オリンピア・プレス(Olympia Press)は、パリを拠点とする出版社。性愛文学とアバンギャルド文学を出版し、ウラジーミル・ナボコフの『ロリータ』を初めて出版したことで最もよく知られている。 1953年、モーリス・ジロディアス
概要
1955年、ウラジーミル・ナボコフの『ロリータ』を出版。その内容からアメリカでは5つの出版社から刊行を断られたと伝えられており[注釈 2]、パリでの出版はナボコフにとって最後に残された選択肢だった。
1965年、ド・ゴール政府の弾圧によりフランスでの活動が困難となり、ニューヨークに拠点を移す。
1973年、オリンピアUSAが破産。ジロディアスはなおもフリーウェイ・プレスを立ち上げて出版活動を続けるものの、こちらも1974年には活動断念に追い込まれた。 かつてのアルバトロス叢書 番号作品著者 ※邦訳のある作品限定。参考資料:青木日出夫「オリンピア・プレス(パリ)の刊行書リスト(1953-1965)」[1]。
特徴
トラベラーズ・コンパニオン・シリーズ
2レイプマーカス・ヴァン・ヘラー
3処女の熱き唇フランシス・レンゲル
7赤毛の男J・P・ドンレヴィー
11アモンの太腿マーカス・ヴァン・ヘラー
12マダム・カルラマルコム・ネスビット
14白い太腿フランシス・レンゲル
17ファニー・ヒルジョン・クレランド
19ダーリンハリエット・ダイムラー[注釈 3]
23ローマの狂宴マーカス・ヴァン・ヘラー
32快楽泥棒ハリエット・ダイムラー&ヘンリー・クラナック
35男狂いマーカス・ヴァン・ヘラー
36花のノートルダムジャン・ジュネ
37背徳のボルジア家マーカス・ヴァン・ヘラー
39セクサスヘンリー・ミラー
44O嬢の物語ドミニク・オーリー
47性の世界ヘンリー・ミラー
49閨房哲学マルキ・ド・サド
50ソドム百二十日あるいは淫蕩学校マルキ・ド・サド
51白書ジャン・コクトー
52ジュリエット物語あるいは悪徳の栄えマルキ・ド・サド
64キャンディテリー・サザーン
66ロリータウラジーミル・ナボコフ
68プレクサクヘンリー・ミラー
71マロウンは死ぬサミュエル・ベケット
74地下鉄のザジレーモン・クノー
76裸のランチウィリアム・S・バロウズ
77黒い本ロレンス・ダレル
78泥棒日記ジャン・ジュネ
87ピンク・トウチェスター・ハイムズ
88ソフトマシーンウィリアム・S・バロウズ
91爆発した切符ウィリアム・S・バロウズ
214義母トー・クン
脚注
注釈^ 表記はジャック・カハン[1]やジャック・カヘーン[2]とされる場合もある。
^ ただし、ファーラー、ストラウス&ヤングは本名での出版を条件に出版に同意したとされる。しかし、ナボコフがペンネームでの出版にこだわったことが障害となり、実現しなかったという。ロジャー・ストラウスはナボコフは本名で『ロリータ』を出版することでコーネル大学での職を失うことを恐れていたと証言している。またサイモン&シュスターのウォーレス・ブロックウェイは原稿を返却するに当たってグローヴ・プレスのバーニー・ロセットに送るようアドバイスしたという。ロセットは後にもし原稿が送られてきていたらナボコフの希望通りペンネームでの出版に同意していたかどうかを尋ねられ、「ああ、もちろんだよ」と答えている。しかし、ナボコフはブロックウェイのアドバイスに従うことはなかった。その理由についてロセットはナボコフが「高慢でスノッブ」であり「自分の小説を手がけるにはグローヴは弱小出版社だと考えたのだろう」と答えている[1]。
^ アメリカの女流作家、アイリス・オーウェンス
出典^ a b c d e ジョン・ディ・セイント・ジョア 著、青木日出夫 訳『オリンピア・プレス物語:ある出版社のエロティックな旅』河出書房新社、2009年9月。
^ a b 植草甚一『ポーノグラフィー始末記』(新装)晶文社〈植草甚一スクラップ・ブック〉、2005年1月。
^ ハリエット・デイムラー 著、山下諭一 訳『ダーリン』フランス書院、1974年10月。
外部リンク
⇒Lust in the dust jackets: The Olympia Press and the Golden Age of Erotica at Salon.com
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