットオレンジ(Citrus bergamia Risso) - 外皮を目的に主にイタリアで栽培され、香料の主成分が製造され、紅茶のアールグレイの風味にも使われる。ザボンとレモンの交雑種である[32]。
ダイダイ(Citrus aurantium) - 英名が「ビターオレンジ」で、セビリアオレンジやサワーオレンジ(特にスイートオレンジを接ぎ木する際の台木として使用される)、ビガラードオレンジ(料理のソース用)[33]、マーマレードオレンジとも。スイートオレンジと同様にザボンとマンダリンの交雑種だが、異なる雑種形成事案によって生じた[34]
マンダリンオレンジ(Citrus reticulata) - ミカン属の原種であり、普通オレンジの先祖。日本のミカン類生産も、これの「タンジェリン」として統計分類される[注釈 3]。
カラタチ(Poncirus trifoliata) - 英名が「トリフォリアーテオレンジ」で、単独の属(カラタチ属)に分類されたりもする。スイートオレンジや他のミカン属栽培品種を接ぎ木する際の台木として使われることが多い[7][35]。
膨大な数の栽培品種は、スイートオレンジと同じく、ザボンとマンダリン祖先の混成である。一部の栽培種は、スイートオレンジと同じ親から生じたマンダリン-ザボンの交雑種である(例:タンゴールやポンカンなど)。 他の栽培種は、スイートオレンジとマンダリンの交雑種である(例:クレメンティン)。マンダリンの形質は一般的に、小ぶりで扁球体、果皮が剥きやすく、酸味が少ないことなどである[36]。ザボンの形質には、房と密着した厚い白色の内果皮(アルベド)などがある。 サンスクリット語では、オレンジの木を「ナーランガ(??????)」と呼ぶ。この語はドラヴィダ語で「香り高い」を意味する「ナル(naru)」に由来するものである[37]。このサンスクリット語は、ペルシャ語「ナーラング(?????)」やアラビア語「ナーランジュ(?????)」を介して欧州言語に入ってきた。 このアラビア語がフランスの古プロヴァンス語に入ると、果実の色からラテン語で「黄金」を意味するau-が付されて「オーランジャ(auranja)」となり、フランス語では「金」を意味するou-に置き換えられて「オルンジュ(orenge)」に変化した[37]。そして14世紀に、この古フランス語の単語が後期中英語に導入されて「オレンジ(orange)」になったとされる。最初に英語でオレンジ(orange)と表記されたのは1512年である[38][39]。 オレンジ色はこの果物にちなんで名付けられた[40]。 スイートオレンジは野生の果実ではなく[41]、非純粋なマンダリンオレンジと実質的にマンダリン要素を持つザボン交雑種との掛合わせからの栽培で生まれた。その葉緑体DNAはザボンのそれで、恐らくザボン1代戻し交配のザボン交雑種だった可能性が高く、これが初代オレンジの母親となった[13][42]。ゲノム解析に基づくスイートオレンジ先祖品種の相対的な割合は、ザボン約42%とマンダリン約58%である[43]。スイートオレンジの全品種はこの最初の掛合わせから派生したもので、農業繁殖中に選抜された突然変異によってのみ違いが生じる[42]。スイートオレンジは、ダイダイ(英名:ビターオレンジ、恐らく野生環境で独自発生した)と起源が異なり、純粋なマンダリンとザボンを両親とする掛合わせから生まれた。中国文学における最も古いこの柑橘類への言及は紀元前314年に遡る[8]。 ヨーロッパでは、ムーア人がイスラム統治下のイベリア半島にオレンジを導入し、一緒に大規模栽培が10世紀に始まった(同果樹園を支える特別に設えられた複雑な灌漑技術の証拠も存在する)[44]。柑橘類の果実は、9世紀のイスラーム統治期にシチリア島に導入されたが、イタリアとポルトガルの商人が地中海地域にオレンジの木を持ち込んだ15世紀後半か16世紀初頭まで、スイートオレンジは知られていなかった[17]。その後すぐに、スイートオレンジが食用果実に採用された。スイートオレンジは高級品と考えられ、富裕層はオランジェリーと呼ばれる私的な温室[45]でオレンジを栽培した。1646年までに、スイートオレンジは欧州全域でよく知れ渡った[17]。フランスのルイ14世はオレンジの木を特に愛でており、ヴェルサイユ宮殿に王室オランジェリーの中で最も壮大なものを造ってしまった[46]。ヴェルサイユでは、銀無垢の桶に植えられたオレンジの木が宮殿の部屋じゅうに置かれ、オランジェリーは一年中この果物を栽培して王宮に供給できるようにしていた。 スペイン人渡航者がアメリカ大陸にスイートオレンジを導入した。
語源
歴史オレンジの花の拡大写真趙令穰による宋代の絵画『橙?橘香x(国立故宮博物院所蔵)