オレイン酸
IUPAC名
(9Z)-Octadec-9-enoic acid
別称(9Z)-Octadecenoic acid
(Z)-Octadec-9-enoic acid
cis-9-Octadecenoic acid
cis-Δ9-Octadecenoic acid
Oleic acid
18:1 cis-9
識別情報
略称18:1(n-9)
CAS登録番号112-80-1
360 °C, 633 K, 680 °F [2][3](標準気圧<1atm>ではこの温度で分解する)
水への溶解度不溶
エタノールへの溶解度可溶
危険性
安全データシート(外部リンク)ICSC 1005 (日本語)
⇒KIS-NET (日本語)
⇒JT Baker(英語)
NFPA 704100
関連する物質
関連物質エライジン酸 (trans異性体)
特記なき場合、データは常温 (25 °C)・常圧 (100 kPa) におけるものである。
オレイン酸(オレインさん、英: oleic acid、数値表現 18:1(n-9)または18:1(Δ9))は動物性脂肪や植物油に多く含まれている脂肪酸である。炭素原子間の二重結合を介して結合している一価の不飽和脂肪酸である。シス型のシスモノエン脂肪酸。18:1 (n-9) の略号で表される。消防法に定める第4類危険物 第3石油類に該当する[4]。一価不飽和脂肪酸のω-9脂肪酸に分類される。
オレイン酸の命名は、オリーブ (Olea europaea) の油から単離されたことが由来である。浅黄色から黄褐色をした液体で、ラードのようなにおいをしている。水には溶けず、クロロホルム、アセトン、ジエチルエーテルなどの有機溶媒に溶ける。比重は25℃で 0.89、融点 16.3℃。一部の植物油、例えばオリーブ油などの不乾性油やそれを原料とした油の豊富な食品に多く含まれる。二重結合をひとつしか含まないので酸化されにくいが、飽和脂肪酸と比較すれば当然酸化されやすい。
オレイン酸は皮膚に塗布した場合に皮膚バリア構造を破壊しうる[5][6]。特に脂漏性皮膚炎を悪化させうる[5]。クリームやローション等の化粧品の原料に多く用いられている。不飽和脂肪酸共通の性質については「不飽和脂肪酸」を参照 植物、微生物、ヒトを含めた動物の体内では、脂肪酸シンターゼによってアセチルCoAとマロニルCoAから直鎖の飽和脂肪酸が作られる。順次アセチルCoAが追加合成されるので原則脂肪酸は偶数の炭素数となる。体内で余剰の糖質、タンパク質等が存在するとアセチルCoAを経て、飽和脂肪酸の合成が進む。脂肪酸の合成は炭素数16のパルミチン酸で一旦終了する。16:0のパルミチン酸は、長鎖脂肪酸伸長酵素により、18:0のステアリン酸に伸張される。ステアリン酸は、体内でステアロイルCoA 9-デサチュラーゼ(Δ9-脂肪酸デサチュラーゼ)によりステアリン酸のw9位に二重結合が生成されてω-9脂肪酸の一価不飽和脂肪酸である18:1のオレイン酸が生成される[7]。融点70℃のステアリン酸が融点16℃のオレイン酸に変換されることで体内の脂肪酸の融点が下がり、体温環境下で脂肪酸を液体に保ち、流動性を増加させる。 例えば豚の体脂肪であるラードや牛の体脂肪であるヘットにはオレイン酸が全脂肪中50%近く含まれている。母乳の全脂肪中の.mw-parser-output .frac{white-space:nowrap}.mw-parser-output .frac .num,.mw-parser-output .frac .den{font-size:80%;line-height:0;vertical-align:super}.mw-parser-output .frac .den{vertical-align:sub}.mw-parser-output .sr-only{border:0;clip:rect(0,0,0,0);height:1px;margin:-1px;overflow:hidden;padding:0;position:absolute;width:1px}1⁄3がオレイン酸で占められている。 このオレイン酸から、植物や微生物中で、ω6位に二重結合を作るΔ12-脂肪酸デサチュラーゼ によりオレイン酸の二重結合が一個増えてω-6脂肪酸であるリノール酸が生成される。
生成、変換