この項目では、2017年の映画について説明しています。1974年の映画については「オリエント急行殺人事件 (1974年の映画)」をご覧ください。
オリエント急行殺人事件
Murder on the Orient Express
監督ケネス・ブラナー
脚本マイケル・グリーン
原作アガサ・クリスティ
『オリエント急行の殺人』
製作リドリー・スコット
マーク・ゴードン
サイモン・キンバーグ
ケネス・ブラナー
ジュディ・ホフランド
マイケル・シェイファー
『オリエント急行殺人事件』(オリエントきゅうこうさつじんじけん、原題: Murder on the Orient Express)は、2017年のアメリカ合衆国のミステリー映画。監督・主演はケネス・ブラナーが務めた。本作は1934年にアガサ・クリスティが発表した小説『オリエント急行の殺人』を原作としている。 1934年。著名なベルギー人私立探偵のエルキュール・ポアロは、エルサレムの聖墳墓教会で起きた事件の謎を説いた後、イスタンブールで休暇を取ろうとしていた。しかし、別件で急遽、ロンドンに戻らなければならなくなる。偶然にもオリエント急行の重役で、かつて助けた恩がある青年ブークと再会したポアロは、彼の計らいで間もなく発車するフランス・カレー行きの列車に乗ることができた。列車は季節外れの満員であり、特に上等客車にはアメリカ人美術商のエドワード・ラチェットや、陽気な未亡人キャロライン・ハバードを始めとして、様々な人種・職業・年齢の者が乗り合わせていた。このため、ポアロは二等寝台に泊まることになった。 2日目の昼、ポアロはラチェットからカレーに着くまで護衛に雇いたいと頼まれる。おそらく商売上のトラブルで、命を狙う旨の脅迫状が届いたからだという。しかし、ラチェットの人柄を気に入らないポアロはこれを断る。2日の深夜、ポアロはブークの好意で一等寝台の1号室に移り、日課の読書を楽しんでいた。隣の2号室はラチェットの部屋であり、しばしばポアロは廊下での物音に気づいて外を確認し、赤いマントの人物の後ろ姿などを確認する。そして時刻は1時を回って寝ようとした時、列車は不意の雪崩で脱線し立ち往生してしまった。翌朝、ブークが食堂車で上等客室の乗客たちに状況説明をしていた折、ラチェットが起きて来ないことに気づく。ポアロはブークや客でもあるアーバスノット医師と共にラチェットの部屋を確認すると、12の刺し傷がある滅多刺しにされた彼の遺体を発見する。ブークに頼まれて事件捜査を始めたポアロは、燃やされた脅迫状の残骸を見つけ、そこから、ラチェットの正体が数年前にアメリカで起きたアームストロング家令嬢誘拐殺人事件の犯人カセッティであったことを知る。この事件は裕福な軍人であったアームストロング大佐の幼い娘が誘拐殺人の被害者となり、そのショックでアームストロング夫人ソニアは自殺、大佐も妻子の後を追うように自殺したという悲劇的な事件であった。実はポアロは生前の大佐から捜査の依頼を受けていたという縁があった。 ポアロは乗客たちと個別に面談し、アリバイや動機がある者を探っていく。しかし、基本的にフランス車掌のピエール・ミシェルが廊下で待機していたことや、客の証言同士でアリバイが証明されるなどして手詰まりとなる。一方で乗客の一人であるエレナ・アンドレニ伯爵夫人は、ソニアの実妹でアリバイがなかった。ポアロは他の証言者たちが何かを隠していると見抜き、同事件で冤罪で自殺に追い込まれた若いフランス人メイドの存在など、次第に彼らがアームストロング家の事件と何かしらの関わり合いがあることに気づく。ポアロは家庭教師のメアリに鎌をかけるが、実は恋仲であり、容疑者の1人でもあるアーバスノットの怒りを買い命を狙われる。偶然と機転によって危機を脱したポアロは容疑者の客と車掌のピエールを集め、事件の謎解きを始める。 ポアロはまずラチェットに恨みを持つ東洋のギャングが彼を殺害し、脱線の混乱に乗じて既に逃亡した可能性に言及する。しかし、ポアロはこの説は筋は通っているが細かい部分では矛盾していることを認める。その上でポアロは、ブークとエレナを除く乗客と車掌12名が犯人であるという推理を披露する。ここでキャロラインは、自分の正体がソニアの実母である舞台女優リンダ・アーデンであることと、今回の計画の首謀者であることを認める。ポアロは自分の推理と真の悪が裁かれることの乖離を嘆きつつ、ブークは嘘をつけるが自分にはできないとして、真実を隠したいなら自分を撃てと、アーバスノットから奪った拳銃をリンダに渡す。しかし、リンダはポアロを撃たず、自分に銃口を向けて自殺しようとするが、これは空砲であった。ポアロは犯人たちを試しており、この結果を受けて真相を秘めることを約束する。 脱線から戻って運行を再開した列車はユーゴスラビアの駅に停車する。そこでポアロは現地の警察に単独犯人説を説明して納得させ、リンダたちは列車に残る。ポアロがホームを歩いていると、イギリス軍の使者から、ナイル川での死亡事件を至急調査して欲しいというメモを受け取る[注釈 1]。ポワロが事件を引き受ける返答をしたところで物語は終わる。 ※括弧内は日本語吹替
ストーリー
登場人物
エルキュール・ポアロ
演:ケネス・ブラナー(草刈正雄[3])主人公。イギリスで活躍するベルギー人私立探偵。
エドワード・ラチェット
ジョニー・デップ(平田広明[4])アメリカ人の美術商。偽物を売ったことが顧客に発覚し危機に陥っている。2日目の夜、自室に密室下で殺される。実はアームストロング家令嬢誘拐殺人事件の犯人で、本名はカセッティ。真相発覚後は既にヨーロッパに逃げており、捕まらず、今に至る。
ピラール・エストラバドス
演:ペネロペ・クルス(高橋理恵子)ヒスパニック系の女性宣教師。厳格な性格。事件当夜、生きているラチェットを最後に目撃する。実はアームストロング家の乳母。原作における看護婦グレタ・オールソンに相当する人物。
ゲアハルト・ハードマン
ウィレム・デフォー(家中宏)ドイツ人教授。フランスで行われる学会に向かっている。実はアメリカの元警官で、冤罪で自殺したスザンヌの恋人。
ドラゴミロフ公爵夫人
ジュディ・デンチ(山村紅葉[4])亡命ロシア貴族の老婦人。富豪。愛犬と使用人を連れて列車に乗る。実はソニアの後見人で、リンダの親友。
ヒルデガルデ・シュミット
オリヴィア・コールマン(米丸歩)ドラゴミロフ公爵夫人のメイド。