オリンピック公開競技(オリンピックこうかいきょうぎ、Demonstration Sports at the Olympic Games)は、近代オリンピックにおいて正式競技でないのに実施される競技の制度である。1992年バルセロナオリンピックを最後に廃止された。 オリンピックの開催地で根付いていたり、次期正式競技候補の競技をオリンピック競技として実験的に実施するものである[1]。1912年のストックホルムオリンピックで伝統的なアイスランド式レスリングであるグリマを実施競技に含め、正式に公開競技が導入された。1983年までにIOC承認国際競技連盟連合 (ARISF) か夏季オリンピック国際競技連盟連合 (ASOIF) か冬季オリンピック国際競技連盟連合 (AIOWF) に加盟している国際競技連盟 (IF) の競技であるIOC承認競技に限定された。1983年と1984年、1987年のオリンピック憲章では開催地大会組織委員会が国際オリンピック委員会(IOC)の認可を得てIOC承認競技から2競技以下の公開競技を実施できるとしている[2][3][4]。1988年カルガリーオリンピック、1988年ソウルオリンピック、1992年バルセロナオリンピックではオリンピック憲章の競技数制限を超える公開競技が行われた。ソウルオリンピックでは正式競技の柔道から女子柔道が公開競技となる。公開競技で実施されたその後に正式競技に昇格した野球(1984年ロサンゼルス)やテコンドー(1988年ソウル)のような例もある。公開競技で授与されたメダルは、正式競技のメダルと同じデザインであったが、サイズが小さく、公式のメダルの数には含まれない。大会の肥大化への懸念もあり、1990年のオリンピック憲章では公開競技の制度はなくなっている[5][6]。1992年アルベールビルオリンピック、1992年バルセロナオリンピックで公開競技が行われるが、1996年のアトランタオリンピック以降、公開競技を実施していない[1]。 2020年東京オリンピックからは開催地大会組織委員会提案として追加種目が実施されるが、非追加種目との違いは収入の配分がIFにない、オリンピック憲章での種目数制限の対象外、などがある。公開競技との違いは、正式競技としてメダル獲得数に加算される、公開競技にあった最多連続2大会の制限がない、などがある。また、公開競技は1988年ソウルオリンピックの柔道女子のように正式競技IFの種目からも実施されていたが、2020年東京オリンピックへの東京オリンピック組織委員会内の追加種目選考では、正式競技IFの種目は除外され、ARISF加盟IFの種目に限定された[7][8]。 以下は夏季オリンピックで過去に実施された公開競技の一覧である[9]。 大会公開競技正式競技
概要
夏季オリンピックで実施された公開競技
採用年
1896年アテネ(非公式)[1]サッカー (男子)
クリケット(男子)
馬術(男子)
ボクシング(男子)ほか1908年(1932年を除く)
1900年のみ
1900年(1904年、1908年を除く)
1904年(1912年を除く)
1900年パリ(非公式)[1]釣り(男子)