オレンジ花水(橙花水[1]、オレンジフラワーウォーター)は、ダイダイ(ビターオレンジ)の花びらを水蒸気蒸留して風味をつけたハイドロゾル分である。この液体はダイダイの精油・ネロリを製造する際の副産物として作られている。様々な化粧品や医薬品、料理などの香り付け用途で使われる。
バラ水と並び、世界で最も一般的に使用されるハイドロゾルであり、家庭等での小規模生産を考慮しない推定年間生産量は1500tである(いつの数値か不明)[2]。 中東や地中海諸国をはじめ、アメリカやヨーロッパなど、世界中でさまざまなブランドの商品が販売されているため、品質にばらつきがある[3]。 国際食品規格委員会は、1リットル当たりの芳香族化合物が少なくとも0.3グラム含まれている事としている。良質な物は、0.5-0.6gである。0.9g以上になると飽和濃度を超えてしまい、やがて「yeux」(フランス語で「目」の意)と呼ばれる分離層が形成される。オレンジ花水を伝統的に使っているモロッコ、アルジェリア、チュニジア、レバノンなどの国では、このyeuxは高品質な水の証としている[4]。 ジバシエ
成分
各国での名前
英語圏:Orange flower water、orange blossom water
ギリシャ・キプロス:anthonero (ανθ?νερο)
マルタ島:Ilma ?ahar
スペイン:Agua de azahar
アラビア語:??? ?????
用途
食用
粘土で作られた気化熱式冷却保存容器qullaに入れていた水や、中東の硬水に含まれる不快な臭いや風味を隠すため、また風味づけに普通の飲料水によく添加されている。
アルジェリアやモロッコでは、客が来た時やお茶の時に手を洗う目的でフィンガーボウルに入れて用いられる。アルジェリアやモロッコのティーセットでは、銀や金属の特別な器で供されていたが、この風習は現在では廃れている[5]。しかしアルジェリア料理やモロッコ料理では、お菓子の香り付けや、しばしばコーヒーなどの飲み物の香り付けに使われることもある[6]。 マルタや多くの北アフリカ諸国、中東諸国などでは、腹痛の薬として広く使用され、成人だけでなく赤ん坊にも用いられる。[7] 化粧品原料国際命名法(INCI)では、以下の成分名とされている[8]。 ギリシャ神話で、ユーピテルが妻である結婚の女神ユーノーにオレンジ(またはオレンジの花)を贈って以来[9][10]、オレンジの花は結婚の象徴とされ、クレタ人はオレンジ花水を花嫁と式場に振りかける慣習があった[11]。
医薬品
化粧品
Citrus Aurantium Amara (Bitter Orange) Flower Water
Citrus Aurantium Dulcis (Orange) Flower Water
関連項目.mw-parser-output .side-box{margin:4px 0;box-sizing:border-box;border:1px solid #aaa;font-size:88%;line-height:1.25em;background-color:#f9f9f9;display:flow-root}.mw-parser-output .side-box-abovebelow,.mw-parser-output .side-box-text{padding:0.25em 0.9em}.mw-parser-output .side-box-image{padding:2px 0 2px 0.9em;text-align:center}.mw-parser-output .side-box-imageright{padding:2px 0.9em 2px 0;text-align:center}@media(min-width:500px){.mw-parser-output .side-box-flex{display:flex;align-items:center}.mw-parser-output .side-box-text{flex:1}}@media(min-width:720px){.mw-parser-output .side-box{width:238px}.mw-parser-output .side-box-right{clear:right;float:right;margin-left:1em}.mw-parser-output .side-box-left{margin-right:1em}}ウィキメディア・コモンズには、オレンジ花水に関連するカテゴリがあります。
出典^ 杉田英明 『葡萄樹の見える回廊』 岩波書店、2002年
^ ⇒Controlling microbiological spoilage in floral waters(フランス国立農学研究所