オルトコロナウイルス亜科
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「コロナウイルス」はこの項目へ転送されています。

上位分類であるコロナウイルス科については「コロナウイルス科」を、

ヒトに感染するコロナウイルスについては「ヒトコロナウイルス」を、

2019年に発見された新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)については「SARSコロナウイルス2」を、

新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)の流行による影響については「新型コロナウイルス感染症の世界的流行 (2019年-)」をご覧ください。

オルトコロナウイルス亜科
伝染性気管支炎ウイルスの電子顕微鏡写真
分類

レルム:リボウィリア Riboviria
:オルトルナウイルス界 Orthornavirae
:ピスウイルス門 Pisuviricota
:ピソニウイルス鋼 Pisoniviricetes
:ニドウイルス目 Nidovirales
:コロナウイルス科 Coronaviridae
亜科:オルトコロナウイルス亜科 Orthocoronavirinae




アルファコロナウイルス属

ベータコロナウイルス属

ガンマコロナウイルス属

デルタコロナウイルス属

オルトコロナウイルス亜科(オルトコロナウイルスあか、Orthocoronavirinae / コロナウイルス〈Coronavirus〉)は、ゲノムとしてリボ核酸 (RNA) をもつ一本鎖プラス鎖RNAウイルスで、哺乳類鳥類病気を引き起こすウイルスのグループの1つ[1]ニドウイルス目コロナウイルス科に属する[2][3]

含まれるウイルスは、コロナウイルス科から両生類に感染するレトウイルス亜科を除いた、いわゆるアルファからデルタまでのコロナウイルスである。過去の記録として、2018年以前は「コロナウイルス亜科」、2009年以前は「コロナウイルス属」と呼ばれていた。分類名としては、2018年に「オルトコロナウイルス亜科」に改名された。
概略

単にコロナウイルスと言った場合、コロナウイルス科、あるいはこのオルトコロナウイルス亜科を指すとされている。コロナウイルス科は、アルファからデルタまでのコロナウイルス以外にも、レトウイルス亜科を含んでいるため、実際の分類範囲としては、コロナウイルス=オルトコロナウイルス亜科となっている。

オルトコロナウイルスは、ウイルス粒子表面のエンベロープ(膜構造)に、花弁状の長いスパイク蛋白の突起(S蛋白、約 20 nm)を持ち、外観がコロナ太陽の光冠)に似ている[1]。らせん対称性のヌクレオカプシドをもつエンベロープウイルスである。多形性で、大きさは直径80-220nm程度である[1]。ゲノムサイズは約26〜32キロベース (kb) で、既知のRNAウイルスでは最大級である[4]

症状は生物の種類によって異なり、鶏の場合は上気道疾患を引き起こし、牛や豚の場合は下痢を引き起こす。

ヒトでは、風邪を含む呼吸器感染症を引き起こす。SARSコロナウイルス (SARS-CoV)、MERSコロナウイルス (MERS-CoV) およびSARSコロナウイルス2 (SARS-CoV-2) のようなタイプのウイルスでは、致死性を持つ。
名前

コロナウイルス (Coronavirus) の名称は、ウイルスを電子顕微鏡で観察したときに見られる、ビリオン(感染性を有するウイルス粒子)の特徴的な外観に由来する。ビリオンは大きな球状の表面突起の縁をもち、太陽コロナを思わせる像をつくる。

また「コロナ: Corona」は、ラテン語: corona(コロナ)=光冠(丸い光の輪)を意味するギリシア語: κορ?νη(kor?n? コロネ)に由来している[5][6]

亜科名の「オルト: Ortho-」は、ギリシア語で「歪みのない」を意味する ορθ??(オルソス)が由来である。
歴史

このグループで最初に発見されたのは、1931年に報告されたニワトリの伝染性気管支炎ウイルスである[7]。1940年代にはマウス肝炎ウイルス、豚伝染性胃腸炎ウイルスも報告されている[注 1]

ヒトの病原体としては、1960年に風邪をひいたヒトから、ヒトコロナウイルスB814が発見された。この株は培養が難しかったため後に失われた。1960年代には風邪をひいたヒト患者の鼻腔からヒトコロナウイルス229EおよびヒトコロナウイルスOC43の2つのウイルスが発見された[8]。当初はこれらのウイルスの関係は定かではなかった。ヒトコロナウイルスも一時はヒト呼吸器ウイルス(Human respiratory virus)とも呼ばれていた。

1960年代になると、電子顕微鏡写真で構造の類似が指摘され[9]、コロナウイルスと呼ぶ人が多くなった[10]。1971年にはこれらがコロナウイルス属としてまとめられた。

2009年には、分子系統解析の進展により分類の整理が進んだ。コロナウイルス属は解体され、新たにアルファからデルタコロナウイルスが設置された。また、コロナウイルスに近縁なウイルスとしてトロウイルス亜科(後にトロウイルス科として独立)が発見され、アルファからデルタまでのコロナウイルスのグループとしてコロナウイルス亜科が設定された。

2018年にはまた新たな動きがあり、トロウイルス亜科がトロウイルス科として独立した一方で、コロナウイルス科の新たなグループとしてレトウイルス亜科が設定された。この時コロナウイルス亜科はオルトコロナウイルス亜科に改名され、現在に至っている。
コロナウイルス及び近縁系統の分類の変遷

1971年

上位分類下位分類
(設定無し)コロナウイルス属伝染性気管支炎ウイルス
マウス肝炎ウイルス
ヒト呼吸器ウイルス 等

2009年

上位分類下位分類
コロナウイルス科コロナウイルス亜科アルファコロナウイルス属
ベータコロナウイルス属
デルタコロナウイルス属
ガンマコロナウイルス属
トロウイルス亜科トロウイルス属

2018年

上位分類下位分類
コロナウイルス科オルトコロナウイルス亜科アルファコロナウイルス属
ベータコロナウイルス属
デルタコロナウイルス属
ガンマコロナウイルス属
レトウイルス亜科アルファレトウイルス属

分類

ウイルスの分類においてオルトコロナウイルス亜科は、レトウイルス亜科と共にコロナウイルス科に含まれる[11]。オルトコロナウイルスには4属45種を含む。
オルトコロナウイルス亜科
アルファコロナウイルス属

アルファコロナウイルス属
(英語版)(Alphacoronavirus) タイプ種:アルファコロナウイルス1

種:Bat coronavirus CDPHE15、Bat coronavirus HKU10、Rhinolophus ferrumequinum alphacoronavirus HuB-2013、ヒトコロナウイルス229E、Lucheng Rn rat coronavirus、Mink coronavirus 1、Miniopterus bat coronavirus 1、Miniopterus bat coronavirus HKU8、Myotis ricketti alphacoronavirus Sax-2011、Nyctalus velutinus alphacoronavirus SC-2013、Pipistrellus kuhlii coronavirus 3398、豚流行性下痢ウイルス(Porcine epidemic diarrhea virus)、Scotophilus bat coronavirus 512、Rhinolophus bat coronavirus HKU2、Human coronavirus NL63、NL63-related bat coronavirus strain BtKYNL63-9b、Sorex araneus coronavirus T14、Suncus murinus coronavirus X74、アルファコロナウイルス1


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